「ベスト&ブライテスト」著者・ハルバースタム氏事故死
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070425-00000013-san-int
■泥沼化ベトナム戦争 米政権の深部描く
【ニューヨーク=長戸雅子】ベトナム戦争に引きずりこまれていく米政権の内幕を描いた名著、「ベスト&ブライテスト」で知られるデービッド・ハルバースタム氏が23日、カリフォルニア州で交通事故に遭って死去した。73歳だった。戦争や外交、産業、スポーツと幅広い対象を通じて米国の姿を世に問い続けてきた米国を代表するジャーナリストだった。
同氏は21日のカリフォルニア大での講演と次作の取材のため同州に滞在し、アメリカン・フットボールの元選手のインタビューに向かう途中、車の助手席に乗っていて側面衝突されたもようだ。運転していた同大の学生らは軽傷を負った。
氏はハーバード大を卒業後、地方紙を経てニューヨーク・タイムズ紙に入社。ベトナム戦争報道で米国の政策を批判する記事を書き、激怒した時の米政権は氏を交代させるよう求めたとされる。一連の報道は高い評価を受け1964年にピュリツァー賞に輝いた。
その取材がきっかけとなり、72年に「ベスト&ブライテスト」を出版。表題通りに、「最良の最も聡明(そうめい)な(ホワイトハウスの)人たち」が、どのようにベトナム戦争へと突き進んでいったかをつづった。
AP通信記者としてベトナムに10年間、駐在したジョージ・エスパー氏は同通信に、「彼は人々の知る権利に応えることを信条とし、その姿勢を貫いた。彼は米国民に対して政権よりもずっと誠実だった」と回想した。
やはり同戦争を取材した元CNN記者、ピーター・アーネット氏も「同時代のジャーナリズム界の巨人。ベトナム戦争世代の最も輝かしい(ブライテスト)人材だった」と最大級の賛辞を込め、その不慮の死を悼んだ。
ハルバースタム氏で特筆されるひとつが、その驚異的なまでの関心領域の広さであり、取材執筆対象は戦争や外交を超えた分野に及んでいった。
米メディア界の興亡と権力の関係を書いた「メディアの権力」や日米自動車産業の勢力逆転に迫った「覇者の驕(おご)り」などの著作も内外で大きな反響を呼んだ。スポーツを題材にした著作も有名で、大リーグのヤンキースとレッドソックスのペナントレースを追った「男たちの大リーグ」、「勝負の分かれ目」などを著している。
24日付同紙(電子版)は「重いテーマと、重要度はもっと低いとみられるテーマの本に交互に取り組むというパターンを開発、軽いテーマにも持ち前の記者らしい力を十全に注いだ」と、氏の手法と姿勢を評している。
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