ブット氏、帰国日程きょうにも発表 パキスタン政局 “三すくみ”

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070914-00000057-san-int

 ■米絡み関係複雑化

 英国亡命中のベナジル・ブットパキスタン首相の帰国日程が14日にも発表される。15日から1カ月以内に予定される大統領選を軸に同国政局が大きな節目を迎える中、ブット氏はペルベズ・ムシャラフ大統領との間で、政界復帰条件で折り合いを付けたうえで、帰国を果たす意向だ。大統領は10日、一足先にやはり英国亡命から一方的に帰国したナワズ・シャリフ元首相については同日中にサウジアラビアに国外追放している。シャリフ氏はしかし、自国での政治生命を十二分に温存しており、パキスタン政治の行方はこれら3人により左右されよう。米国も絡んだ3者の力関係と相関関係を探った。(佐藤貴生)

 パキスタンを訪れたネグロポンテ米国務副長官は12日、シャリフ氏の再度の国外追放について、「パキスタン国内の政治上、法律上の問題だ。間もなく行われる選挙が民主的に実施されるよう期待している」と述べるにとどめ、ムシャラフ政権批判を極力、抑制した。

 パキスタン最高裁が8月23日、「奪うことのできない権利だ」としてシャリフ氏の帰国を認める判決を下し、米紙ワシントン・ポスト(電子版)も11日、「大統領と最高裁の衝突は必至」と伝える中での発言である。米国の姿勢は、判決の尊重をムシャラフ政権に求めた欧州連合(EU)とは対照的だといっていい。

 米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、米国は以前から、ムシャラフ大統領がブット氏を首相として政権に取り込むといった権力分掌をふたりに働きかけてきた。

 ◆ブット氏で民主的装い

 ともに宗教色が薄く対米協調を志向しており、ムシャラフ氏同様、クーデターで実権を握ったジアウル・ハク氏死去後の選挙でイスラム圏初の女性指導者になったブット氏の参画により、ムシャラフ政権に民主的装いを与えることができる。

 両者が手を組めば、アフガニスタンパキスタン西部で勢力を広げる国際テロ組織、アルカーイダなどのイスラム過激派の掃討というブッシュ米政権の目標達成にプラスになるとの計算である。

 シャリフ氏は首相時代の1999年、制服組のトップだった陸軍参謀長ムシャラフ氏をスリランカ出張中に解任、同氏率いる軍部はテレビ放送を中断させ、シャリフ氏らの身柄を拘束するというクーデターに及んで、巻き返した経緯がある。シャリフ氏はブット氏らに対する汚職の罪などでの訴追を推し進めた政権を率いてもいる。ムシャラフ、ブットの両氏にとっては政敵である。

 ◆蜜月長続きせず

 その国外追放で、ムシャラフ−ブット間協力は合意へとまた一歩、近づいたという観測もある。だが、“蜜月”は長続きしないとの見方もある。

 穏健野党、パキスタン人民党(PPP)を率いるブット氏は軍部のクーデターで失脚し処刑されたズルフィカル・アリ・ブット元首相の長女で、自身、クーデター後に自宅軟禁されてもおり、軍への反感が染みついているとみられるからだ。ムシャラフ氏も汚職罪に問われたブット氏を「盗っ人」呼ばわりしていた。

 一方、現在のパキスタンイスラム教徒連盟シャリフ派(PML−N)を率いるシャリフ氏はブット氏同様の名門で、製鉄会社などを抱える国内屈指の財閥の出身だ。亡命生活を強いられながらも国内の支持が根強いのは、「パキスタンの政治は政策よりも人に左右される傾向がある」(地元記者)からだという。

 両者は2006年5月に、亡命先のロンドンで会談、ムシャラフ政権打倒に向け共闘することで合意したこともあった。ただ、シャリフ氏の国外追放を米国が半ば黙認した形であるだけに、そんな共闘が早期に成立する見込みは少ないようだ。

 ブッシュ政権には、イスラム保守層にも支持基盤を広げるシャリフ氏の政界復帰は、過激派を含めた保守層を勢い付かせテロリスト掃討作戦への反対論を強めかねないとの懸念があるようだ。

 11日付の英紙フィナンシャル・タイムズによると、ムシャラフ氏の国外追放措置はシャリフ氏の支持率を引き上げており、PPP関係者の間からも、「ブット氏は独裁者と協議している」という批判が強まることを心配する見方も出ている。

そういえば今日はブット元首相の帰国計画発表予定日でしたね。
まぁ一日一回は更新したいのですが、今日はこの程度で。