レアアース「脱中国」 代替品開発に汗 カザフでも事業

http://www.asahi.com/business/topics/economy/TKY201009290587.html
2010年9月30日1時50分

 レアアース(希土類)をめぐり、生産で9割以上のシェアを持つ中国が禁輸解除後も輸出管理の強化を続けていることを受け、「脱中国」を目指す動きが広がっている。レアアースは自動車や家電製品など日本の最先端製品を支える素材だけに、メーカーは代替材料の開発に、大手商社などは新しい鉱山開発に躍起だ。

 ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などのモーターに使われる磁石には、ネオジムやジスプロシウムなどのレアアースが使われる独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)は北海道大学レアアースを使わないモーターを開発し、29日に発表した。

 新型モーターには、酸化した鉄などでできたフェライト磁石を使用。磁石の力は弱いが、モーター内部の配置を工夫して、レアアースを使ったモーター並みの性能を発揮する。コスト面でも「磁石は、レアアースを使ったものの10分の1〜20分の1ですむ」(北大の竹本真紹准教授)という。

 新型磁石の開発は他の企業グループでも盛んだ。日立金属は、独立行政法人物質・材料研究機構と共同で、レアアースの使用量を減らし、代わりに銅合金を使った磁石の実用化を目指している帝人と東北大は2007年から、鉄と窒素を使った強力な磁石を作る研究に取り組んでいる。

 レアアースのリサイクルを進める動きもある。日立製作所は09年末から、磁石からレアアースを取り出す技術を開発中だ。現在は使用済みのハードディスクドライブなどから手作業で回収しているが、13年から自動で回収できる新システムを稼働させる。家電向けのモーターなどに使うためグループで年間に調達している500〜600トンのレアアースの1割程度をリサイクルで賄う考えだ。

 商社などを中心に、中国以外の国でレアアースの資源開発に着手する動きも広がる。

 住友商事カザフスタン国営企業合弁会社を設立し、ウラン採掘後の残存物からレアアースを回収する事業を行う。12年にフル稼働し、年3千トンを生産する計画だ。

 東芝カザフスタンで、ウランの残存物からレアアースを回収する事業を昨秋から準備中。年内にもカザフの国営企業合弁会社を設立する。

 資源の宝庫といわれるアフリカにも注目が集まる。丸紅は南アフリカで、リン鉱石の残存物からジスプロシウムなどを回収する事業を進める。

 新しい鉱山の開発では、双日豊田通商ベトナムで採掘権の取得に動いており、12年をめどに生産を始めたい考えだ。大手商社によると、日本企業だけでなく、米国やオーストラリアなどでも、レアアースの生産計画が広がっているという。

■低コスト武器に中国は生産拡大

 経済産業省によると、日本の08年のレアアース輸入量は3万5千トン。うち中国からの輸入量は3万1千トンと89%を占める。

 メーカーなどが行うレアアースの使用量削減やリサイクルは中国依存に対する抜本的な解決につながらず、商社などが進めるレアアース回収事業や新規鉱山の開発も生産開始までに時間がかかる。すぐに中国依存から脱却する「即効薬」になりえないのが現状だ。

 経産省によると、中国がレアアースの生産を始めたのは1980年代半ば。世界の生産量の推移を見ると、90年代半ばまでは米国が首位に立つことが多かった。しかし、中国は低コストを武器に生産を一気に拡大。08年には世界の97%を握る。経産省OBは「中国はレアアースの生産に、環境対策を施さないまま化学物質を使っていた。安く採れるのは当たり前で、米国は敗北した」と語る。

 「一人勝ち」になった中国はレアアースの輸出に様々な規制をかけ、市場価格を実質支配する。04年には輸出の際に還付される増値税(付加価値税)について、レアアースを適用除外に。06年には、レアアースの輸出に10%の税をかけ、08年には税率を最大25%に引き上げた。同時に輸出許可の枠を狭めてきた

レアアースでブログ内検索すればいろいろと記事が引っ掛かりますが、住友商事の件は、
住友商事、カザフ国営企業レアアース回収事業に乗り出す
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090813/p1
で、取り上げています。また、レアメタルの中にレアアースが含まれるということのようなのですが、
中国のレアメタル輸出規制、WTO違反…米とEU提訴へ
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090624/p3
という記事もありました。

あと、資源探査は衛星で出来るようで、
衛星による資源探査技術をアフリカ諸国に提供へ 権益確保目指す
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090807/p4
というのもありました。