米専門家、アフガンでの中国資源開発に警鐘 米軍犠牲の中、経済権益を着々確保

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091018-00000553-san-int
 【ワシントン=山本秀也世界的に銅の需要が急増する中で、米地質専門家らが、アフガニスタン最大のアイナク銅鉱山の採掘権を中国が獲得した経緯を検証報告にまとめた。資源確保を急ぐ中国は、インフラ(社会基盤)整備などをパッケージにした「国策商法」で落札しており、同専門家は、米軍の死傷者が拡大する一方で、「現状では中国がアフガン経済に不当な影響力を獲得する」と警鐘を鳴らしている

 アイナク銅鉱山は、首都カブールの南方約30キロにあり、精製銅の年間生産量約20万トンが見込まれる世界有数の鉱脈だ。周辺の治安回復を受けて、カルザイ政権が「新生アフガン最大の経済プロジェクト」として採掘権の国際入札に乗り出し、中国政府系の中国冶金科工集団公司など2社が昨年、投資総額約44億ドルで落札した。

 検証報告をまとめたのは、世界銀行の派遣プロジェクトによりアフガン鉱工業省の顧問を務めた地質専門家ジェームズ・イーガー氏ら。同氏が産経新聞に語ったところによると、入札には最終段階で、米国、英国、カナダ、それに旧ソ連のアフガン侵攻でアイナク銅鉱山の情報を熟知していたロシアの資源開発企業が、中国とともに残った。

 中国は豊富な資金力を背景に、本体事業に加えて発電所や輸送インフラ、モスク(イスラム教礼拝所)の建設など、「政府援助に相当する付帯条件」をパッケージとして提示。アフガン高官へのリベートについては直接的な言及を避けながらも、関係する高官との深い人脈形成を挙げ、「海外事業展開について、米国内と同等の公正なルール厳守が定められている米国企業では太刀打ちできない」と指摘した。

 落札企業の決定は、アデル鉱工業相と同相の指名による少人数の評価委員会が、技術、財務のほか、インフラ貢献などの項目を審査する形で進められた。その結果、米欧の4社が「7割前後の評価」に終わったのに対し、中国はほぼ全項目で「9割以上の高い評価」を独占したという。

 アイナク周辺では、今年2月に米軍が新たな防衛拠点を構築するなど、米国が中国の投資を「保護」する状態となっている。

 中国の圧倒的な経済力と、アフガン側での不透明な意思決定が結びついた落札結果について、イーガー氏らは「アフガンに情勢安定と市場経済をもたらすという米国の努力を損なうものだ」と総括。米政府が「透明性の高いプロセスの導入」をカルザイ政権に働きかけるよう提言した。

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これは確かに米国から見たら腹立つでしょうね。しかしイスラム圏のいろいろな政権をみていますが、大抵腐敗という形容詞が付いているような気がします。