イラク油田、外資開放 原油供給拡大に期待 設備老朽化、治安に不安

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080704-00000917-san-int

 【ワシントン=渡辺浩生】イラクは6月末、国内油田・ガス田8カ所への外資参入を認める方針を発表した。これによって国際石油資本(メジャー)や各国石油会社に、世界3位の確認埋蔵量を擁する同国への本格進出の扉が開かれた。増産が実現すれば1バレル=145ドルに達した原油価格の沈静化にも寄与する。しかし、設備老朽化や不安定な政治・治安情勢に、増産の行方には慎重論も根強い。

 イラクからの報道によると、シャハリスタニ石油相が6月30日に発表した。それによると、開放されるのは、南ルメイラ、西クルナ、キルクークなど6油田と2つの天然ガス田。欧米、日本、中国、ロシアなど41社が入札に参加、来年6月に仮契約が結ばれる見通し。外資の技術力や資本投入で、2013年までに現在の日量250万バレルから450万バレルに増強する計画だ。

 ■埋蔵量3位

 イラクは1972年に石油産業を国有化。91年の湾岸戦争とその後の経済制裁イラク戦争を経て生産は低迷。米政府のイラク復興特別監査官報告は「イラクの石油部門は生産、輸送、精製の技術的難題や密輸、汚職との闘いなどに直面している」と指摘する。

 現在、生産量は開戦前の水準に回復しつつあるが、世界15位にとどまる。ただ、確認埋蔵量は1150億バレルでサウジアラビア、イランに次ぐ3番目。西部や南部の砂漠地帯にはさらに数千億バレルが埋蔵されているとの分析もある。

 世界のエネルギー情勢は、中国など途上国の需要が増加を続ける一方、主要産油国外資の進出を制限する資源ナショナリズムが高まり、供給の伸び悩みが予想されている。新たな供給源を模索する欧米メジャーにとり、イラクの持つ潜在性は計り知れない。

 レーガン政権の国家安全保障会議(NSC)メンバーで、エネルギー政策研究所長のルシアン・プリレアシ氏は、「今回の外資開放は既存油田の復興で、原油価格への影響を予測するにはまだ早い」としたうえで、「未探査の油田開発に道が開ければ、供給拡大のチャンス」と指摘する。

 ■利権争いも

 イラク政府の判断には、米軍増派による現地の治安改善も働いた。ただし、参入企業には、設備の老朽化以外にもハードルは多い。イラク国内には「イラク開戦の目的は西側石油企業によるイラクの油田支配にあった」という批判がいまだにくすぶり続ける。

 しかも、地政学的にイラクの油田分布は、クルド人が多い北部やイスラムシーア派地域の南部に偏り、スンニ派地域には少なく、「油田権利は民族間の争いのもとになってきた」(米エネルギー省の報告書)。それだけに、石油収入の配分法などを定める石油法の成立が、外資参加の前提条件だ。しかし、配分をめぐり、クルド自治政府中央政府が対立し、議会審議は行き詰まっている。

 イラク政府は別途、米エクソン・モービル、英BPなど欧米5社と短期技術供与契約を近く結ぶ予定だが、米紙ニューヨーク・タイムズは「米政府の顧問が企業選定に影響を与えた」と報じ、プロセスの透明性に疑問の声も上がる。

 石油収入配分をめぐるイラク国内の合意も不可欠で、参入企業にはまず「忍耐が必要」(英紙フィナンシャル・タイムズ)といえそうだ。

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イラク>油田開発にメジャー本格参入 36年ぶり
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080701/1214915143
では、

ただ参入条件などが決まっておらず、不透明な面も残る。

キルクークの位置
とありましたが、他にも、シャハリスタニ石油相(シーア派)、とかキルクークとか重要そうな言葉が出てましたね。今回の記事見て初めて気付きました。
1月のイラク原油輸出は開戦以来最高水準=石油相
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080206/1202305380
でも触れましたが、石油の分配をきめる石油法が決まったとか読んでない気がしますが。この時は、クルド人のジバリ外相がシリアとのパイプライン再開を決めたとか書いてましたが、そういえば6月末までに行われると言われていたキルクークの帰属を決める住民投票はどうなったんだろうと思って調べたら、

油田地帯帰属の住民投票 クルド内相「期限内は困難」
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008061301000515.html

 【アルビル(イラク北部)13日共同】イラク北部クルド自治政府のシンジャリ内相は12日、自治区の中心都市アルビルで共同通信と会見し、北部の要衝で油田地帯を抱えるキルクークの帰属をめぐる住民投票について、実施期限に設定されている6月末までに行うのは困難との認識を示した

 クルド人とアラブ人が対立するキルクーク帰属問題の解決はイラク安定化に向けた重要ステップ。投票は当初の期限になっていた昨年末に半年延長し、ことし6月末が新たな期限になっていた。民族間の対立は投票のめどが立たぬまま、さらに長引くことになりそうだ。

 内相はキルクークではクルド人はアラブ人やトルクメン人と権力を分担すべきだ」としながら「(キルクークは)地理的に(クルド人の)地域に属する」と述べ、あくまでも自治区への編入を目指す考えを示した。

 キルクークはかつてクルド人トルクメン人が多数を占めたが、クルド人を弾圧した旧フセイン政権がアラブ人を移住させる政策を推進。同政権崩壊後、クルド人自治区への帰属を主張し、アラブ人と対立している。
2008/06/13 16:41 【共同通信

と行われて無いんですね。その間にシャハリスタニ石油相(シーア派)が決めちゃって大丈夫なんですかね。荒れるような気がしますが。