駐台湾代表:日本の「地位低下」象徴 辞任の背景

http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20091202k0000m030143000c.html?inb=ra
 【台北・大谷麻由美】日本の対台湾窓口機関、交流協会台北事務所の斎藤正樹代表(大使に相当)が近く辞任する見通しとなった背景には、日台関係の変化がある。対中融和政策を進める馬英九総統は、対日関係も重視する姿勢でバランスを取ろうとしているが、台湾での日本の相対的な地位低下を象徴する出来事と言えそうだ

 斎藤代表は今年5月、「台湾の国際的な地位は未定」と発言した直後、「勘違いだった」と総統府側に関係改善を申し出た。しかし、発言から約3カ月間、馬総統ら台湾要人は代表との面会や公式行事での同席を事実上拒否した。与党・国民党関係者は「意図的な発言に違いない。台湾は日本に文句を言えない立場だとばかにしている」となじった。また、「(独立色の強い民進党を母体とした)陳水扁前政権時代までと異なり、台湾にとって日本の重要性は低くなっている」と指摘した。

 地位が未定だからこそ独立すべきだと主張する、台湾独立派は発言を歓迎。これに対し総統府内では、斎藤代表が古くから付き合いのある台湾独立派と今も関係が良好なことにも神経をとがらせた

 中国との関係を深める馬英九政権に対し、野党・民進党が「台湾の主権を犠牲にしている」と批判を強めていたことも重なり、斎藤代表の発言は主権を巡る台湾の根深い対立を再燃させた。馬英九政権の強硬な対応は、主権を巡る立場を明確にさせる意図が強く働いたとみられる。同時に、日本経済に対する期待感の低下で、台湾の軸足が確実に中国に傾いていることを物語る

毎日新聞 2009年12月2日 2時30分

<駐台湾代表>辞表提出 馬政権と関係悪化
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091202-00000011-mai-int

 【台北・大谷麻由美】日本の対台湾窓口機関、交流協会台北事務所の斎藤正樹代表(66)が1日までに辞表を提出したことが分かった。親しい知人に「志半ばで12月末に帰国する」と文書で伝えており、近く東京で開かれる交流協会理事会で承認される見込み。

 斎藤代表は今年5月の講演で「台湾の国際的な地位は未定」と述べ、馬英九政権から「中華民国(台湾)の主権を否定する発言」と抗議を受けていた。異例の辞任劇は今後の日台関係にしこりを残しそうだ。

 日本は戦後、51年のサンフランシスコ講和条約で台湾に関する権利を放棄。「台湾は中国の不可分の一部」との中国の主張を「理解し、尊重する」としながらも、「台湾の法的地位を独自に認定する立場にない」との公式見解をとってきた。このため、斎藤代表の発言は「台湾の主権は日本から中華民国(台湾)に移譲された」と主張する馬政権を刺激、辞任要求が高まった。

 斎藤代表は66年外務省入省。中国大使館公使、カンボジア大使などを歴任し、昨年7月から現職。大使に相当する代表は通常3〜4年の任期で交代する。

【関連ニュース】
台湾:地方選…政権への初の信任投票 対中政策など焦点
台湾:札幌「領事館」、12月1日に開設
中共同声明:「埋没」台湾が危機感 2国緊密化で
台湾:野党がデモ 米国産の牛肉輸入に反対し
中台軍事フォーラム:初の開催「新たな関係形成」

これらは毎日新聞ですが、朝日新聞でも同じ事を報道しています。

日本の対台湾窓口代表、辞表提出 帰属巡る失言引責か
http://www.asahi.com/politics/update/1130/TKY200911300508.html

 今年5月に台湾の帰属に関する失言をした日本の対台湾窓口、交流協会台北事務所の斎藤正樹代表(大使に相当)が辞表を提出していたことが、わかった。「一身上の都合」を理由としているが、事実上、失言の責任を取ったとみられる。

 従来、日本政府は台湾の帰属について言及を避けてきたが、斎藤氏は講演で「サンフランシスコ平和条約で日本が領有権を放棄後、台湾の国際的地位は確定していない」と発言。台湾外交部(外務省)から強い抗議を受け、馬英九(マー・インチウ)総統ら政権幹部が一時、斎藤代表との面会を避けるなど日台関係に影響が出ていた。

朝日新聞はもうちょっとやる気を出してもいいんじゃないですかね。