イスラエル・リブニ外相来日 日本の開発援助計画に疑問

とりあえず転送歓迎とありましたので、ちょっと古いですけど転載しておきます。
http://0000000000.net/p-navi/info/column/200701160150.html


***臨時「ナブルス通信」(転送歓迎)***

17日、イスラエルから外務省の招きでリブニ外相が来日する。主な用件は、安倍総理、麻生外務相緒方貞子JICA理事長らと、日本がうちあげた「平和と繁栄の回廊」構想について話し合うためだという。

この「平和と繁栄の回廊」構想は、パレスチナ自治政府イスラエル、ヨルダン、日本からなる4者の協議体を立ち上げ、日本のODAを戦略的・機動的に活用して、ヨルダン渓谷西側地域において、具体的な協力をしていくものだと外務省は説明している。実際には農産業団地の設置などが構想されているらしい。

しかし、この計画の根本的なところに問題がある。構想されているヨルダン渓谷の西側とは、イスラエルが占領下に置き、パレスチナ人の通行さえ厳しく制限されている地域であるからだ。

パレスチナ情報センター」で用意した「日本政府およびJICAへの意見書サンプル」にその根本的な問題が書かれているので、引用しよう。


「平和と繁栄の回廊」構想について

内閣総理大臣 安倍晋三 様
外務大臣 麻生太郎 様
外務省 中東アフリカ局長 奥田紀宏 様
JICA理事長 緒方貞子 様

イスラエルのツィピ・リブニ外務大臣が来日し、政府およびJICA理事と日本政府が提出している「平和と繁栄の回廊」構想を巡って話し合いがもたれると考えられますが、この構想には懸念すべき点があまりにも多いと言わざるをえません。

現在、この「平和と繁栄の回廊」構想が対象にしているヨルダン渓谷西岸側は、イスラエルの占領下に置かれており、それ自体が国連決議に反するほか、国際法に照らせば違法であるユダヤ人入植地が散在し、パレスチナ人の移動は厳しく制限された状態にあります

イスラエル政府首脳陣は、繰り返し「ヨルダン渓谷は恒久的にイスラエルのものとなる」という発言を繰り返し(2005年シャロン、2006年オルメルト)、この地域の入植地拡大は現在も進められています。

その状態を放置したまま、農産業団地による開発を援助しても、それは現にある占領を固定、補強するものになりかねないと考えられます。そのような占領地での開発援助は国際法違反となる可能性もあります。

そして、実際にその農産業団地によって、パレスチナ人にどのような利益があるのでしょうか。

「二国家構想の実現には、持続的な経済開発を伴う、健全なパレスチナ国家をイスラエル、ヨルダン等近隣諸国との協力を得て樹立することが不可欠。」とこの構想のプレスリリースにはありましたが、ヨルダン渓谷地域のイスラエルの占領をそのままにしてはパレスチナの従属状態は深められるばかりで、パレスチナが国家として成立することも、持続的な経済基盤を持つことも不可能だと思われます。

イスラエルの占領を問題にしないかぎり、この構想には根本的な欠陥があると考え、構想の取り消し、または抜本的な見直しを求めます。

この問題をとりあげた
「特集:「平和と繁栄の回廊」構想」 [パレスチナ情報センター]
http://palestine-heiwa.org/feature/oda/
には、日本が開発援助を考えている地域の地図があって、その土地の状況がかなりわかりやすくまとめられている。

また、この構想の詳細な問題点検証をした文章へのリンクも揃っている(外務省のプレスリリースへのリンクも)。


「もしイスラエルがこの回廊構想に同意することがあるとすれば、イスラエルにとってこの地域の安定がもたらされると判断したときであろう。この「安定」とは、豊饒なヨルダン渓谷のユダヤ人入植地の農業活動に支障をきたさないとか、そういうことが優先され、それに反しない範囲で、ということが前提されている。」( 「日本政府のヨルダン渓谷開発援助計画のナゾ」 早尾貴紀より)
まだこの構想の具体的な姿は明確にされていないが、現時点で少なくとも言えることが多い。


日本の税金が意味不明な、または占領を支えるような開発に使われないよう、日本政府への意見を表明していくことも大事だとナブルス通信は考えます。ぜひ、「特集:「平和と繁栄の回廊」構想」 http://palestine-heiwa.org/feature/oda/ を読んでみてください。そして、ご意見を政府に届けることをお勧めします。(宛先も「特集」内に)