豪希土類資源を買い漁る中国、ライナス社に過半数出資
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090512-00000090-scn-bus_all
懸念が現実となってしまった。日本がゴールデンウイーク休暇中だった5日に飛び込んできたニュースのことである。
オーストラリアで希土類(レアアース)鉱山を開発する豪ライナス・コーポレーションが、国営企業の中国有色鉱業集団(CNMC)から過半数の出資を受け入れることを決めたという。出資と同時に中国銀行の融資も受けられるようになり、ライナス社はCNMCの出資と銀行融資の合計約360億円を調達できる。
この出資案件は中国と豪州の規制当局の承認次第だが、出資が可能になれば、資金難で開発中断に追い込まれているマウント・ウエルド・プロジェクトが再び動き出す。
ライナス社が5日に公表した説明資料によると、CNMCはライナス社の発行済み株式総数の51・6%に相当する700万株を、合計約180億円で取得する。このほか、2回の銀行融資で合計約180億円が調達できる見込みだ。
ただ、CNMCから過半数の出資を受け入れるということは、今後は中国主導で開発が進むことになる。言葉を置き換えると、豪マウント・ウエルドは、採掘する国は違えど中国の希土類鉱山ということになる。
中国の希土類生産量は世界全体の90%以上を占める。日本は希土類資源の安定供給体制を確保するために、中国以外の希土類資源を開拓中。そして有望な国の一つが豪州だった。しかし、同国ではすでにノーランズ・プロジェクトを進めるアラフラ・リソーシズ社が開発資金を捻出するために中国資本の受け入れを発表している。
そして今回はライナス社だ。同社のジェームズ・マシュー副社長は今年2月、産業新聞社とのインタビューで「自分たちは中国と連携する意思はない」と断言していた。その理由として、「中国以外のプロジェクトだから価値がある」と説明していたのだが・・・
ライナス社は開発を継続するための資金調達で、日本や欧州の需要家などに協力を要請していた。中国からの出資を受け入れるということは、日本も欧州も資金援助に難色を示したということだろう。資源がほしくても、景気悪化の影響で、リスクの大きな資源開発どころではなかったかもしれない。しかし、中国はリスクなど構わずに国有企業が積極的に希土類資源を買い漁っている。このままでは世界中どこへ行っても中国資本の希土類鉱山になりそうな勢いだ。この現実を関連する省庁、団体、需要家を含めた企業などは、どう受け止めるのだろうか。(情報提供:コモディティ・アイ)
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■鉱山会社追加出資に世論反発 豪資源「中国支配」の足音
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090323/1237763682
で、
「われわれが売るのは雌牛ではなく、ミルクの方だ。つまり鉱山ではなく鉱物を売るべきだ」
とも言っていたのですが、これが現実ですね。前も書きましたが、
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アメリカの日本研究者ケネス・パイルも90年代初めに「日本がその経済力をどのように使うのかが不透明であることについての疑問」としての「日本問題」の存在を指摘した。
とありました。資本主義的なリスク回避などを考えない中国のやり方はかなり脅威的なのではないでしょうか。