<パキスタン>米の非軍事支援法案巡り政府と軍部などが対立

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091008-00000086-mai-int
 【ニューデリー栗田慎一】米上院が9月に可決したパキスタンへの非軍事支援法案を巡り、パキスタン政府と軍部や野党勢力とが対立を深めている。支援法が年15億ドルを5年にわたって提供する条件として、核政策への米国の介入や武装勢力掃討の共同作戦などを求めているためだ。支援法を歓迎した政府に対し、軍などは「主権侵害」と批判しており、米国が強化を求めている掃討作戦に影響を及ぼすほか、政治混乱も誘発する恐れがある

 支援法は、アフガニスタン新包括戦略の一環として、パキスタンの民生支援を打ち出したオバマ米大統領の意向を受け、米上院外交委員会のケリー委員長(民主党)とルーガー委員(共和党)が5月に共同提案した。

 9月24日に米上院で可決され、同日の国連総会中に開かれたパキスタン支援国会合でオバマ氏が発表し、日本を含む各国が拍手で歓迎。パキスタン政府も満足感を表明した。

 ところが、最近になって、支援条件の内容をパキスタン各紙が相次いで報道。
核兵器関連材料の調達ネットワークの米側への明示と解体
米軍との共同軍事作戦
軍部が政治や司法に介入していないことの証明−−などが判明した。

 これに対し、軍部に太いパイプを持つ野党「イスラム教徒連盟クアイディアザム派」や最大野党「イスラム教徒連盟ナワズ・シャリフ派」などが、「核の主権放棄につながる」と批判キヤニ陸軍参謀長が7日、ギラニ首相と会い「支援法はパキスタンの国力を低下させる」と訴える騒ぎに発展した。

 現ザルダリ政権を率いる人民党は、支援法が民主化を推進するとの立場を堅持する。軍部の政治介入を排除し、政府の管理下に置きたいとの思惑があるためだ。

 軍部の政治介入が常態化したのは、人民党創設者のアリ・ブット元首相(07年に暗殺されたベナジル・ブット元首相の父)がハク軍事政権により、79年4月に処刑されたのが始まりだった。

 このため、人民党の軍部へのうらみは根深く、党内には支援法を機会に、核政策への影響力も持つ軍部の力をそぐ狙いがある。一方、米国は、オバマ大統領の核軍縮計画を促進するため、パキスタンの核をガラス張りにしたいとの思惑などがあるとみられる

 支援法はオバマ大統領の署名で発効するが、パキスタン議会が拒否すれば、実際の施行は困難となる

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パキスタン議会の動きが読めませんがここら辺にも対テロ戦争のほころびが見えますね。