ロシア、米がミサイル防衛計画撤回すれば戦略兵器の開発一部停止へ=通信社

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081219-00000478-reu-int

 [モスクワ 19日 ロイター] インタファクス通信によると、ロシア軍戦略ミサイル部隊司令官のニコライ・ソロフツォフ大将は、米国が欧州におけるミサイル防衛(MD)計画を破棄すれば、ロシアは一部戦略兵器の開発を停止するとの方針を示した。

 それによると、ソロフツォフ大将は「米国が戦略ミサイル防衛システムの欧州配備計画を撤回すれば、われわれは十分な対応をする」と発言。

 「われわれは巨額な費用のかかる計画を多く必要としていない」と述べた。

 米国は、MDシステムの一環でポーランドに迎撃ミサイル、チェコにレーダー施設の配備を計画している。

ふと思ったのですが、ロシアはミサイル防衛反対に関して、中国とどういう関係なんでしょうか。ちょっと調べてみました。

2005/12
露「東のNATO」構想 米に対抗、上海協力機構が土台
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051209-00000008-san-int

 【モスクワ=内藤泰朗】ロシアが、中国や中央アジア四カ国などと作る上海協力機構(SCO)を土台に、新たな軍事機構の創設へと動いている。「東の北大西洋条約機構NATO)」ともいえる機構の構想は、テロとの戦いなど「地域の安定」が目的とされるが、同地域で影響力を広げる米国に対抗する意味合いが強い。「反米軍事同盟」創設のもくろみは弱体化したロシアの現実を浮き彫りにしている。

 ロシアのプーチン大統領は先月末、カザフスタンタジキスタンキルギスベラルーシといった親ロシア的な旧ソ連構成諸国で作る集団安保条約機構の参加国には、ロシアの最新型ミサイル防衛システムを提供する用意があると表明した。

 大統領はシステムの詳細は明かさなかったが、ロシアはこのほか、各国軍人の教育やロシア製兵器の安価での供与、対テロ緊急展開や平和維持を目的とした特殊部隊の創設、集団防衛を目指す統一指揮系統の構築などを各国に提案していることを明らかにした。これらの軍事協力は、国連憲章にのっとったものという。

 ロシアが軍事協力を呼びかけているのは、旧ソ連圏にとどまらない。

 同国有力日刊紙、独立新聞によると、イワノフ第一副首相兼国防相は五日、モスクワでインドのシン首相と会談した後、ロシアが軍事基地を置いている中央アジアタジキスタンに、特別にインド空軍のパイロットを養成する軍事施設を設置することを明らかにした。

 経済成長著しいインドは、ロシア製兵器輸出の25−45%を占める重要パートナーであると同時に米国とも軍事、原子力平和利用協力を拡大しており、ロシアはインド懐柔に躍起となっている。

 ロシアはさらに、核開発をあきらめないイランに対し、原子力分野で協力を継続する方針を固めているほか、ロシア製防空ミサイル供与の契約を締結、「反米国家」との協力関係を強めている。インドとイランは今年から、SCOにオブザーバーとして参加している。

 ロシア国内では、「クレムリンはSCOを経済的な協力機構から軍事同盟にしようと模索している」(独立新聞)、「モスクワはウクライナグルジアなど“反ロシア枢軸”創設に対抗措置を取らなければならない」(有力政治評論家、パブロフスキー氏)といった強硬意見が少なくない。

 ただ、SCOの中核を成す中国は、同機構が軍事ブロックになることには慎重な姿勢を示しており、ロシア側のもくろみは困難な情勢にある。

2006/02
露のミサイル防衛システム 最新型、印に売却提案 軍拡競争で商機狙う
http://www.sankei.co.jp/news/morning/10int002.htm

 【モスクワ=内藤泰朗】武器輸出大国ロシアが、兵器の近代化を急ぐインドに最新型ミサイル防衛システム売却を提案していることがこのほど明らかになった。インドが導入を決めれば、南アジアで初となる。だが、近代軍備を増強する中国を念頭にインドとの関係強化を目指す米国も兵器輸出に動いており、経済成長著しい南アジアでの軍拡競争は避けられない情勢となっている。

 ニューデリーで開かれた兵器見本市のロシア代表団長を務める連邦兵器協力局のジルカルン局次長が二日、ロシア製ミサイル防衛システムのインドへの売却計画が進行中であることを明らかにした。

 ロシアでの報道によると、インドは、隣接する仮想敵国のパキスタンと中国からのミサイル攻撃を想定した防衛システムの構築を検討しており、ロシア側は自国の最新ミサイル防衛システムS300とS400の売却を提案した。

