赤十字マーク無断着用、大統領が謝罪 コロンビアの人質救出作戦

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080717-00000905-san-int

 【ロサンゼルス=松尾理也】南米コロンビアのウリベ大統領は16日、左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」に対して人質となっていた元同国大統領候補、イングリッド・ベタンクールさんらの救出作戦を決行した際、同国兵士がFARC側を欺くため赤十字の記章を付けていたことを認め、謝罪した。

 世界各地の紛争地で人道・医療支援を行う赤十字は、いかなる政治、軍事勢力からも中立の立場を保持しており、軍事行動の際の赤十字マークの無断使用はジュネーブ条約で禁止されている赤十字国際委員会(本部・ジュネーブ)の報道官はコロンビア政府から謝罪があったことを認めた上で、今後もFARCが拘束する人質解放に向けて努力を続けることを表明した。

 記章の無断着用は、救出に向かう兵士の胸に赤十字マークが付けられている写真が米CNNテレビなどによって報道されたことがきっかけで明るみに出た。同国政府が調査したところ、兵士の1人が「拠点に着陸する直前、あまりに大勢のゲリラがいたため恐怖を感じ、着用してしまった」と認めたという。

 ウリベ大統領は「無断着用を申し訳なく思っている」と謝罪した上で、救出後に地上に残された50人以上のゲリラを一切攻撃することなく引き揚げたことなどを挙げ、「作戦はあくまで救出のためであり、攻撃ではなかった」と釈明した。

【関連記事】
・「生涯ここで」元人質のベタンクール氏語る
・「食事はコメとマメだけ」「鎖で杭に縛り付けられた」人質らジャングル生活を語る
・元大統領候補ら15人救出 コロンビア軍、ゲリラから
・【因数分解】コロンビア元大統領候補、6年ぶり救出
・FARC最高司令官死亡か 伝説的南米ゲリラ指導者

変わった事件だと思ったのですが、結構報道されてますね。
人質救出劇で赤十字標章を流用=不正を謝罪−コロンビア大統領
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080717-00000024-jij-int
<コロンビア>国軍が赤十字マーク不当使用 人質救出作戦で
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080717-00000024-mai-int

CNNの日本語報道ありますね。
FARC人質救出作戦で赤十字ロゴ利用か 「戦争犯罪」の疑いも
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200807160031.html


公式映像で救出劇にかかわった兵士が身に着けている服装には、赤十字のロゴの一部のように見えるものが映っている

ボゴタ(CNN) コロンビア軍が左翼ゲリラのコロンビア革命軍(FARC)から人質15人を救出した7月2日の作戦で、赤十字の紋章を使ってFARCをだました疑いが浮上した。事実とすれば、戦争犯罪に当たる可能性が指摘されている。

CNNは、コロンビア軍が人質救出作戦に向かう直前に撮影されたとする未公開の写真と映像を、ある軍関係者から示された。救出劇は2日、人質を別の拠点に移送すると見せかけて、国際支援団体を装った軍のヘリに引き渡させたが、写真の中には同日の日付が付いたものもあった。

うち1枚はコロンビア軍の兵士約15人がヘリコプターの横に並び、うち1人の服装には、中央に赤十字をあしらい、周辺を「Comite International Geneve」の文字で囲んだシンボルマークが付いていた。

写真の男性は、救出劇の2日後に国防省がメディアに公開した人質救出作戦のビデオ映像にも登場し、画面には赤十字のロゴの一部のように見えるものが映っている。

未公開写真と映像を示した軍関係者はCNNに買い取りを求めて来たが、CNNは要求された金額の支払いを断った。このため本物かどうかは確認できていない。

国際法曹連盟(IBA)幹部の国際法専門家マーク・エリス氏によると、赤十字のロゴをこのような形で使うことは、ジュネーブ条約と国際人道法で定める「戦争犯罪」に当たる可能性があり、今後の人道支援活動を危険にさらしかねないという。

「これは中立のシンボルであり、条約ではその利用を厳格に規定している。不正利用されれば中立性が弱まり、(赤十字の)弱体化につながる」とエリス氏。

コロンビアのウリベ大統領と軍高官は、人質救出で国際人道支援のシンボルマークを利用したとの疑惑を断固否定。政府と軍の報道官も14日、救出劇に使ったロゴや紋章はすべて架空のものであり、正規のシンボルマークは使っていないと強調した。

一方、ボゴタの国際赤十字委員会広報は、赤十字は救出作戦にかかわっていないと強調。赤十字の紋章が使われたとの情報については、現在コロンビア政府との間で「非公式の話し合い」を行っていると語った。

しかしジュネーブ条約違反の戦争犯罪というシビアさは、ときには命をかけた人道支援をしている人たちからみると、自衛隊人道支援しているような感じではなく、全然世界が違うんでしょうね。