パレスチナ格上げ採決、米国が静観だったので日本は賛成できたようだ。

アラブの春が、結局はイスラム勢力の躍進になっている事への警戒でしょうか。

パレスチナ:格上げ採決、イスラエルと米国は静観の構え

毎日新聞 2012年11月28日 20時16分(最終更新 11月28日 23時57分)


国連での「オブザーバー国家」への格上げを支持するデモに参加するパレスチナ人女性ら=パレスチナ自治区ガザ地区で2012年11月27日、ロイター

 【エルサレム花岡洋二】パレスチナの国連での地位を、現在の「オブザーバー機構」から「オブザーバー国家」に格上げする総会決議案が27日、国連総会に提出された。採決を強硬に阻止しようとしてきたイスラエルと米国は、採決は不可避と判断し、静観する構えをみせている。

 自治区ガザ地区を実効支配し両国が「テロ組織」に指定するイスラム原理主義組織ハマスは、イスラエルとの戦闘と停戦をへて、パレスチナ内部で発言力を強めたイスラエルや米国には、和平路線のアッバス議長の自治政府に代わってハマスが台頭する事態を避けたい狙いがある。アッバス議長に圧力をかけ、採決を断念させればパレスチナ内での議長の権威が失われ、自治政府の崩壊すら危ぶまれるため態度を軟化せざるを得なくなった。

 総会決議は、安全保障理事会の決議とは異なり、法的拘束力を持たず、国際世論が「将来のパレスチナ国家樹立」を支持することを示す政治的な意味合いが強い。また、パレスチナ側は、格上げされた場合に国際刑事裁判所(ICC)への加盟を計画。刑事裁判所にイスラエルによるヨルダン川西岸への入植活動などが「国際法違反」だと提訴する狙いがある。

 イスラエルや米国は当初、アッバス議長に対し採決の断念を求めていたが、決議案の採択は避けられないと判断。地元メディアによると、米国側がイスラエルのネタニヤフ首相に、決議案の文面を弱めることに重点をおく外交作戦に変更するよう提案。また、当初イスラエルが警告していた、採択された場合の報復措置についても緩和を求めた。

 イスラエルは「自治政府が崩壊すれば、その負担は私たちにのしかかる」(イスラエル外交筋)と判断。パレスチナ側に▽決議採択後にICCに加盟申請しない▽決議でヨルダン川西岸、ガザ、東エルサレムでの主権を宣言しない−−ことなどを確約させることで決着させようとしている。

イスラエルICCに訴えられる可能性があるのか、つまりパレスチナICC加盟申請したのかは
国連情報誌SUNブログ対応版さん
パレスチナをオブザーバ国家の地位を認める決議を採択:総会
見てもわかりませんでした。英語の元記事にもICCという言葉は出ていませんでした。

また報復措置については行われているようです。

<イスラエル>占領地3000戸新規入植へ 国連決議に報復

 【エルサレム花岡洋二】イスラエル政府は11月29日、占領地のヨルダン川西岸と東エルサレムに新たなユダヤ人入植住宅3000戸を建設することを決めた。政府当局者が30日明かしたとロイター通信が報じた。国連総会で29日、パレスチナの地位を「オブザーバー国家」に格上げする決議案が採択されたことへの報復措置とみられる。

 パレスチナ解放機構(PLO)のエラカト交渉局長は、イスラエルの決定について「国際社会の思いに逆らって、(パレスチナイスラエルの)『2国家共存』構想を破壊するものだ」と批判した。米国家安全保障会議のビーター報道官も「和平交渉再開にとり逆効果だ」とコメントした。

 占領地への入植活動は国際法違反。PLOは、10年10月を最後に行われていないイスラエルとの中東和平交渉を再開する条件として、新たな入植住宅建設の凍結を求めている。

 ロイター通信によると、イスラエル政府は新設を決めた3000戸のほか、東エルサレムとその近郊にある大規模入植地「マアレアドミム」とをつなぐ位置に入植住宅地を建設する準備を始めることも決めた。現在は大規模な空き地だが、住宅約3500戸を建設する既存の計画がある。この場所に入植地ができた場合、パレスチナが将来の独立国家の首都に想定する東エルサレムヨルダン川西岸が分断されるため、特に問題視されており、米政府の圧力などでイスラエルが計画を凍結してきた経緯がある。

ただ新設を決めた3000戸に関しては、具体的な場所が分からないようですね。

イスラエルが3千戸の入植者住宅の建設を承認、国連決議に対抗


パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のベツレヘム近くの村で、イスラエルが設置した「分離壁」に抗議して毎週行われているデモに加わり、イスラエルの兵士を押し出そうとするパレスチナの少女(2012年11月30日撮影)。

【AFP=時事】イスラエルは11月30日、東エルサレム(East Jerusalem)とヨルダン川西岸(West Bank)にユダヤ人入植住宅約3000戸を建設する計画を明らかにした。

その他の写真

 国連(UN)は29日に米ニューヨーク(New York)で行った総会で、パレスチナのオブザーバー資格を「組織」から「国家」に格上げする決議案を圧倒的多数で採択したばかり。決議案は、1967年に起きた第3次中東戦争直前のパレスチナイスラエル間の境界線を認めている。

 今回のイスラエルの決定は、国連決議に対抗する措置とみられる。同国政府関係者はAFPの取材に対し、建設計画は認めたものの、具体的な建設予定地については明言を避けた

 和平交渉の再開を呼びかけていたパレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長は、新たな入植住宅の建設計画を批判。また米政府も、入植計画は「非生産的」であり、「和平交渉の再開を困難にする」との見解を示している。【翻訳編集】
AFPBB News

