<イラク>バルザニ・クルド地域政府議長、本紙と単独会見

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070407-00000021-mai-int
毎日新聞の方が長いのでそっちのほうを。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20070407k0000m030159000c.html


イラク:バルザニ・クルド地域政府議長、本紙と単独会見
クルドの民族衣装姿で会見に応じるバルザニ・クルド地域政府議長=高橋宗男撮影

 【アルビル(イラク北部クルド人居住区)高橋宗男】イラクのバルザニ・クルド地域政府議長は5日、クルド人居住区アルビル北東約30キロにあるサラハディンの議長府で毎日新聞と単独会見した。イラク北部の石油都市でその帰属をめぐり、論議が続くキルクークについて、議長は「歴史的にも地理的にもクルディスタンクルド人の土地)の一部であることに論争の余地はない」と強調し、キルクークを含むタミン県のクルド地域への帰属を問う住民投票を、予定通り年内に実施するようイラク政府に求めた。

 クルドの2大政党の一つ、クルド民主党を率いる議長は住民投票を年内にすることがイラク憲法に定められていると指摘した上で、「住民投票の延期は憲法違反」と指摘し「法に基づいた解決を望んでいる」と述べた。

 埋蔵量世界第3位を誇るイラクの石油の大半がキルクーク周辺にある。また、クルド人、アラブ人、トルコ系のトルクメン人らが混住する多民族都市でもある。

 米紙ワシントン・ポストによると、隣国トルコのグル外相は2月、「キルクーククルドに帰属すれば、最悪のシナリオはイラクの分断だ」と述べ、住民投票中止を訴えた。推定1000万人以上のクルド人口を抱えるトルコは、トルコ国内で独立運動が先鋭化するのではと危惧(きぐ)しているためだが、バルザニ議長はこうした動きを「主権国家イラクへの内政干渉だ」と強い不快感を示した。

 議長は周辺諸国が懸念する「クルド独立」について、「憲法クルド地域政府の権威を明確に定義しており、我々はイラクの連邦制システムの一部であり続ける」と強調した。しかし「20年、30年先の世界は予測不可能だ」とも述べ、「クルディスタンのような(民族的一体性のある)地域の独立は自然権である」と、将来の独立の可能性に含みを持たせた。

 ◇解説…編入なら「内戦」の懸念

 クルド地域政府のバルザニ議長が強い意欲を表明したとおり、石油都市キルクーククルド地域に編入された場合、キルクークバグダッドに次ぐ「内戦」の舞台になりかねない。クルド人勢力が膨大な石油資源を押さえることにつながるためで、多くのクルド人口を抱えるトルコやイランも事態を注視している。

 キルクーククルド人やアラブ人、トルクメン人、キリスト教徒らが混在する都市。クルド人は「歴史的に我々の勢力圏だった」と主張する。人口動態に関する最近の統計は存在せず、1957年の統計によると、クルド人は6割強を占める。

 フセイン元大統領は就任した79年以降、キルクークのアラブ化を進めた。他地域からアラブ人を移住させ、アラブ人以外の民族が追放された。アラブによる石油資源の確保が狙いだった。

 03年4月のフセイン政権崩壊後、「勝ち組」のクルド人勢力はキルクークへの帰還を奨励した。05年10月に制定されたイラク憲法は、07年内にクルド地域への編入を問う住民投票を実施すると規定した。イスラムスンニ派が政治プロセスをボイコットした影響もあり、行政機関や治安機関の大半はクルド人で占められ、住民投票が実施されれば、クルド地域への編入は間違いない。

 こうした動きに反発するイスラムスンニ派武装勢力トルクメン人組織は、イラク戦争終結後の早い時期からクルド人を爆弾テロの標的にしている。一方で、クルド人政党の民兵組織や治安部隊がアラブ人やトルクメン人を拘束し、クルド地域に連行しているとの報道もある。

 今年に入り、キルクークの治安はさらに不安定化している。各派の衝突が激化した場合は、バグダッドなどで起きている宗派間対立以上の民族間対立に発展する可能性がある。それだけに年内に実施される予定の住民投票が新たな「内戦」への引き金になるとの懸念が高まっている。【アルビル高橋宗男】

毎日新聞 2007年4月7日 3時00分

やはり中東情勢は複雑ですな。しかし住民投票中止なんて訴えていいんでしょうか。

こんな記事もありました。
イラク:旧フセイン時代の移住アラブ人に補償金と土地提供
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20070402k0000m030069000c.html


 ロイター通信などによると、イラク政府は、旧フセイン政権の「アラブ化政策」で、主にクルド人が住む都市として知られたイラク北部キルクークに移住させられたアラブ人家族が、自主的に元の居住地に戻れば、補償金2000万ディナール(約180万円)と土地を提供することを決めた。

 キルクークは周辺に油田地帯が広がり、旧フセイン政権は、アラブ人支配を確立するためクルド人を別の土地に強制移住させ、アラブ人を入植させた。旧政権崩壊後はクルド人が多く帰還している

 クルド人は、キルクーククルド人自治区への帰属を主張。年内にも帰属を決定する住民投票が行われる。(カイロ共同)

毎日新聞 2007年4月1日 20時38分