<オバマ米政権>イラン大統領の正統性、事実上認める

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090805-00000108-mai-int
 【ワシントン草野和彦】ギブス米大統領報道官は4日、イランのアフマディネジャド大統領を「選挙で選ばれた指導者」と呼ぶなど政権の正統性を事実上認めた。異議を唱えれば内政干渉」としてイランに付け入るすきを与えるとの判断があるとみられる。ただ、オバマ米政権は、イラン体制内の亀裂が周辺国への影響力低下につながる好機とみて、核問題などで積極的な外交を仕掛ける方針だ。

 核問題に関して、オバマ政権は「ボールはイラン側にある」との立場。国連安保理常任理事国とドイツの交渉提案にイランがどう応えるか出方を待っている状態だ。国連総会やG20(主要20カ国・地域)金融サミットが開かれる9月下旬までにイランから前向きな反応がない場合、新たな経済制裁を検討する姿勢をみせている。

 その一つがイランに対するガソリンの禁輸だ。産油国のイランだが、精製施設が不十分なため、ガソリン消費量の約4割は輸入に頼っている。米紙ニューヨーク・タイムズによると、米政府は既に関係国と協議しており、米議会では、イランにガソリンを販売した会社の資産凍結などを盛り込んだ法案が検討されている

 一方、イランの不安定化は米国にとって、アフガニスタンでの対テロ作戦や麻薬対策では痛手だ。イランが内政重視になれば、米国との「共通の利害」であるこうした分野で協力を得ることは困難になるためで、アフガンでは厳しい戦いが続くことになる。

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毎日新聞ですが、オバマ大統領がイランの大統領選に干渉しないと言う方針は
「ムサビ、アフマディネジャドの両氏大差ない」米大統領
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090617/p3
の頃から一貫してますね。

イラン側からの報道もあります。朝日新聞
イラン、反欧米路線を強調 大統領宣誓式

http://www.asahi.com/international/update/0805/TKY200908050275.html

2009年8月5日21時45分


テヘランで5日、就任宣誓式に臨んだアフマディネジャド大統領(下)=ロイター

 【テヘラン=吉武祐】イランのアフマディネジャド大統領が5日、国会で2期目の就任宣誓式に臨んだ。選挙後の混乱で政権の正統性に疑問の声が上がる中で、英独仏の首脳が再選への祝辞を控えたことに反発し、「我々は(欧米の)傲慢(ごうまん)に立ち向かい、新しい世界秩序の形成に役割を果たす」と表明。欧米との対決路線の継続を鮮明にした。

 大統領は就任宣誓後の演説で「イランは国際社会と対話する用意があるが、非礼や侮辱は受け入れられない」と発言。さらに「新しい政府を祝福しない西側の国(英独仏など)がある。(そのような国からの)祝辞など、イランでは誰も欲しがってはいない」と不快感をあらわにした。

 すると、出席していた国会議員らが「米国に死を」「英国に死を」「イスラエルに死を」などと唱和した。

 英独仏が祝辞を控えた背景には、大統領がもともと過激な反イスラエル発言などで物議を醸してきたうえ、大統領選の不正を訴える改革派のデモを武力で制圧し、有力者を訴追するなど強圧的な姿勢をとり続けていることへの反発がある。また、ここで再選を祝福すれば、反イラン感情が高まっている自国内からの批判にさらされかねない

 また、大統領の再選を最高指導者のハメネイ師が最終承認した3日の認証式では、欧州連合(EU)は議長国スウェーデンを除き、出席者のランクを大使から次席以下に落としたといい、欧米諸国と大統領の「対立」は容易にやみそうにない状況だ。

 イラン国内の改革派の反発も収まっていない。大統領選の不正を訴えてきたムサビ元首相ら改革派は、今も結果を受け入れておらず、抗議行動を続けている。目撃者によると、5日の就任宣誓式の最中にも国会周辺で「独裁者に死を」と大統領を批判する抗議デモが散発し、治安当局が排除した

関連トピックス

欧州連合(EU)

