「私は待てない」リトビネンコ氏暗殺から2年 妻が死因審問求める

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081123-00000556-san-int

 【ロンドン=木村正人】ロシア連邦保安局(FSB)元幹部、リトビネンコ氏が放射性物質ポロニウム210で毒殺されてから23日でまる2年となった。ロシアが容疑者の引き渡しに応じないため事件が膠着(こうちやく)する中、妻のマリーナさん(46)は産経新聞と会見し、「英政府はいつまでも待てるかもしれないが、私は待てない」と述べ、夫の死因審問を求めていることを明らかにした。

 ロンドン警視庁ポロニウム210の追跡調査や関係者の事情聴取でFSBの前身であるソ連国家保安委員会(KGB)元職員、ルゴボイ氏を容疑者と断定した。英政府はルゴボイ氏の引き渡しを要求しているが、ロシア政府は拒否。英国内の司法手続きは証拠が検察局に送られたまま完全に停止している。ルゴボイ氏が逮捕、起訴されて英国の法廷に立たない限り、証拠は永遠に開示されない。

 マリーナさんによると、ロシア当局は米英の記者に「リトビネンコ氏は自らポロニウム210を飲んだ」との捜査資料を見せて記事を書かせている。これに対し「毒殺事件の真相を明らかにしたい」として夫の死因審問を求めている。

 死因審問が開始された場合、ルゴボイ氏が不在でも捜査資料が証拠として提出され、公開の法廷で審理される。「ロシアのプーチン首相に致命的な打撃を与える」(英王立国際問題研究所のロシア担当、ジェームズ・ニィキシー研究員)とされる証拠だけに、検視官は審問開始の是非を慎重に検討しているとみられる。

 マリーナさんは「夫に殺される理由はなかった。夫は著名女性ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤさん射殺事件に『プーチン大統領(当時)の悪政が影を落としている』と批判しただけ。プーチン政権下でどれほど人々が冷酷になったかしれない」と言う。

 石油高騰を背景にプーチン首相がロシアで支持されていることについては「強いロシアは私には巨大な幻想にすぎない。再び厳しい時が訪れる」と語った。

■死因審問

 自然死以外の疑いが持たれる死を遂げた人の死因を究明する法的手続き。検視官が証人尋問や証拠の検討を経て自殺、他殺、事故死などの結論を出す。陪審を求める場合もある。刑事責任の追及は行わない。死者の親族は自らまたは弁護士を通じ証人に質問できる。ダイアナ元英皇太子妃の死因審問では陪審員団が「事故死」の評決を下している。

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一方容疑者からの話によると英検察当局も捜査に熱心ではないようで。
「英国家機関が関与」と容疑者 リトビネンコ事件
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081123-00000578-san-int

 ロシア連邦保安局(FSB)元幹部のリトビネンコ氏毒殺事件で、英国が容疑者と断定している旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身のルゴボイ下院議員は23日、国営イタル・タス通信に「事件の捜査は停滞している。リトビネンコ氏の死に英国家機関が関与しており、現状維持が得策だからだ」などと語った。事件当時に実業家だったルゴボイ氏は、昨年12月の露下院選で極右・自民党比例代表名簿第2位に登載され、当選した。同氏は「この1年間で状況は何ら変わっていない。英検察当局が直接、接触してこないのは驚きだ」などとしている。(モスクワ 遠藤良介)

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しかし、『リトビネンコ氏の死に英国家機関が関与』というのは信じがたいですが。