日本、ベトナム原発受注にも敗退 劣る政治交渉力、戦略見直しも

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100209-00000021-fsi-bus_all

 日本が官民をあげて受注を目指していたベトナム中部ニントゥアン省原子力発電所建設の第1期工事(原発2基)をめぐり、ベトナム政府がロシア国営の原子力企業ロスアトムに発注する方針を固めたことが9日までに明らかになった。軍事や資源協力を武器にしたプーチン大統領トップセールスで、仏勢と日本勢を含めた三つどもえの競争に競り勝った日本勢は韓国に敗れたアラブ首長国連邦(UAE)の原発建設に続く敗退となった。重電メーカーは「(ベトナムの)2期工事の受注につなげたい」(三菱重工業)と巻き返しを狙うが、他国に比べ日本の政治的交渉力の差は歴然で、戦略見直しを迫られそうだ。

 ベトナムのプロジェクトは当初、日本やフランスの優勢が伝えられていたが、それが逆転したのは昨年12月。関係者によると、訪露したベトナムのズン首相とプーチン首相との間で交わした原発建設の覚書調印がきっかけ。同首相が原油天然ガスや潜水艦販売などを含めた条件を示したためという。

 一方、日本側は日本原子力発電や重電メーカー、電力会社などが参加する日本原子力産業協会を通じた数百人規模の原子力技術の人材育成支援や政府開発援助(ODA)で攻勢をかけたが、及ばなかったベトナムの計画には、日本原子力発電を窓口に、日立製作所東芝三菱重工東京電力などが参加、官民一体の受注競争に参戦したが、2期工事も旗色は悪い

 日本勢は、昨年末にもUAEの原発建設で韓国勢に敗退した。李明博大統領は直轄チームを率いて6回も現地政府首脳に電話攻勢をかけ、現地入りもする力の入れようで受注につなげた。「韓国の人材育成案などが評価され、日本のお家芸を奪われかねない」(電力会社幹部)状況だ。日本は技術力や運転管理ノウハウに優れているとされるだけに、電力会社の積極参加や首脳外交などオールジャパンによる総力戦が今後のカギになりそうだ。(上原すみ子)

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ベネズエラの油田権益獲得の裏でこんなニュースもありました。また今回の原発受注に関係あると思うのですが、
ベトナムインドシナ三菱重工ハノイ工科大に原発講座開設

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100201-00000007-nna-int
 三菱重工業は、今年12月からハノイ工科大学で原子力発電技術に関する冠(かんむり)講座を開設する。同社広報担当者は、「社会貢献を行いながら、ベトナム原発受注を目指すオールジャパンの一躍を担いたい」と語った。

 三菱重工の佃和夫会長が1月下旬、同校を訪問し、協力の調印を行った。三菱重工が講義を行う技術者を派遣する。同大学の原子力学科の学生を対象に毎年1回、2週間の集中講義を行う計画だ。大学の正規カリキュラムの一部として組み込まれ、卒業に必要な単位にもなる。

 
 日系企業が同大学で原子力関連の冠講座を開設するのは2社目。東芝が2006年から開設しているが、単位取得の対象ではなく、同大学の学生以外にも広く一般公開して「原子力文化」の普及・啓蒙活動を実施している。また、07年からは原子力学科の学生のうち、優秀な学生数人を毎年、日本に招へいして短期研修を行っている。同社の担当者は「日系メーカーでは唯一、沸騰水型軽水炉BWR)と加圧水型軽水炉(PWR)の2つを技術供与できるメリットを、ベトナムでも生かしたい」と語る。

 
 日立製作所は、現在のところ、ベトナムの大学で原子力に関する冠講座を開く予定はないようだ。日本以外ではフランスの動きが活発だという。

 
 関係者によると、ベトナムでは同大のほか、ホーチミン工科大学や電力大学にも原子力の専攻コースはあるが、規模ではハノイ工科大が最大だという。

 
 ■FS業者がカギ
 
 ベトナム原発計画では出力1,000メガワット(MW)の軽水炉型原子炉を2基ずつ備えた発電所中南部ニントゥアン省の2カ所に建設する予定。昨年11月の国会で承認された。

 
 ただし、BWRかPWRかは決まっていない。4基の総投資額は200兆ドン(112億米ドル)とされ、ロシア・フランス・日本・韓国などが受注に向けて名乗りを上げている。

 
 政府が目指す14年の着工、20年の運転のためには、受注業者は12年までに決まらなければならず、そのための事業化調査(FS)は今から行う必要がある。FSを行う業者が、受注国・メーカーのカギを握るだけに、年内にも決まるFS業者が注目される。ベトナム政府は、各国からウラン燃料や資金供給でより有利な条件を引き出そうとしており、高度な政治判断となりそうだ。<ベトナム

という記事もありました。