また毎日新聞ですが、イラン国内の体制の安定を危ぶむような記事もあります。
<イラン>求心力低下、国内対立激化…多難な大統領2期目
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090805-00000113-mai-int

 【テヘラン春日孝之】2期目をスタートさせたイランのアフマディネジャド大統領は、最高指導者ハメネイ師との確執などによってイスラム体制の実権を握る保守派内の亀裂を深め、自身の求心力を著しく低下させている。改革派などの抵抗運動も完全に収束する気配はなく、当面は政権基盤の立て直しに手いっぱいで、核問題など対外政策に目配りする余裕はなさそうだ。

 大統領は2週間以内に新閣僚名簿を作成し、国会(定数290)承認を得る。国会では保守派が3分の2以上を占めるが、大統領は1期目も石油相人事で「側近を重用し過ぎ」との批判を招いて再三否決されており、今回もスムーズな承認を疑問視する声が強い。

 大統領は1期目、核交渉の責任者だったラリジャニ最高安全保障委員会事務局長(現国会議長)をはじめ、閣僚の半分を更迭するなど、「見解の相違」が生じると支持派ですら切り捨ててきた。先月には「懐刀」とみられたモホセニエジェイ情報相を解任。革命防衛隊の諜報(ちょうほう)部門と並ぶ情報機関トップの首を切ったことで、「大統領暗殺」の可能性さえささやかれる始末だ。

 「ハメネイ師と(アフマディネジャド)政権は、父と子の関係のようなものだ」。大統領は先月末、集会でそう語り、ハメネイ師との確執を否定した。両者の確執は昨年も核交渉の主導権争いを巡って露見したが、今回の大統領選後の対立が保守勢力に与えた衝撃は、過去の比ではない

 発端は大統領が先月、親族のマシャイ副大統領を筆頭副大統領に昇格させた人事だ。マシャイ氏は「イランはイスラエル国民の友人」と発言したことがあり、保守勢力の猛反発を受けてハメネイ師が人事の撤回を命じた

 大統領は最終的にハメネイ師の指示を受け入れたが、6日間にわたり抵抗した。最高指導者の権威は体制の根幹だ。ハメネイ師は大統領選後、アフマディネジャド大統領の再選支持を公言していただけに、その大統領の反抗的態度にメンツをつぶされた格好になった

 保守勢力の一部はアフマディネジャド大統領の振る舞いについて、イスラム聖職者中心の現体制にとって、改革派などの抗議行動以上の「脅威」とみているフシがある。危機感を募らせた一部保守勢力が今後、大統領派の包囲に動き、権力闘争や主導権争いが激化する可能性がある

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まぁこの記事は憶測が多いですが、ハメネイ氏が大統領にメンツをつぶされた格好になったのは確かだと思います。

最後CNNは意外と落ち着いた感じで書いてます。
アフマディネジャド大統領が正式就任、多難含みの2期目の船出
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200908050011.html

テヘラン(CNN) 今年6月の大統領選で再選を果たしたイランの保守強硬派アフマディネジャド大統領(52)が5日、国会で行われた2期目の就任式典で正式宣誓した。任期は4年で大統領は2期目まで許されている。

3日には同国の最高指導者ハメネイ師がアフマディネジャド氏の再選を認証している。今後2週間内に新閣僚名簿を発表し、国会の承認を求める。同大統領は宣誓に伴う所信表明演説で、宗教、倫理、高潔、正義などに根差した政治を進めると述べた。

大統領選では改革派候補支持者らが不正があったとして抗議集会を開き、当局が弾圧、死傷者も出ている。改革派の抵抗は今なお続き、5日もデモを警戒した警官隊らが国会周辺や路上に配置され不測の事態に備えた。

また、親戚関係にある人物を昇格させた筆頭副大統領人事ではハメネイ師と対立、一部閣僚が解任されるなど保守派内の亀裂も表面化している。アフマディネジャド大統領派は国会で少数派ともされ、多難含みの2期目の船出となった。

ところで日本の場合は朝書いたとおり祝意を示しています。
麻生首相イラン大統領祝意「イランの役割に期待」
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090805/p3