産業支援復興訴え ミャンマー・サイクロン遭遇の関大准教授

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080525-00000954-san-int

 ミャンマーで13万人の死者・行方不明者を出した大型サイクロンが直撃した際に、調査研究で同国を訪れていた関西大学経済学部の後藤健太准教授(経済発展論)が、産経新聞の取材に応じ、ヤンゴン市内の惨状を語った。25日には日本からも医療チーム派遣のための調査団が現地へ出発したが、東南アジアの経済が専門の後藤准教授は「苦しんでいるのは普通の市民。やっと経済発展の兆しが見えていた矢先の天災で、ダメージは計り知れない」と産業復興への支援も訴えている。

 後藤准教授は4月27日から約1週間、現地の縫製産業の調査で初めてミャンマーを訪れた。中でも、同国最大の都市ヤンゴンの美しさは「緑の楽園の中にいるようだった」という。だが、調査を終えて帰国直前の5月2日深夜から3日未明にかけて、巨大なサイクロンがヤンゴン市内を直撃。街の風景は一変した。

 宿泊していたホテルの窓ガラスはたたきつけるような風と雨で割れ、窓から離れた場所で耐えるしかなかった。ホテルの外では電柱や看板なども猛烈な勢いでなぎ倒されていったという。後藤准教授は「日本では経験したことのないような威力。郊外にたくさんあったわらぶき屋根の簡単な木造の家屋はひとたまりもなかっただろう」と話した。

 被害の大きさに加え、現地の人々が天災への知識に乏しく、正確な情報が少なかったことも危ぶまれた。現地では直後から「すぐにまた大きなサイクロンが来る」「空港の管制塔が吹き飛んで、3カ月くらいは空港が閉鎖される」などのデマが飛び交い、住民が不安を覚えていたという。

 後藤准教授とともにミャンマーを訪れていたNPOメコン総合研究所」の岩城良生さん(38)は「街の8割がいまも停電のままで復旧の見込みが立たない。家を失い、ホームレスになった人も数十万人はくだらない。今はできることをするしかない」と惨状を訴える。また、現地でコレラが発生しているという情報もあり、「衛生環境が悪い中で子供たちの健康状態が心配」と話した。

 今回の被害はミャンマーの成長産業として成長軌道に乗っていた繊維産業への影響も計り知れないという。後藤准教授は、「日本向け輸出も増えつつあったところだったのに」とサイクロン被害を嘆き、「途上国が発展するには産業の発展は不可欠。国としても何らかの具体的な支援を考えなくてはいけない」と話した。

ミャンマーというと国民のことをろくに考えない軍政というイメージでしたが、産業もあったんですね。たしかに、ただ物資や金を渡して支援というより、産業の復興を支援するような事の方が良いでしょうね。