パレスチナ和平 実権なき?ブレア特使 19日に4者外相級協議

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070715-00000066-san-int

 ■交渉再開 仕切る米

 【カイロ=村上大介パレスチナ自治政府ヨルダン川西岸とガザ地区に分裂した事態を受け、パレスチナ和平をめぐる米国、欧州連合(EU)、ロシア、国連の4者の外相級協議が19日、ポルトガルの首都リスボンで開かれる。注目されるのは、4者の和平特使に就任したブレア前英首相が今後どのような仲介に取り組むかだが、米国は和平交渉再開などの「政治的分野」は自らが取り仕切るとしており、ブレア特使の権限は大幅に限定され、十分な仲介ができるのか早くも疑問視されている

 ブレア氏は6月末、英首相を退いた直後、4者の和平特使就任を受諾。19日の4者外相級協議は、パレスチナイスラム原理主義勢力ハマスによるガザ制圧後初めてで、ブレア特使の本格デビューとなる。協議では、ハマスと対立するアッバス自治政府議長率いるファタハが影響力を残すヨルダン川西岸の“ファタハ内閣”への支援策などを検討する。

 しかし、ブレア特使の権限は依然固まっておらず、「中東和平特使」という呼称の印象とは異なり、限定されたものになるとみられている。

 米政府は「パレスチナの最終地位交渉などイスラエルパレスチナの間の協議に関しては、これまで通りライス国務長官が当たる」(米国務省報道官)などと繰り返し強調。ブレア特使に与えられる任務は、ヨルダン川西岸で非常事態内閣を樹立したアッバス議長らへの国際的な経済支援の取り付けや、大幅に機能がまひしている自治政府の「再建」の2点となるもようだ。

 「自治政府再建」は和平交渉再開にとって必要な段階ではあるが、例えば、自治政府の治安機関を再建する過程では、西岸地区に駐留するイスラエル軍の展開範囲やユダヤ人入植地の拡大問題など「和平プロセス」と表裏一体をなす課題が浮上するのは必至だ。

 ブレア氏自身も与えられる権限の少なさに不満を抱き始めているようで、欧州外交筋がロイター通信に語ったところでは、「ブレア氏は技術的な役割だけでなく、政治的な役割を果たすことを望んでおり、各国に働きかけている」と指摘。ファタハ幹部も、ブレア氏の権限を拡大するよう各国に要請していることを明らかにしている。当初、16日にも開かれるとされていた4者外相級協議が19日となったのは、こうした議論が影響している可能性もある。

 ブレア特使については、アッバス議長やイスラエル側、エジプトなど穏健アラブ諸国の政府は歓迎の姿勢を示した。しかし、メディアの論調は穏健諸国も含め、ブレア氏がイラク戦争開戦でブッシュ政権の後押しをしたことを挙げ、冷たい視線が圧倒的だ。

 一方、ブレア特使が支援策を検討することになるアッバス議長は13日、西岸地区を統治する非常事態内閣の期限切れに伴い、ファイヤード首相を再任し、14日に新内閣を発足させた。新内閣は5週間以内に正式政権を発足するための“暫定内閣”と位置づけられているが、ハマス過半数を占める評議会(議会)で“ファタハ政権”が承認される可能性はない。「可能な限り合法的な道筋を追求しようとしている」(ファタハ幹部)というアッバス議長にとっても綱渡り。現地入りするブレア特使はさっそく、難しい状況に直面することになる。

まぁ国際社会がハマスを否定してファタハのみを相手にする限り問題はなくならないとは思いますが。どうなんでしょうね。

ブレア氏に関しては
英の「弱腰」批判=イランの政治的勝利許す−前米国連大使
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070409/1176117279
北アイルランド自治政府が復活、4年余ぶりに
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070512/1178939099
アメリカとは少し違うものを感じますが。