米テロ年次報告、拉致問題の記述後退 北朝鮮関係は7行

http://www.asahi.com/international/update/0501/TKY200705010096.html

 米国務省は30日、06年版のテロ年次報告書を発表した。北朝鮮は「テロ支援国家」にとどまったが関連記述は減少、特に拉致問題への言及ぶりが後退した。一方、米朝テロ支援国家の指定解除について作業を始めることも明記された。

 報告書は、拉致問題について、「日本政府は北朝鮮の国家機関に拉致されたと見られる12人の運命について完全な解明を求め続けている。うち5人は02年以来帰国している」とだけ触れた。

 拉致問題に言及のあった03年版から05年版までの北朝鮮に関する記述は、拉致問題の次に「よど号乗っ取り事件」に関与した元赤軍派に言及していたが、逆に今回の報告書は赤軍問題を先に記述。北朝鮮に関する記述の分量は7行で、03年版と比べると半分ほどの長さになった。05年版と比べると、拉致問題の経緯や韓国人拉致に関する記述が姿を消し、報告書における拉致問題の比重は年々下がっている。

 米国は2月の6者協議で北朝鮮テロ支援国家の指定を解除する作業を始めることで合意。3月にニューヨークで開いた米朝作業部会で話し合いを始めた。日本側で拉致問題が置き去りにされるとの懸念が広がり、27日の日米首脳会談では、ブッシュ大統領が「指定解除の問題では、拉致問題を考慮に入れる」と語っていた。

 ライス米国務長官は30日の麻生外相との会談で、報告書について、「拉致問題に関する米政府の認識、政策とは次元が違う。事実関係を記述したものだ」と説明した。国務省対テロ室のアーバンチック調整官代行も、指定解除について「決めたわけではない。時間表も決まっていない」と述べた。

 北朝鮮以外にテロ支援国家に指定されているのは、イラン、シリア、キューバスーダン北朝鮮は88年1月、指定を受けている。

 報告書によると、全世界における06年のテロ発生件数は1万4338件で、05年の約29%増。うちイラクで6630件(05年3468件)が発生し、全世界のテロ件数の半数近くを占めている。全世界でのテロによる死者は2万498人と、前年に比べ約40%増えた。

やっぱり拉致問題扱い軽くなってますな。