<コソボ>独立2年半 民族対立「無政府状態」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100727-00000085-mai-int


ミトロビツァ北部のセルビア支配地域をパトロールするNATO指揮下の治安維持部隊=樋口直樹撮影

 セルビアからの独立宣言を合法とする国際司法裁判所(ICJ)の判断により、国際的な地位向上が見込まれるコソボ。しかし、08年2月の独立から2年半を経た今も、セルビアとの確執に改善の兆しは見えない。コソボ領内にありながら、街の半分をセルビアに実効支配されてきた「対立の最前線」ミトロビツァからは、コソボの独立を取り巻く厳しい現実が浮かび上がる。【ミトロビツァ(コソボ北部)で樋口直樹】

 コソボの独立に反対しているセルビアのイエレミッチ外相は26日、ICJの判断を受けて「新たに55カ国がコソボ承認に踏み切ろうとしている」と危機感をあらわにした。既にコソボを承認している69カ国と合わせると、一挙に120カ国以上に膨れあがる計算だ。コソボ側も「主権国家」としての自信を深め、独立の是非を巡る対セルビア交渉はもはや必要ないとの立場だ。

 だが、領土の線引きを巡るセルビアとの対立に、いまだ解決の見通しは立っていない。

 「ここは世界一巨大なブラックホールのままなのです」。ミトロビツァのほぼ中心を東西に流れるイバ川の北側、セルビア支配地域で暮らす少数派アルバニア系住民の代表、ドリトン・ゲルグリさん(45)はこう語る。川の南側はコソボ政府が掌握し、住民の圧倒的多数はアルバニア系。ミトロビツァはコソボ領ながら、川が事実上の国境になっている極めて異質な街だ。

 70メートルほどの橋を南から北へ渡ると、巨大なセルビア国旗が目に飛び込む。橋の真ん中には警察車両が止まっているが、身分証の確認は行われていない。物理的な障害はないのに人通りはほとんどなく、北側へ向かう車の中には、橋のたもとでナンバープレートを外すものが少なくない。「コソボ」ナンバーのままでは何が起こるか分からないからだ。

 ◇48人殺害 逮捕者なく

 ゲルグリさんによると、セルビアからの独立を求めるアルバニア系住民とセルビアの衝突が激しさを増した99年以前には、北部にも約2万人のアルバニア人が住んでいた。だが、紛争に伴う南北分断によって約3000人に減少。「99年以降、北部ではアルバニア系やボスニア系を中心に48人が殺害されたが、いまだに誰も逮捕されていない。こんな無政府状態が信じられますか」と嘆く。

 今月初めには、北部でのコソボ政府機関の開設に反対するセルビア系住民らの集会に爆発物が投げ込まれ、ボスニア系男性医師(49)が死亡する事件も起きた。セルビア政府はアルバニア系過激派の関与を疑うが、事件の真相は闇の中だ。北部の緊張は一気に高まり、北大西洋条約機構NATO)軍指揮下の国際治安部隊が厳重な警戒態勢を敷いた。

 「ICJの判断を受けコソボの独立承認に踏み切る国が増えても、ここの現実は変わらない」。北部のアルバニア系住民からはこんなあきらめの声が聞かれる。両者の和解に向けた事業を展開している国際的な非政府組織(NGO)のメンバーは「双方の若者が互いに言葉も分からず、知り合う機会もないまま育っていくことが将来の最大の懸念材料だ」と指摘した。

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コソボ>独立1年…向上しない市民生活 無法状態の地域も
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090217/1234889311
で、言われた状況からあまり変わっていませんね。失業率40%は改善されたんでしょうか。