中国が「包囲網」恐れ方針転換へ、対日政策も妥協か=米国はアジア版NATO検討―中国事情通が明かす

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101027-00000001-rcdc-cn


25日、中国事情に詳しい林和立・国際教養大学教授は講演し、中国はアジア太平洋地域での包囲網を懸念、
(1)米国との関係修復に 動く
(2)ASEAN諸国に対しても安心感を与える政策に転じる
(3)対日政策も妥協的な姿勢をとる―などの見通しを明らかにした。

2010年10月25日、香港英字紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」の元中国担当編集者で中国事情に詳しい林和立(ウィリー・ラム)国際教養大学教授は日本記者クラブで講演し、「中国は米国がイラク、イラン、アフガニスタンなどの整理がついたあと、関心をアジア太平洋地域に移し、中国が包囲されることを懸念している」と指摘。その上で、中国政府は
(1)米国との関係修復に動いており、胡錦濤主席が来年早々に訪米する、
(2)ASEAN諸国に対しても安心感を与える政策をとる、
(3)対日政策もよりウィンウィンの関係を求め妥協的な姿勢をとる方向に変わっていく―などの見通しを明らかにした。発言要旨は次の通り。

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2012年の第18回全国人民代表大会全人代)で国家主席に就くことが確実視されている習近平副主席は人民解放軍と密接な関係がある。人民軍の中で大きな勢力を持っている「党幹部の2世3世派閥」太子党の出身なので、胡錦濤主席に比べ、将軍たちの発言力が強まるとみられる。

中国共産党の立場からすれば(国民の間では)共産主義社会主義という理念は消滅したも同然なので他の理念が求められる。ナショナリズムで国民の感情をかき立て(求心力を)確保しようとする。しかしこれは「剣の両刃」であり、デモが暴走してコントロールがきかなくなることも恐れている。今回の反日デモ中央政府への不満のはけ口となっており、「反汚職」「反不動産価格高騰」などがデモのスローガンに掲げられている

共産党はその正統性を示すためのビジョンを国民に対し掲げる必要に迫られており、領土の保全を「核心的な利益」として持ち出してきた。南シナ海で「新たな領土問題」を言いだしたことに米国はショックを受けた。江沢民氏が「平和的な台頭」を唱え、胡錦濤氏がかつて「国際社会の中で目立つことの回避」を言っていたこととは明らかに違う

この結果、急成長し超大国に登りつめる過程(の事象が)すべて「核心的利益」ととらえられるようになった。中国政府はこの1年、あまりに早く動き過ぎ、大きな間違いを犯した。北朝鮮が今年3月に韓国の哨戒艇を撃沈させた際、北朝鮮を非難しなかったこと、尖閣諸島問題での高圧的な姿勢やレアアース対日輸出制限や観光客の訪日中止を絡めたことも、中国にとってマイナスとなった。ノーベル平和賞に関しノルウェーに圧力をかけたことも国際的な物笑いのタネとなってしまった。中国は強大にはなったが、友人をつくるのに失敗した。

胡錦濤政権が恐れているのは、米国がイラク、イラン、アフガニスタンなどの整理がついたあと、関心をアジア太平洋地域に移すことだ。オバマ大統領はこの地域の出身であることもあって、「太平洋の大統領」と言っている。このままでは米国の反感を買うことになり、中国が「反中」で包囲されることを懸念している。米国とASEANの関係も修復され、中国封じ込めに動くのではないかとの見方もある。米国としては、日本、韓国と緊密な関係を再構築し、アジア版NATOをつくることも検討している。その場合、日本は重要な位置を占める

中国は米国との関係修復に動いており、胡錦濤主席が来年早々に訪米する予定だ。ASEAN諸国に対しても安心感を与える政策をとるだろう。対日政策も強硬策とソフトな政策を混ぜた形になると予想する。反中封じ込め政策を回避するため、よりウィンウィンの関係を求め妥協的な姿勢をとる方向に変わっていく可能性がある。