ちょっと時間戻りますが、ハマスイスラエルが争っていたのもハマスが以前より強力な武器を使っていたという事のようなので、ハマスの戦果ともいえるみたいですね。

焦点:ガザ攻撃でハマスが得る「戦果」、アラブの春で追い風も


11月18日、イスラエル軍が5日連続でパレスチナ自治区ガザ地区を攻撃。イスラエルハマスは2009年にも衝突したが、今回は「アラブの春」が中東の勢力図を塗り変え、ハマスはより強力な武器を手にしている。写真は17日、ロンドンのイスラエル大使館前で行われたパレスチナ支持派の抗議行動(2012年 ロイター)

[ガザ 18日 ロイター] イスラエル軍が5日連続でパレスチナ自治区ガザ地区を攻撃した18日、パレスチナ人のアリ・アーメド氏は、3人の子どもたちのためにパジャマ姿で卵とチョコレートを買いに出掛けた。「本当に恐ろしい」と言うアーメド氏だが、ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの攻撃が、イスラエル側にも恐怖を与えていると満足気だ。

ハマスイスラエルと戦っていることを忘れていると思っていたが、私が間違っていた」。ガザ地区では、ハマスが2007年に武力制圧して以来、約170万人が不自由な生活を強いられているが、こうした反応はハマスにとって心地良い響きに聞こえるだろう。

イスラエルハマスは2008年末から翌年初めにかけて、約3週間の戦闘を続けたが、ハマスと敵対するパレスチナ勢力は当初、ハマスによるロケット弾攻撃がイスラエルの地上侵攻を引き起こしたと非難。この戦闘によるパレスチナ側の死者は1400人を超えたが、イスラエル側も13人が死亡する結果となった。

今回は状況が一変している。アラブの春」が中東の勢力図を塗り変え、ハマスはより強力な武器を手にしている。

フェイスブックには、避難するイスラエル人をあからさまに喜ぶ投稿が見られる。ユーチューブでは、ヨルダン川西岸出身の歌手2人がイスラエルにロケット弾を放つハマスを称賛する「テルアビブを攻撃せよ」という歌がヒットしている。

また、ハマスは外交的な成功も手にした。先週にはイスラエルの攻撃が続く中、エジプトとチュニジアの外相がガザを訪れ、パレスチナへの連帯を示した。

ガザが前回攻撃を受けた際、エジプトとチュニジアは欧米が支持する独裁体制だったが、アラブの春を経た今、ともにイスラム勢力による政権に交代。両国では、同じスンニ派ハマスを支持する国民が大半を占める。

ハマスへの称賛>

普段はハマスに批判的なガザ地区の政治アナリスト、タラル・オカル氏も「われわれはハマスに敬意を表している」と評価する。「組織化されているように見えるし、自分たちの行動を理解し、目標達成のために代償を払う用意があるようにも思える。一般市民は彼らに敬意を示すしかない」と称える。

オカル氏は、イスラエルが地上侵攻を行った場合、エジプトをはじめとするアラブ諸国の指導者がどう対応するか、イスラエル自身には予想できないと指摘。「イスラエルはそれほど気に掛けていないかもしれないが、米国や欧州の同盟国はそうではない。欧米は新たな中東における自分たちの利益を心配している」と分析する。

イスラエルの対空防衛システム「アイアン・ドーム」が機能していることなどで、商都テルアビブに飛来したロケット弾による犠牲者や被害はこれまで出ていない。しかし、イスラエル市民が避難所に駆け込む様子にハマスはしたり顔だ。

今回の戦闘は依然として一方的な戦闘で、その勢力や戦果もイスラエルが圧倒している。14日にガザへの空爆が始まって以来、イスラエル側の死者は3人だが、パレスチナ側は65人に上り、そのほとんどが民間人だ。しかし、ハマスは世界的な世論をめぐる戦いでは、重要な勝利を収めつつあると考えている。

<陰に隠れたアッバス議長>

一方、パレスチナ自治政府アッバス議長は、ハマスの指導者に連帯を示し、イスラエルの軍事行動を停止させるために最善を尽くす用意を表明した。

アッバス議長は、パレスチナの独立国家運動を推し進める指導者だが、ハマスをめぐるガザ地区での戦闘の陰に追いやられている。

商店や学校は閉まったままだが、テルアビブに向かうとみられる長距離ロケット弾の爆音が聞こえるごとに、通りで歓声を上げる市民も見受けられる。

ハマス軍事部門の広報官アブ・ウバイダ氏は、「前回の戦闘が22日間続いたなら、今回はもっと長く続ける準備はある。イスラエル側はそうではない」と士気を高める。

前回の2009年1月初旬と同様、今回もイスラエル軍による地上侵攻の危機は迫りつつある。ハマスには装甲車両や戦車はないが、新型の対戦車ミサイル保有し、イスラエル軍が侵攻すれば、奇襲をかけるとしている

そして、地上侵攻となった場合でも、パレスチナ人はイスラエルが得るものはないと考える。

前出のアーメド氏は、「イスラエルが侵攻すれば、何百人もの民間人が殺されるかもしれない。しかし、撤退すればロケット弾が追撃し、イスラエルは敗れる」と期待を込めるように語った。

(ロイター日本語サービス 原文:Douglas Hamilton、翻訳:橋本俊樹 編集:宮井伸明)

まぁ中東の地図は塗り替わっていると本当に実感できるニュースでした。