北京五輪 外国メディア、IOCへ不満 人権・報道の自由 中国の現状座視
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080817-00000047-san-int
【北京=藤本欣也】北京五輪は16日、大会日程の半分を終えた。だが、国際社会に約束していた報道の自由や抗議集会を認めようとしない中国への批判とともに、現状を座視する国際オリンピック委員会(IOC)への不満が外国メディアの間で募っている。
「中国政府は人権問題と報道の自由に関する約束を守らなかった。IOCは約束をほごにされて恥ずかしくないのか」。五輪公園のMPC(メーンプレスセンター)でほぼ毎日行われているIOCの記者会見で14日、英国のメディアから厳しい質問が飛んだ。
これに対し、IOCの報道官は「五輪が社会体制に良い影響を与えるかもしれないという希望が確かに2001年にはあった」としつつ、「多くの分野で尽力がなされたことは留意しなければならない」と指摘。「競技がスムーズに行われているという事実を誇りに思う」と強調した。
中国への批判を避けるIOCの態度にメディア側からは、「開催国の中国を怒らせないように自制しているのか」といった不満の声が上がっている。
外国メディアの批判の背景には、中国政府が北京五輪を誘致する際に、「報道の自由」や「人権問題の改善」を国際社会に約束したという経緯がある。
しかし、五輪開幕後も中国当局はインターネットの一部サイトへのアクセス規制を継続。8月に入ってからは新疆(しんきょう)ウイグル自治区で取材中の産経新聞などの記者を拘束したり、暴行を加えたりした。五輪会場近くでも13日、チベット独立支持者を取材中の英国人記者が一時拘束されている。
中国当局は国内メディアに対する報道規制も継続し、開会式の少女の“口パク”問題に関する記事掲載を禁じ、過去の記事もネットから削除させた。
基本的人権に対する規制も同様だ。中国政府は五輪期間中、北京の公園3カ所をデモ容認区域(事前許可制)に指定し、集会の自由の規制を緩和する姿勢をみせた。だが、まだ1件も許可されていない。北京五輪組織委員会は「管轄するのは公安当局で、われわれではない」と答えるのみだ。
「共産党支配の現実と五輪前の約束の矛盾が露呈するのに1週間もかからなかった」(英紙フィナンシャル・タイムズ)と失望感が広がる中で、IOCは「北京五輪の評価は閉会後に行う」との立場を取り続けている。
【関連記事】
・開会式口パク問題 米メディア批判「党上層部の圧力に屈した」
・またまたやらせ発覚? 「56民族の子供たち」実は漢民族
・“ゆうこりんラジオ”の真相は…MPCに直撃!
・巨人の足跡花火、CG映像だった! 五輪開会式
・「偽装五輪」と中国異質論 次期開催の英メディア
強調部分、陳情村とか直訴村とか言われてたやつですね。これは産経新聞ですけど読売新聞だと状況はもっとひどいようで、
■北京指定会場の「デモ許可制」名ばかり、申請したら拘置
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080817-00000005-yom-int
【北京=源一秀】北京五輪の期間中、中国当局が北京市内3か所の公園内に限り事前申請を条件に認めるとしたデモが、五輪9日目の16日になっても一度も実施されていない。
中国外務省の記者会見などでは、申請受理と許可の状況について外国メディアの質問が相次ぐが、「関係機関に問い合わせてくれ」の一点張り。五輪が始まっても、政府批判につながる異論を徹底管理で封殺する非民主的な体制に変化は見られない。
国際人権団体に入った情報からは、デモ申請を徹底的に握りつぶす当局の姿勢が浮かび上がる。「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」(本部・ニューヨーク)によれば、江蘇省蘇州の女医(48)が上京して、家屋をめぐる地元政府とのトラブルを訴えるため北京市の公安局にデモ申請したところ、地元当局者に通報され、強制的に自宅へ連れ帰された。また、家屋を強制退去させられた北京市民が7月末に申請したところ、「社会秩序を乱した」として30日間の拘置となった。官僚汚職撲滅を訴えるデモ申請のため北京市内の公安局を訪れた弁護士が、その場で拘束されたケースもあった。
中国の人権や民主を監視するウェブサイト「維権網(CHRD)」も、新疆(しんきょう)ウイグル自治区と河南省からのデモ申請者が北京市公安当局の同意を得た後、失跡したり、地元へ連れ戻されたりしたケースなどを伝えている。
実際にデモの指定会場となった公園を訪れると、ピリピリした雰囲気が伝わってくる。紫竹院、世界公園とともに指定会場とされた朝陽区の日壇公園。園内を歩くと、2、3分に一度は必ず、警官に出くわす。13日からは、出入り口に警備要員が増員された。
同公園内で9日、地元政府と母親の家屋をめぐるトラブルを訴えるデモを、無申請のまま実行しようとした山東省の男性によると、プラカードなどを出す準備をしていたところ、通報を受けた私服警官により、理由も告げられないまま公園外に排除された。その後、公安当局に母親が拘束されるなど、嫌がらせが続いているという。
■「陳情区域」設置を計画=五輪治安対策で中国−香港紙
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080611/1213191472
で、予告はされてましたが、予想以上のひどさです。
追記:
■デモ申請149人、許可はゼロ=直訴者、公安で拘束も−北京
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080818-00000135-jij-int
【北京18日時事】中国・北京市公安局スポークスマンは18日、五輪期間中、申請して許可されれば市内の3つの公園で認めるとしたデモ行動について、今月1日以降、外国人3人を含めた149人から77件の申請があったが、現在のところ1件も認めていないことを明らかにした。国営新華社通信が伝えた。
申請の多くは、労働争議や医療過誤、福祉問題などへの抗議が目的だった。地方から中央政府に不満を訴える直訴者が申請者の大部分を占めたとみられる。
この独特のデモ制度は、五輪期間中の安定を重視する当局にとって民衆暴動発生など不測の事態を防ぐ狙いがあるが、制度自体が機能していないことが浮き彫りになった。
北京では地方出身の直訴者が大量に拘束されているが、直訴者を支援する人権派弁護士は「直訴者は公安局にデモ申請に行けば、その場で次々と拘束されている」と明かした。
【関連ニュース】
・ウイグル族の組織的テロ=爆発の犠牲者2人に-中国クチャ
・ダライ・ラマ、フランス入り=サルコジ大統領とは会談せず
・緊張残る連続爆破の街=民族間にあつれき、警察に不満-中国クチャ
・公安局などで連続爆発=五輪妨害狙ったテロか-容疑者10人射殺、自爆・中国新疆
・抗議のチベット人1400人拘束=ネパール
国営新華社通信も海外向けと国内向けで記事が違ったりするようなので、これ中国国内にも配信されてるんでしょうかね。