タブーのハメネイ師批判沸く イランデモ、先鋭化の恐れ

http://www.asahi.com/international/update/0621/TKY200906210181.html

2009年6月22日1時29分


インターネット上のコミュニケーションサービス「ツイッター」に20日投稿されたデモの写真=ロイター。イラン政府が外国報道機関に対しデモの街頭取材を禁じている状態が続いている


テヘランで20日、バリケードのゴミ箱に火をつける改革派ムサビ氏の支持者=AP

 ハメネイに死を!」。イランの首都テヘランで20日、治安部隊と各地で衝突したデモ参加者の間から最高指導者ハメネイ師を批判する声がこだました。元首を公然と批判する声が出たのは79年のイスラム革命後、初めてだ。大統領選への異議申し立てに端を発した騒乱は、イスラム体制の根幹を問う運動へと変質しかねない。

 この日のデモは当初、ハタミ前大統領ら改革派のイスラム指導者が計画。十数万人規模の参加が見込まれていたが、ハメネイ師の「警告」を受けて急きょ、中止にした。だがテヘラン中心部には、多数の市民が繰り出した。当局が外国メディアの取材を禁じているため規模ははっきりしないが、デモは数千人規模とみられ、複数の場所で行われたとの情報もある。

 ハメネイに死を」というかけ声はデモの最中だけではなく、夜の住宅地でも聞かれた。午後10時前、市内各地で「アラー・アクバル(神は偉大なり)」の言葉につなげて響き渡った。住宅の屋上やベランダから叫んでいたとみられる。首都は夜も警察官が配置され、最高指導者への批判は「即逮捕につながる行為」(地元ジャーナリスト)であるにもかかわらずだ。

 少なくとも7人が死亡した15日の集会後、ムサビ氏らはイスラム体制の枠内での抗議を主張、参加者は平和的なデモを続けていた。今回は中止を求めたにもかかわらず実行され、タブーだったハメネイ師批判も繰り返される結果に。改革派の歯止めが利かず、抗議運動が「一線を越えた」との指摘が出ている。

 強権的な性格を強めつつある現政権を支え、改革派の行動を「正しい道ではない」と批判したハメネイ師。「ハメネイ体制に異議を唱える市民は増えている」(地元ジャーナリスト)とされ、騒乱をきっかけに批判の矛先がハメネイ師、ひいては体制そのものに向かう可能性もある。

 市民の不満のはけ口にもなっていたデモが禁じられた結果、一部が先鋭化、当局が力で押さえ込みにかかれば、暴力がエスカレートする懸念もある。(小森保良)

大統領選の結果だけでなく体制そのものがひっくり返りかねないということですね。しかもムサビ氏がデモ中止を求めても実行されるというのはもう頭がいなくてただ暴れているだけという風に感じますが、落としどころはあるんでしょうか。すでに死者もでてますし、これ以上大事にならなければいいんですが。