ロストロポーヴィチ氏死去 日本愛した反骨の人

http://www.sankei.co.jp/shakai/fuho/070428/fho070428002.htm

 日本を愛した世界的なチェリストで指揮者のムスティスラフ・ロストロポーヴィチさんが亡くなった。

 旧ソ連当局ににらまれたサハロフ博士を擁護し、ノーベル賞作家ソルジェニーツィン氏を自分の別荘にかくまった反骨の人だった。この性格は日本でも発揮された。平成12年2月、東京で小澤征爾さんとチェチェン難民などに毛布を贈るチャリティーコンサートを行った。出演料に税金がかかるため純益が減ることに、怒りの記者会見を行ったこともある。

 日本の皇室とも縁が深かった。平成16年10月、皇后さまの古希を祝うため御所で演奏会を開く予定にしていた。しかし、皇后さまの希望で一般に聴けるチャリティーコンサートとして行った。

 バイオリニストの前橋汀子さんは10代のころレニングラード音楽院で指導を受けたのが出会いといい、「皇后陛下がピアノ、私がバイオリン、先生がチェロのトリオで演奏したことが忘れられません」と振り返った。

 音楽だけではない。すしが好きで、来日するたびに東京の築地市場を訪れた。「ここは私にエネルギーを与えてくれる。“競り”には音楽のリズムがあり、仲買人は自分独自のスタイルを持つアーティストだ」と音楽家らしく話していた。

 また相撲好きで、九重親方(元横綱千代の富士)とも長いつきあい。昨年12月にサントリーホール(東京・赤坂)での公演を聞き、楽屋を訪ねた親方は「自筆の『忍』と書いた色紙をお渡ししたら大変喜ばれ、『大事にします』と語っておられたのが印象的でした。そのときは本当にお元気でしたのに…」と悼んだ。

日本好きな人だったんですねー。ご冥福をお祈りします。