日本の国益とPKOは無関係ではないそうだ。

ちょっと古いのですが、PKOでアジア中東部長(今問題のシリアを含む)を務める中満泉さんから産経新聞にメールが来たそうです。見出しや最後の結論はどうかと思うのですが、現場からの切実な訴えです。

「普通の国」だったら邦人殺害も… 先読みして先取りする能力を

 「先が見えないまま、激変しつつある国際社会とグローバル化に対し、日本社会は対応不能になっていませんか」。国連平和維持活動(PKO)局でアジア中東部長を務める中満泉(なかみつ・いずみ)さん(49)から寄せられたメールには、こんな根源的な疑問が提起されていた。

 西サハラから東側のPKOを実質的に統括する彼女にとって、日本の現状は歯がゆいとしか言いようがないものだ。例えば、緊迫化を強めるシリア情勢に関し、各国は連日、中満さんに面会を求めてくる。

 アサド政権の崩壊を視野に、PKOがいつ、いかなる形で派遣されるのかを知るためである。その情報を踏まえながら、自国が国際社会でいかなる役割を果たすべきなのか、果たせるのかを決めていく

 パワーバランスが崩れ、新たな秩序が構築される中、自国の国益をいかに確保するかで、しのぎを削るのが国際政治の現実である。

 ところが日本の姿はほとんど見えない。日本の生命線であるシーレーン海上交通路)が世界秩序の変動に直接影響を受けることが示すように、最も影響を被る国だというのに、秩序作りに関与しようとはしない。それどころか、1月には安全を確保できないとの理由でイスラエルとシリア国境のゴラン高原に派遣していた自衛隊を撤収させた。

 「わたしの国旗と国連旗がともに揚がる風景ほどうれしいものはない」。自らのブログに昨夏、南スーダン自衛隊宿営地訪問の印象をこう記した中満さんは、「日本は世界の中での立ち位置を真剣に考えるべきです」と訴える。日本が他の国々を巻き込み、支援を取り付けて国際社会でプレゼンスをみせて、初めて国益は確保できるという。

 そのためにも「グローバルなレベルで十二分に活動できる人材」を育て、「状況を先読みし、先取りできる能力がある国」になるべきだと語る。アルジェリアの邦人殺害も「普通の国」として国際の平和と安定に参画していたら、どうだったか。 (論説委員長 中静敬一郎)

シリアPKOの流れとしてはまだ何も決まっていないでしょうが、2012/10からもう話が出てます。

新PKOの派遣計画策定=シリア内戦で国連
 【ニューヨーク時事】国連のラズース平和維持活動(PKO)局長(事務次長)は22日、国連本部で記者会見し、シリア内戦で停戦が実現した場合に備え、新たなPKO部隊の派遣計画を策定中であることを明らかにした。

 局長は、予想される停戦状況などに応じて複数の案を準備していると説明。規模については「状況や任務によって異なる」として言及を避けた。3000人規模とする一部報道に関しては「完全に理論上の数字だ」と述べるにとどめた。

 国連は戦闘停止を目指し、4月以降、最大時300人の停戦監視団を展開したが、情勢の悪化を受けて8月に撤収に追い込まれた。

 内戦の調停に当たる国連とアラブ連盟共同のブラヒミ特別代表は26日から3日間のイスラム教大祭「イードアルアドハー」(犠牲祭)中の停戦を紛争当事者に呼び掛けたが、停戦実現は困難視されている。

2012/11 そして日本にPKO関連で注文も出てました。

医療班や警官の派遣を=日本、一層のPKO貢献可能―国連次長
時事通信 11月4日(日)19時14分配信

 国連平和維持活動(PKO)担当のラズース国連事務次長は4日、都内で時事通信のインタビューに応じ、「施設部隊員や医療班、警官とりわけ女性警官など、高い技能を有する人材を特に必要としている」と述べ、日本政府に対しPKOへの積極的な派遣を求めた。

 ラズース事務次長は「日本は(PKOで)重要な役割を果たしてきた」と評価した。一方で、計10万人規模のPKO要員のうち、日本からは527人の派遣にとどまっていると述べ、「多いとは決して言えない」と指摘。「(日本の法的な)制約の中でももっと貢献できるはずだ」と期待を表明した。