 首都ニューデリーの防衛だけならS300で対応できるが、核施設など全土に散らばる複数の拠点防衛のためには、偵察衛星が敵国のミサイルを発射の瞬間から捕捉して追尾し迎撃する、より強力なS400が有効で、システム構築には五十億−百億ドルが必要だという。

 S300については、中国が購入を決めたと伝えられているが、S400については、どの国も導入に動いていない。

 ロシアは、この十年間でインドに対し約百億ドル(約一兆二千億円)にのぼる兵器を売却。インド軍の兵器の約70%はロシア製となっている。

 ロシアは一方で、インドのライバルである中国にも大量の近代兵器を輸出しており、急速に発展するアジアの二大国を兵器の近代化で競わせ、大きな商機をつかもうとしている姿が浮き彫りになっている。

 しかし、米国は軍拡路線を邁進(まいしん)する中国の動向を警戒し、そのライバルであるインドとの政治、経済関係強化に動いている。軍備面でも米国製F16戦闘機のリース契約を進めるなど、インドに急接近する姿勢を強めている。

 そのため、ロシア側は、米国が今後、ロシアとインドの兵器協力を阻止する動きに出る可能性が高いとみて警戒感も抱いている。

2007/06
ミサイル防衛、米「中国標的とせず」
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070606/1181129024
のエントリでは、

米国が日本と協力して進めているミサイル防衛(MD)計画について「我々が計画するミサイル防衛網は米本土でもアジアでも、中国の核抑止力を弱体化させることを目的としていない」と述べた。

日米のMDは「アジアを不安定化させかねない。台湾をカバーするMD網を日米が配備するなら中国は強く反対する」

とありました。この一言だけで中国は納得してるんでしょうか。そうは思えないんですけど

2008/05
中ロ、経済協力すきま風 首脳会談でも調整難航
http://www.asahi.com/international/update/0524/TKY200805240227.html

 【北京=大野正美】ロシアのメドベージェフ新大統領と胡錦濤(フー・チンタオ)・中国国家主席は23日に北京で開いた首脳会談で、米国が進めるミサイル防衛(MD)計画への反対で一致するなど、「対米牽制(けんせい)」姿勢で共同歩調を示した。だが、経済や軍事技術分野の協力を巡っては最近、両国にきしみが目立っており、首脳会談でも調整は進まなかった。

 ロシアは、グルジアウクライナなど旧ソ連構成国の北大西洋条約機構NATO)加盟への後押しや、東欧へのMD施設配備などの米国の動きを大きな脅威と見ている。強まる経済力を背景に独自の対外政策を進める中国にも、民主主義や人権の問題で米国よりはるかに立場が近く、チベット問題でも中国政府を全面支持するロシアと組んで「多極的な世界」の構築を進めることは利益となる。

 24日、北京大学で講演したメドベージェフ大統領は「ロシアと中国の戦略的協力関係は、すべての国を喜ばせるわけではないが、両国民の利益となる」と強調し、大きな拍手を受けた。

 だが、対米姿勢を中心とする外交政策を除けば、関係は微妙だ。07年の中ロの貿易額は400億ドルを超え、前年比4割以上の伸びを示したが、ロシアの輸出は原油や木材などの資源に偏り、中国から工業製品が大量に輸出される構造を受け、ロシア側が85億ドルの輸入超過となった。

 特に石油や天然ガスの輸送パイプライン用の鋼管は、安い中国製の輸出が07年第3四半期だけで前年比8倍の伸びを示し、ロシアの鋼管メーカーが中国側に輸出自粛を求める事態に。また、中国製自動車の輸入急増を受け、ロシア政府は昨秋、中国の自動車メーカー4社の組み立て工場建設申請を却下。中国側から「公正な条件での競争を避けている」との不満を招いた。

 中国による第三国への武器輸出も火種だ。中国は、ロシアからライセンス供与を受けて生産したスホイ27戦闘機にそっくりなJ11B戦闘機を開発、パキスタンなどに売り込みを図っているとされる。中東やアフリカなどロシア兵器の主な市場にも、連続ミサイル発射装置など中国製のコピー兵器が出回り、ロシア側は法的措置も辞さない構えだ。

 ロシア紙「独立新聞」によると、最大の武器輸出先だった中国への輸出額は昨年、前年より60%以上減った

 コメルサント紙によると、メドベージェフ大統領は23日の首脳会談で、武器輸出を中心にした軍事技術協力の落ち込みや、中ロ間のエネルギー協力に展望が見えない現状の改善を強く求めたが、具体的な成果はあがらなかった。

産経新聞が中露関係が悪くなっていると言うと、なんかあまり信じられないんですけど、朝日新聞だと、中国の意に反する事はあまり書かないかなという気がするので、そうなのかなと。