ウイグルでのハイジャック報道で迷走する新華社、その裏には…

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090810-00000618-san-int

 【北京=矢板明夫】中国国営新華社通信が9日深夜から10日未明にかけて、新疆ウイグル自治区で航空機がハイジャックされたと報じた後、内容を二転三転させた。政府の宣伝機関とも位置づけられ、国内で速報性を競うライバルを持たない新華社の“誤報”の連発は珍しい。その裏には、少数民族問題に絡むテロ事件に神経をとがらせる中国当局の焦りが伺える。

 9日深夜11時40分、新華社は「新疆ウイグル自治区内で航空機がハイジャックされた」との速報を流した。約2時間後にこれを訂正し、「アフガニスタンから同自治区に向う航空機に爆弾を仕掛けたとの脅迫があった」に改めた。さらに2時間後、アフガニスタンの空港当局者の話として「単なる技術的問題で、航空機は引き返した」と伝えた。一連の“迷走”は、同通信を引用する各国メディアを翻弄(ほんろう)しつづけた。

 新華社がニュースを配信する際には、当局による許可が必要とされている。そのため、第一報が遅いことで知られている。自国の最高指導者だったトウ小平の死去は、外国メディアが先に報じている。2008年3月に行われた台湾総統選挙では、当選した馬英九氏が勝利宣言をしてから一時間半後にようやく報道し、世界中の通信社でもっとも反応が遅かったとして話題になった。

 もっとも、最近は状況にやや変化がみられる。その背景には、昨年3月のチベット騒乱を巡る各国メディアの報道ぶりがある。

 当時、中国側がなかなか情報を出さなかったため、欧米メディアはインドにあるチベット亡命政府側が発信した情報を引用した。その結果、世界中で中国の人権政策に対する批判の大合唱が起きた経緯があった

 それ以降、少数民族に絡むテロや暴動など「中国は被害者」とアピールできるケースだけは、新華社の報道の速さが目立つようになった。政府が速報を重視するよう指導した可能性も指摘されており、一連の誤報は当局の思惑に従った結果の“勇み足”との見方も広がっている。

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ウイグル暴動のときの記事、
ウイグル暴動】カシュガルで取材規制、ホテルから記者を連行
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090710/p3
でも取り上げた、
ウイグル暴動:外国メディアへの迅速対応の意味
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090709/p8
でもウイグルでは初期は外国メディアに迅速対応したと書いています。