<PKO>日本は人的協力少ない…国連ラドゥス局長


PKOのエルベ・ラドゥス局長=2012年11月4日、西川恵撮影

 来日中の国連平和維持活動(PKO)のエルベ・ラドゥス局長は4日、本紙と会見し、日本が関わるPKOについて「質的に高い貢献をしてもらっているが、人数ではまだ少ない。憲法問題があるのは理解しているが、PKOへの協力は日本にとっても利益となるはずだ」と述べた。

 現在、日本はゴラン高原、ハイチ、南スーダンのPKOに自衛隊を派遣。ハイチは来月から撤収する。同局長は「3・11(東日本大震災)があっても自衛隊はハイチにとどまり、素晴らしい貢献をしてくれた」と評価。その上で、日本は財政面で約12.5%を分担しているのに、派遣人数がPKO全体の5%(約5000人)にとどまっていることなどをあげ、さらなる協力を求めた。

 新たなPKO派遣先候補として、同局長はソマリア、マリ、シリアの三つを挙げた。シリアについては「いろいろなシナリオを想定し準備を進めている。しかし少なくとも完全な停戦が実現する必要がある」と述べた。またシリアとイスラエルが対峙(たいじ)するゴラン高原で、PKOが監視する非武装地帯にシリア政府軍が装甲車を進入させるなどの動きが続いていることについて「イスラエルへの挑発になる。新たな戦線を開かないでほしい」と述べ、シリア政府に再三、注意を喚起していることを明らかにした。

 南スーダンについては「スーダン南スーダン両政府で合意が成立して落ち着いた。後は合意を実施に移すことだ」と指摘した。【西川恵・外信部専門編集委員

まぁこの国連の訴えを無視して12月から撤収したわけですね。そのゴラン高原PKO撤収ですが、日本の新聞を見ていても誰が決定したのかを知ろうとしても、主語がなかったり「政府」となっていたり分からなかったのですが、イランラジオが多少書いていました。

日本の自衛隊第2陣がシリア高原から帰国
PKO国連平和維持活動に参加してきた日本の自衛隊第2陣が、シリアのゴラン高原から帰国しました。

共同通信によりますと、12名からなるこの第2陣は、17日木曜、成田国際空港に到着しました。

この帰国は、先月の、シリアの治安悪化を理由にした森本防衛大臣の警告を受けて行われたものです。

これ以前にも、昨年12月末に、第1陣の33名が、ゴラン高原から撤収しています。

萱沼隊長は、第2陣がゴラン高原から帰国したことを認め、「自衛隊は1996年から PKOに参加してきたが、これは日本にとって大きな名誉だ」と語りました。

シリアでは、2011年3月以来、サウジアラビアカタール、トルコ、アメリカ、フランスの支援を受けたテログループが、一部の都市に情勢不安を引き起こしてきました。

テロリストは、シリアのアサド民主政権を交代させようとしています。

しかしなぜイランラジオ…
追記:
これ書いたとき酔ってたんで、書こうと思ったことを書かないまま〆てしまいました(今も飲んでますけど)。

まず僕はこのゴラン高原からのPKO撤退の意図が見えず不思議に思っています。安倍首相は自衛隊を使える軍隊にしようと思っていると見えるのですが、それにはまず国連の元に動いているPKOから始めるのが反対も少ない気がします。実際にPKO協力法案などを出しているわけですが、法案が通ってからまたシリアにPKO派遣というと、ゴラン高原にいつづける事よりハードルが高い気がします。

まぁ情報が少ないのでなんともいえないのですが、自衛隊そのものが攻撃目標になっており、とても危険な状況だったとか、そういう事情があるのでしょうか。

また日本のPKOの人数が少ないというPKO担当のラズース国連事務次長の話ですがこれには疑問を感じます。国連平和維持活動への派遣人数(国別実績)を見ると、米国より多いじゃないかと思ってしまうのですが。米軍は150万人、自衛隊25万人と米国と比べるのは無理がありますが、英国軍18万で、PKO人数はほぼ同じなので敵国がある国としては順当ではないかと思うのです。