枯れる中東国家ファンド 原資絶つ原油急落、含み損

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081130-00000002-fsi-bus_all

 潤沢な石油資源を背景に、経営難の米欧金融機関の救済に乗り出すなど、一時は「飛ぶ鳥を落とす勢い」だった中東の国家ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド=SWF)が苦境にある。金融危機が投資損失を生み、投資の源泉となる原油価格は急落した。二重苦で打つ手を失い、日本との間で予定していた投資案件がストップするなど、影響が表面化してきた。

 ◆メド立たぬ案件

 11月初め、日本とカタールとの間で、締結寸前だった投資案件が凍結された。関係者によると、「経済環境が悪いので延期したい」と、カタール側から申し出があった。

 計画では、カタールSWFと日本側が共同で数百億円のファンドを立ち上げ、中国やインドで環境・エネルギー関連の企業に投資するはずだった。国際協力銀行が200億円、国内の金融機関や商社も出資を準備していたが、実現のめどは立っていないという。

 中東など産油国SWFは、原油価格の急騰を背景に積極的な投資を行ってきた。ただ、世界最大のSWFであるアラブ首長国連邦アブダビ首長国アブダビ投資庁(ADIA)が昨年11月、米銀大手シティグループに対して行った75億ドルの出資や、クウェート投資庁(KIA)による今年1月のメリルリンチシティグループへの出資は、その後の株価急落で大幅な含み損を出したとみられる

 しかも、原油価格がこの数カ月で、1バレル=150ドルに迫る水準から50ドル割れ寸前まで急落し、投資の原資も減少している。経済産業省が11月末に東京で予定していたSWFなどと日本企業との商談会「アブダビ投資セミナー」が中止になったのは、その象徴的な例だ。アブダビ側の参加者が集まらなかったのだ。

 これとは別に11月初旬、アブダビ投資庁の幹部が来日し、金融庁経済産業省国際協力銀行や大手証券などと接触したが、関係者によると、アブダビ投資庁は現在、日本への投資資金の一部を引き揚げ、ドルやユーロの現金に換える動きを加速している模様だ。

 ◆戻らぬ投資意欲

 中東の国家ファンドは、いずれ枯渇する原油資源への依存度を低め、豊富な資金をもとに、投資を新たな収入源にするという命題を背負っている。短期間の利益を狙う投資銀行などとは一線を画しており、「今の安値を買い時ととらえ、チャンスを探りながら資産構成を見直している」(経産省幹部)との見方もある。

 ただ、日本への投資案件をみても、昨年9月にコスモ石油筆頭株主になったアブダビの国際石油投資会社(IPIC)や、同11月にソニーに出資したドバイ・インターナショナル・キャピトル(DIC)はいずれも株価急落で大きな含み損を抱えているとみられ、積極投資に転じるタイミングは見えてこない。(藤沢志穂子)

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今までは政府系ファンドと言ってたやつですよね。ここまでの流れを辿ると、
中国、中東など政府系ファンド 日米が規制で一致
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20071016/1192543482
日本版政府系ファンド、公的年金10兆円運用 アラブや中国に負けないリターンを得られるか
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080703/1215089570
金融崩壊:リーマン・ショック/上(その2止) 見えぬ「毒」不安連鎖
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080922/1222110106
リーマン・ショックのエントリでは

 産油国の政府系ファンドの関心は、投資銀行から成長著しい中国などアジアの銀行や企業への出資や買収、発展途上国の農地買収などに移った。

と言う事でしたが、それより状況は悪くなっているようですね。アラブ首長国連邦のSWFが最大なのは
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20071222/1198302702
の頃から変わらないみたいです。