「核開発の父」カーン博士、報道機関との接触を禁止

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080721-00000020-yom-int

 【イスラマバード=佐藤昌宏】パキスタンイスラマバード高等裁判所は21日、同国「核開発の父」アブドル・カディル・カーン博士に対し、「核の闇市場」など核拡散問題に関する報道機関の取材を受けることを一切禁じる命令を下した

 博士は最近、本紙の書面インタビューのほか、通信社数社の電話インタビューなどに応じ、核拡散にパキスタン陸軍が組織的に関与していたことを強く示唆。軍や政府は、これに強く反発していた。高裁命令は、軍や政府の意向をくんだものとみられる。

 訴訟は元来、博士の妻らが博士の自宅軟禁解除を求めて起こしたもの。高裁はこの日、「親類を訪問する目的なら国内を移動出来る」と規制を若干緩和した。

同じ日に
パキスタン>カーン博士の自宅軟禁、条件付きで解除
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080721-00000034-mai-int

 【イスラマバード栗田慎一】パキスタンイスラマバード高等裁判所は21日、政府に対し、イランや北朝鮮などに核技術を供与したとされるカーン博士の自宅軟禁を条件付きで解除するよう命じた。高裁はまた、博士に対しても核拡散問題についてメディアに証言することを禁じた

 カーン博士は04年から自宅軟禁下にある。博士側は7月初め、「人権侵害だ」として提訴していた。高裁は外出条件として、家族や親類、友人らと会ったり、治療を受ける目的で、政府が行程の安全を確認した場合に限るとしている。

 博士はムシャラフ政権が2月の総選挙で事実上崩壊した後、核拡散への関与について「無実だ」と主張している。

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とありました。
過去の記事では
遠心分離器の北朝鮮発送「陸軍参謀長が許可したはず」とカーン博士
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080706/1215351455
とありましたが、調べてみるとカーン博士の発言他にもありますね。

「政府が事実ねじ曲げた」核技術提供をカーン博士否定
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080703-OYT1T00143.htm

 【イスラマバード=佐藤昌宏】パキスタンの「核開発の父」と呼ばれるアブドル・カディル・カーン博士(72)は、本紙の書面インタビューに答え、博士が2004年、北朝鮮やイランなどへの核技術提供を認めてムシャラフ大統領に謝罪したとする当時のパキスタン政府の公式発表を一切否定し、「(当時の)政府指導者が自己利益のために事実をねじ曲げた」と批判した。

 政府は04年以降、博士を自宅軟禁している。

 博士は、自身が中心的な役割を果たしたとされる闇市場の存在には一切言及しない一方で、「軍の許可なくどんな情報も持ち出せる訳がない」と再三強調、政府や軍の了解なしでの核技術提供は不可能との認識を示した。

 大統領が06年刊行の自著で、「博士がウラン濃縮用の遠心分離器約20基を北朝鮮に送った」と記したことについて、「私は送っていない。そう主張しているなら、『(核開発の中心施設だった)カーン研究所』は軍の厳重な管理下にあるので、発送の許可に軍幹部がかかわっていたはずだ」と反論した。

 リビア、イランへの技術提供についても、「我々が使っている核関連技術の提供者は信頼が置けるので、同じ提供者を使うよう助言しただけ」とした。
(2008年7月3日03時01分 読売新聞)

北朝鮮への核技術流出はパキスタン軍も承知、カーン博士
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200807050023.html

イスラマバード――パキスタンの「核開発の父」と呼ばれ、「闇市場」を主導し北朝鮮やイランへ核技術を供与したとされる核科学者カーン博士は4日、北朝鮮向けに2000年に実施したウラン濃縮に使われる遠心分離器の輸送はパキスタン軍の監督下で実施したことを明らかにした。AP通信の取材に応じて語った。

1999年の軍クーデターで陸軍参謀長として実権を掌握したムシャラフ大統領もこの輸送を承認していたことを示唆する内容となっている。カーン博士によると、輸送は北朝鮮機で実施され、軍は送られる物資の中身を十分に承知していたという。

同博士の今回の「暴露」はパキスタンのメディアでも大きく扱われたが、同国外務省の報道官は核の闇市場に関する調査は終結しているとのコメントを示すにとどまっている

核の闇市場の活動では博士が04年、北朝鮮などに核技術を流出したことを認めた。ムシャラフ大統領は、政府や軍は関与していないとし、あくまでカーン博士の個人的な行為として疑惑に決着を付けていた。

ただ、軍や政府高官の関与なしに外国へ核技術が供与されることへの疑問は前からあった。

パキスタンは現在、反ムシャラフ大統領の連立内閣となっており、2004年以来の博士の自宅軟禁解除を求める声もある。政局の変動に従い、カーン博士も核技術流出に関する自らの告白はねつ造だったとする立場を打ち出し始めている。

もうちょっと前になって1993年の事だと、
故ブット元首相が北に核情報? ワシントン・ポスト電子版
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080603/1212445236
とありましたね。