【台湾有情】「日本語世代」の失望

http://www.sankei.co.jp/kokusai/china/070406/chn070406001.htm


 「傷口に塩をすり込まれた。今まさにそんな思いです」。ある会合で偶然、隣り合わせた台湾人男性が切り出した。彼は日本統治下の台湾で読み書きを日本語で覚えた、いわゆる「日本語世代」。「切って捨てられたとは思いたくないが、結局は“同床異夢”ということなのでしょうか」

 学生寮の所有権をめぐる光華寮訴訟で、「中国の代表権」を失った台湾が原告として行った法手続きは、すべて無効だとの判断を下した先の最高裁判決のことである。

 判決を踏まえ、台湾当局は日本政府に向けて、「中国の温家宝首相の訪日に影響を受けたのではないか」と非難のメッセージを送った。訪日直前に下された司法判断に、くだんの男性が、「日本は司法も台湾を踏み台にして中国にこびを売るのか」と深読みするのも心情的には理解できる。

 法的存在を国際的に認められない台湾の人々、中でも「日本人との心の絆(きずな)は生きる糧」と言い切る台湾の“元日本人”たちが、「棺おけに片足を突っ込むわれわれを切り捨てる判決だ。義理と人情は日本人の美徳ではなかったのか」と、憤懣(ふんまん)やるかたない思いを抱くのも、無理からぬことだと思うからだ

 日中関係の重要性は言うまでもない。法解釈も専門家に譲るとしよう。ただ、彼らが判決に抱く失望感や挫折感もまた、厳然たる事実である。日本は、台湾の旧宗主国として、この現実を厳粛に受け止めて、理解する責務はないのだろうか。

 (長谷川周人)

■台湾に原告権限なし 日中共同声明で消滅
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070328/1175084145
のことですなぁ。こういう事になってるんですな。