パキスタンのタリバン、首都100キロに迫る

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090424-00000606-san-int

 【ニューデリー=田北真樹子】パキスタン北西辺境州のブネール地区が、新たにイスラム原理主義勢力タリバンの手に落ちた。ブネール地区は首都イスラマバードの北西約100キロにある。タリバンは、すでに制圧したスワト地区を越えて勢力圏を拡大し首都に近づきつつあり、政府はさらなる侵入を武力で阻止することも検討し始めたもようだ。

 ブネール地区は、4月に入りスワト地区から進出してきた武装勢力に事実上、支配されている。同月中旬に、約60万人が住むブネール地区に入ったパキスタン人ジャーナリスト、ナシル・カーン氏は「重武装したタリバンがトラックに乗って自由に町の中を行き来していた」と証言する。武装勢力は4月初めにこの地区に入った際、武装した住民の抵抗にあった。住民数人が死亡し、生き残った者はタリバンの報復を恐れ地区から逃げ出したという。

 カーン氏によると、地区にはイスラム教の聖人の墓碑などがあり、国内から多数のイスラム教徒が訪れていた。だが、今は「ほとんどのモスクがタリバンによって閉鎖されている」(同氏)という。にぎわっていた商店街には、女性の入店を禁止する張り紙も登場した。

 「警察官は商店街のスワリ以外では活動できず、武装勢力が巡回する場所に警察官は近寄ることさえできない」と住民は話し、政府関係者はカーン氏に「地元政府は、武装勢力の邪魔をしないという暗黙の了解を与えたようだ」と語った。

 武装勢力の司令官は「タリバンはスワト地区から治安部隊が撤収し、シャリア(イスラム法)が完全導入されるまでは武器を放棄しない」と断言したという。 「パキスタン軍は米国を喜ばせるために罪のない人々を殺している。パキスタンは自国民を犠牲にして、『米国の戦争』を戦っている。ブネールの人々はわれわれを歓迎しており、この地域でのシャリア導入を成し遂げる」とも語った

 ブネール地区の住民は、シャリアの導入を歓迎している半面、武装勢力の進出には懸念を強めている。

 カーン氏が会ったスワリに住む青年は、「これまでの司法制度では迅速な裁判が行われず、シャリアによって迅速になることを期待する。でも、タリバンの存在は心配だ。私たちが望んでいるのは、シャリアであって、タリバン化ではない」と声を潜めて語った。

 タリバンの動きに対し政府は23日、ブネール地区に、政府機関などを警備するため数百人の国境警備隊を送り込んだ。だが、車列を待ち伏せしていた武装勢力の襲撃を受け、警察官2人が死亡し警備隊は地区の外れに撤退した。タリバンは政府が軍などを送り込めば反撃するとしている。

 パキスタンからの報道によると、タリバンはブネール地区のみならず、23日には北西辺境州シャングラ地区にも入った

 こうした勢力圏の拡大を米国も憂慮しており、クリントン国務長官は22日、強い懸念を表明している。ブネール地区の北にあるスワト地区では2月、タリバンと地元政府がシャリアの導入を条件に和平に合意した。ザルダリ大統領も先週、これを承認した。しかし、タリバンの拡大は、こうした和睦がむしろ逆効果であることの証左だと、米政府は批判的にみている

 それも念頭にギラニ首相は23日、スワト地区での和平合意が順守されなければ、政府が承認したシャリア導入の見直しもあり得ると、タリバン側を牽制(けんせい)した。

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パキスタンにはプルトニウム製造能力もあるらしいので、
パキスタンプルトニウム製造施設完成か
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090424/1240571629
ただ事じゃないような気がします(ブネールはBunerと言う事は分かったのですが、正確な位置は分かりませんでした)。

追記:
ゴンベイさんよりコメントを頂きました。

のバヌーが、その地域のようです。

しかしアメリカの懸念に危機を感じたのか、実力不足だったのか、すぐに撤退を宣言したようです。
タリバーン系が撤退を宣言、首都に近い地区から パキスタン
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090424-00000018-cnn-int

イスラマバード(CNN) アフガニスタン国境に近いパキスタン北西辺境州に拠点を持つ、アフガンの政権を追われたイスラム強硬派勢力タリバーン系の組織は24日、イスラム法(シャリア)適用の拡大を狙い戦闘員などを送り込んでいたパキスタン首都イスラマバードに近いブネール地区から撤退する、と発表した。報道担当が明らかにした。

ラニ首相が議会で「軍はタリバーン阻止に動く」「保有する核兵器は安全である」などと表明した数時間後の撤退表明となった。政府はまた、タリバーンの進入阻止で、ブネール地区に補助兵士を派遣していた。

ブネール地区は、パキスタンの首都イスラマバードから約96キロ離れたところにある。

同組織は4月中旬、政府との停戦協定と引き換えに、同州スワートバレー地区にシャリア施行の承認を得た。22日には同地区に隣接するブネール地区に戦闘員を送り、実効支配を宣言していた。現地の法廷を閉鎖し、関連書類を押収してもいる。補助兵士との衝突もしていた。

タリバーン系組織は4月初旬、ブネール地区のしょう握を狙って進出、地元勢力と衝突し、撤退している。今回の新たな進入は、政府との停戦協定の間隙を狙った動きとも言える。

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タリバン、ブネール地区から撤退開始
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090424-00000641-san-int

 【ニューデリー=田北真樹子】タリバンが24日、パキスタン北西辺境州ブネール地区から撤退し始めた。活動拠点だった家屋を引き払ったという。しかし、完全撤退かどうかは不明だ。

 スワト地区でのイスラム法(シャリア)導入をめぐり、地元政府と交渉したイスラム過激派指導者が同日、ブネール地区に入り、タリバンと撤退に関する協議を続けているという。

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そして実際に撤退を開始したようです。完全撤退かは不明らしいですが。