及び腰から転換 タリバン掃討作戦の背景

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090501-00000649-san-int

 【ニューデリー=田北真樹子】パキスタン軍が、北西辺境州ブネール地区などでイスラム原理主義勢力タリバンに対する掃討作戦を展開している。それまでタリバンへの軍事力行使には“及び腰”だったザルダリ政権と軍が、なぜ掃討作戦に踏み切ったのか、背景を探った。

 「黒い稲妻」と名付けられた掃討作戦に、軍は戦闘機や戦車などを投入。武装勢力側の死者は130人以上にのぼっている。ブネール地区では、軍が制圧した中心部以外では、タリバンが地元住民を盾にするなど激しく抵抗しており、軍はインド国境沿いの部隊を北西辺境州に移動させたとの報道もある。地区から住民数万人が逃げだし、周辺地域は避難民の収容という新たな課題に直面している。

 ザルダリ大統領がこれまでタリバンへの軍事力行使を手控えてきたのは主に、政権基盤が脆弱(ぜいじゃく)で、軍を掌握していないためだ。情報機関、三軍統合情報部(ISI)とタリバンは依然、関係を維持しているともみられている。それが、ここへきて重い腰を上げたのは1つには、パキスタンの核がタリバンの手に落ちることも危惧(きぐ)する米国の圧力がある。

 その動きの一つとして、パキスタンに赴いた米軍制服トップのマレン統合参謀本部議長が4月22日、キアニ陸軍参謀長と会談した際、タリバンに対する“融和策”の見直しを求めたとみられている。そのキアニ氏は軍幹部を集めた24日の会合で「軍は領土保全のために犠牲になることをためらわない」と発言した。

 軍がスワト地区の西に隣接するローワー・ディール地区で掃討作戦を開始したのは、キアニ氏の発言の2日後のことだ。

 ザルダリ政権と軍にしても、イスラム政府樹立」を目指すタリバンがブネール地区に侵出し、首都の約100キロに迫ったことは脅威だった。軍も、タリバンが政権と結んだスワト地区における和平合意を無視したことに「住民へのテロ行為も減っておらず、明らかな和平合意違反だ」(報道官)と掃討作戦の正当性を主張している。

 良好な関係にはないザルダリ大統領と軍は、足並みをそろえた。タリバンへの“融和策”として北西辺境州の一部にシャリア(イスラム法)を導入することに、親米派のザルダリ大統領は慎重だった。だが、国会が地元の意向を尊重しシャリア導入勧告を決議すると、大統領も渋々承認した。それだけに、和平合意を破ったタリバンへの軍事力行使に大統領が反対するはずもなかった

 地元からの情報によると、掃討作戦に対する地元住民からの批判はほとんどないという。スワト地区ではタリバンによる誘拐や殺人が住民に恐怖を与えているためだ。シャリアはスワトやブネールなど北西辺境州8地区に導入される。しかし、地元筋はタリバンは本当はシャリアの導入には関心がない」と解説。軍事アナリストのメフムード・シャー氏は「国民は軍事作戦に反対していない。タリバンの狙いが勢力拡大にしかないことが、国民に明らかになったからだ」と指摘する。

転換といっても
パキスタン当局、タリバーン掃討作戦開始 対話路線に変化
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080629/1214743637
このころから変化はあったんじゃないでしょうか。