中国・人民元の国際化加速、円の地位低下懸念も

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091004-00000677-yom-bus_all

 建国60周年を迎えた中国が、人民元の国際通貨化に向けた動きを加速させている

 10月27日に人民元建て国債を中国本土外で初めて発行するほか、中央銀行である中国人民銀行には近く、専門組織が発足する見通しだ。先進7か国財務相中央銀行総裁会議G7)が3日採択した共同声明も、中国の人民元レート柔軟化への取り組みを歓迎した。ただ、変動相場制への移行など「真の国際化」の実現には時間がかかりそうだ。

 ■格好の「実験場」

 中国政府が本土外では初の試みとして香港で発行する総額60億元(約790億円)の国債は、満期が2、3、5年の3種類ある。9月28日には募集が始まり、窓口となる中国銀行(香港)と交通銀行香港支店の担当者は「お客さんの反応はすごくいい」と顔をほころばせる。

 これまで中国の金融商品を購入できる外国人は原則として、中国政府から許可を得た機関投資家に限られ、限度額も設定されていた。しかし、今回は個人投資家も含めて特別な許可は不要で、限度額もない。欧米の金融機関が集まる香港を「実験場」として、人民元の国際的地位を高める」(中国財務省)のが狙いだ。

 一方、人民銀行は近く、貿易決済の拡大、対外投資や対外援助などに人民元を幅広く使うための仕組みを検討する部署を行内に新設する。

 ■円の地位低下も

 中国が元国際化を目指す背景には、国内総生産(GDP)が日本を抜いて米国に次ぐ2位に躍り出ることが時間の問題となるなど、世界経済における中国の存在感が高まっていることがある。昨秋のリーマン・ショック以降、米ドルに対する信認が揺らいだことを受けて、アジア域内に「元経済圏」を広げたいという思惑もうかがえる

 温家宝首相は9月に大連で開かれた「世界経済フォーラム(夏季ダボス会議)」で、人民元の国境をまたぐ流通は拡大しており、それに伴って人民元の国際的な地位も高くなるべきだ」と訴えた

 元の国際化は、同じアジアの主要通貨である円の地位低下につながる可能性もある。鳩山首相が提唱する「東アジア共同体」構想でアジア域内の共通通貨創設が検討課題となれば、その議論の過程で日中の主導権争いが激しくなることも予想される

 ■変動相場には時間

 G7は3日の声明で、中国の人民元レート柔軟化に向けた取り組みが「中国経済及び世界経済全体のより均衡のとれた成長促進に寄与する」と明記した。

 ただ、中国政府は、元レートの値動きを市場に完全に任せる変動相場制への移行には当面踏み切りそうにない。元急騰を招く可能性が高く、高成長を支える輸出産業に大きな打撃となりかねないからだ。

 さらに、海外からの国内投資に制限を設けない資本移動の自由化についても、世界的なマネーの動きに国内経済が翻弄(ほんろう)される懸念があるとして消極的だ。

 野村香港リサーチの木下智夫エコノミスト「中国政府は、変動相場を実現させる場合でも10年ほどの時間をかけるのでは」と指摘している。(中国総局 幸内康)

ポール・クルーグマン
米経済学者「人民元の国際化ははるか先」
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090517/p4
という意見もあり、僕は人民元の国際化はまだ先だと思っています。

ましてや東アジア通貨統合は
東アジア共同体」早過ぎる=台湾元総統
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090910/p2

民主党の「東アジア共同体」構想の経済的影響

ユーロ圏のように通貨統合を目指すなら、日本が「円」を捨てるという選択をし、日本が独自に金利を決められない状況になるわけです。これがどういう意味を持つのか、鳩山さんご自身が理解されているのかどうかも疑問です。

 たとえば、現在のように、中国はバブルといわれ金融引締が求められる一方、日本は戦後最悪の失業率で金融緩和継続が求められているようなケースで、金利をどうするつもりでしょうか?

 中国に押し切られて域内の金融が引き締められれば、日本は不況下で金利や物価が上がるという最悪のスタグフレーションの状況に陥り、国民生活はさらに困窮を極め、失業者もさらに溢れかえるでしょう。中国が日本に妥協する形で域内で緩和的な金融政策を保てば、中国のバブルが膨張し、やがてバブルが破裂したときに、サブプライムショックの様に域内すべてに悪影響が及ぶでしょう。

とあるように今の経済状況では無理ではないでしょうか。