胡主席が早大で講演 円借款に謝意、「未来志向」も強調

http://www.asahi.com/international/update/0508/TKY200805080269.html

 中国の最高指導者として10年ぶりに日本を訪問している胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席は8日、早稲田大で講演し、日本の対中円借款が中国の近代化に積極的な役割を果たしたとして謝意を表した。そのうえで、日本の一連の対中支援は「永遠に銘記される」と語った。

早稲田大学で学ぶ中国人留学生から花束を受け取る胡錦濤中国国家主席=8日午後、東京都新宿区、代表撮影

 中国製冷凍ギョーザ中毒事件など対立の火種が絶えない中、日本の貢献に対する評価を明言することで、日本だけでなく中国の国民にも互恵関係を構築する必要性を訴えた形だ。

 中国の指導者では、温家宝(ウェン・チアパオ)首相が昨年4月に来日し、国会で演説した。その際、中国の近代化や経済発展に対する日本の支持に対し「中国の人民はいつまでも忘れない」と語ったが、対中円借款には言及しなかった。胡主席の発言は、一歩踏み込んだ。

 胡主席は、日中関係について「相手の発展は脅威ではなく、チャンスだ」と指摘。一方だけが勝者になる「ゼロ・サム」ではなく、双方に利益となる「ウィン・ウィン」の関係を構築すべきだとの考えを強調した。

 10年前、当時の江沢民国家主席が同大で講演した際は「歴史問題」を強調。日本社会の対中感情を悪化させる一因となった。

 これに対し、胡主席も「不幸な歴史」「歴史は最も哲理に富んだ教科書」などの表現で触れたものの、日本の軍国主義は中国だけでなく日本の国民も傷つけたとした。「過去」よりも「未来」に重点を置き、「友好の旗印を子供たちの世代に伝えなければならない」と指摘。若い世代の交流を強化する必要性を訴え、早大生100人を招待する計画も発表した。

 また、「中国は発展を遂げたが、依然として世界最大の発展途上国であることも、はっきり認識している」と述べた。そのうえで「発展の中で生じた矛盾や問題は、その規模も複雑さも世界でまれにみる」と語った。

 さらに「中国はいかなる国の脅威にもならず永遠に覇権を唱えない」と述べ、中国の国防費の急速な伸びなどから国際社会に根強い「中国脅威論」の払拭(ふっしょく)に努めた。

 この講演は中国中央テレビが中国全土に生中継した。(坂尻信義)

胡主席は本当に円借款について触れたんですかね。円借款が終わった時には
2007/11
最後の対中円借款は463億円、79年からの援助に幕
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071108i214.htm

 政府は8日、最後の対中円借款(2007年度分)を463億円とする方針を決めた。

 1979年度に始まった対中円借款は、総額3兆3165億円に上る見通しとなった。

 外務省によると、07年度の円借款は、河南省南陽市の環境整備計画など6件。大気汚染対策や産業廃棄物処理システムの整備など、すべて環境関連の案件となっている。

 円借款は、これまで空港や港湾整備などに重点的にあてられ、00年度には最高額(2144億円)を記録した。

 その後、中国が急速な経済発展を達成したうえ、
<1>軍備を拡大し続けている
<2>中国自身が途上国に巨額の援助をしている
<3>中国国民が日本の援助を知らず、感謝もしていない
――といった問題点が政府・与党内で指摘され、政府は見直しに着手。日中両国は05年4月の外相会談で、円借款の新規供与は08年の北京五輪前に終了することで合意した。

 外務省は「円借款は中国の国造りに大変役立った。最近は中国側も援助に謝意を表明するようになった」(国際協力局)と意義を強調している。

(2007年11月8日20時28分 読売新聞)

という事だったんですが。

他の早大の講演の記事見ても、円借款については扱いが小さいか扱ってないみたいですけど。
胡主席早大で講演「歴史強調は恨みを抱き続けるためでない」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080508-00000055-yom-int

 来日中の胡錦濤・中国国家主席は8日、都内の早稲田大学大隈講堂で講演し、日中間の歴史問題について、「我々は歴史を銘記するよう強調しているが、それは恨みを抱き続けるためではない。両国民が子々孫々にわたり、友好的に付き合うためだ」と、歴史を感情的な摩擦要因にしてはならないとの考えを示した。

 1998年に江沢民国家主席(当時)が来日した際、中国側は日本の謝罪と反省にこだわり続け、日中間の感情摩擦が激化した。胡主席は10年ぶりに訪日した中国元首として、未来志向の互恵関係を重視する姿勢をアピールした。

 胡主席は「2000年以上に及ぶ両国人民の友好交流は、世界の民族交流史上の奇跡」と強調。その上で、日本の対中侵略について「両国の友好関係が破壊された。中華民族に大災難をもたらし、日本国民にも大きな被害を与えた」と述べた。また、「日本の対中円借款が、インフラ建設、環境保護、エネルギー開発など中国の近代化建設に積極的な役割を果たした」と日本への謝意を表明した。講演は、中国国内でも生中継された。

毎日新聞の記事はこれで友好ムード?と思ってしまいますが。
<胡中国主席>友好ムードを演出 早大講演
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080508-00000162-mai-pol

早稲田で学ぶ中国人留学生から花束を受け取る胡錦濤中国国家主席=東京都新宿区の早稲田大学大隈講堂で8日午後3時25分(代表撮影)

 日中の学生との交流を深めるため8日、早稲田大学を訪れた中国の胡錦濤国家主席は、会場で学生と次々に握手をかわし、友好ムードを演出した。

 大隈講堂で行われた「日中青少年友好交流年」開幕式に出席した胡主席は、福田康夫首相とともに隣接する大隈ガーデンハウスに移動。約100人の学生の熱烈な拍手で迎えられた。

 胡主席福原愛選手との卓球で五輪選手顔負けの腕前を披露し、会場を沸かせ、最後に「青少年は中日交流の未来と希望。今日私たちがまいた種が、友好の大きな木に育つと確信している」とあいさつした。

 胡主席と握手をした神奈川県の県立高3年、相馬史歩さん(18)は「胡主席は明るくてやさしかった。日中両国の懸け橋になるような仕事をするのが夢なので、いい経験ができた」と興奮した様子で話していた。

 一方、大隈講堂周辺では、チベット人が「国旗」とする白獅子の旗を持ったチベット支援者と、中国国旗を掲げる中国人留学生ら約300人が「チベットに自由を!」「中国がんばれ!」のシュプレヒコールを互いに繰り返した。エスカレートした双方の数人が機動隊員に排除されたうえ、現場周辺には右翼活動家らも詰めかけ、一時騒然とした。

 都内の国立大3年の日本人女子学生(21)は「宗教、言論の自由など、人権問題に国家は関係ない。今こそ日本人が声を上げなければいけない」と白獅子旗を握りしめた。中国人留学生の女性(37)は「チベット問題はあくまで中国の内政問題。日本人がこんなに盛り上がるのに驚いた」と話していた。【村上尊一、酒井祥宏】

実はこの場に友人も行ってたそうですがw

あとチベット問題は内政問題といいますが、
なぜ沈黙?チベット騒乱に国連、音なし(+ミャンマーとの違い)
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080411/1207932016
に書いてあるとおり、 

「国際の平和と安全に対する脅威」を議題とする安保理だが、最近は「組織的で大規模な人権侵害は(地域の安全への)脅威の予兆」という発想から人権問題を取り上げる動きが米欧を中心に活発になり、昨年9月のミャンマー軍政による反政府デモ隊の武力鎮圧では議長声明採択にまでこぎつけた。

と言う発想があると思います。