日本と中国は経済的に密接な関係にあり、中国政府も日本の経済界との関係改善に乗り出すことになる。2008年に福田康夫首相と胡錦濤主席が交わした「戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明」は重要な取り決めであり、これを互いに確認し合うことになろう。長期的な解決策は領土問題を棚上げしてガス田などを共同開発することだ。日中間のケースは南シナ海などでの領有権問題解決のモデルとなる。

「中国の台頭」に対し、国際社会は責任あるステークホルダー(利害関係者)になるよう説得すべきだ。(大国への歩みを)ゲームのルールを守りつつ進めることが大切だ。先のG20 財務相会議で中国のIMFの議決権が引き上げられたのは、ルール遵守の結果だ。(取材・編集/HY

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いろいろと考えさせられる文章ですね。たしかにそろそろ中国も国際協調に動いてくれないと何をするか全く分からない国としか思えなくなりますね。しかし対ASEANと対日では予想しか述べてないような。当たるのかな。

太平洋大統領というのはオバマ大統領確かに言ってますね
http://news-net.ddo.jp/cgi-bin/estseek.cgi?phrase=%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98&perpage=100&clip=-1&navi=0&attr=&order=_date_

反日デモ中共も、もう沢山という感じなのはたしかですね。
「何もなかったと報道を」中国デモ取材に公安職員
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20101025/p1

米国とASEANの関係は
ASEAN声明、米の対中けん制ならず
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20100926/p2
というのがありましたが、関係いいんでしょうか。
また中共自身
中国ASEAN大使「南シナ海問題、日米関与認めぬ」
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20101023/p2
と言っていますよね。これは中国より先に日米がASEANといい関係を作るのはちょっと待ってくれという意思表示として見ればいいんでしょうか。

しかし日本は
北沢防衛相の「尖閣は日本の領土」に全面賛同なし 5カ国国防相
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20101012/p1
という結果でした。一方
「わが国固有の領土」と強調 前原外相が島嶼国に 尖閣衝突事件
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20101019/p1
では、『各国からは「説明を聞いて状況がよく分かった」と日本に賛同する意見が相次いだという。』という話でしたが。

アジア版NATOというのも出てきますが、ずいぶん古いな…
http://news-net.ddo.jp/cgi-bin/estseek.cgi?phrase=%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E7%89%88NATO&perpage=100&clip=-1&navi=0&attr=&order=_date_
2007年頃ですね。オバマ大統領はどうなんだろう??

戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明の要旨はこれですね。
日中共同声明の要旨

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080507-00000921-san-pol
 日中両国は7日午後、「戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明」を発表した。要旨は次の通り。

 1、日中関係が双方にとり最も重要な2国間関係の一つとの認識で一致。「戦略的互恵関係」を包括的に推進し、両国の平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展という崇高な目標を実現していくことを決意した。

 2、1972年の日中共同声明、78年の日中平和友好条約、98年の日中共同宣言の諸原則を引き続き順守することを確認。2006年10月、07年4月の日中共同プレス発表にある共通認識を堅持し全面的に実施する。

 3、歴史を直視し、未来に向かい、将来にわたり絶えず相互理解を深め、相互信頼を築き、協力を拡大、アジア太平洋、世界の良き未来をつくり上げていく。

 4、互いに協力のパートナーであり、脅威にならないことを確認。

 (1)日本側は、中国の改革開放以来の発展が国際社会に大きな好機をもたらしていることを積極的に評価。恒久平和と共同の繁栄をもたらす世界の構築に貢献していくとの中国の決意を支持。

 (2)中国側は、日本が戦後六十年あまり平和国家としての歩みを堅持し、平和的手段により世界の平和と安定に貢献してきたことを積極的に評価。日本の国連における地位と役割を重視、国際社会で一層大きな建設的役割を果たすこと望む。

 (3)協議、交渉を通じ両国間の問題を解決。

 5、台湾問題に関し、日本側は(72年の)共同声明で表明した立場を引き続き堅持する。

 6、以下の5つの柱での協力を決意した。

 (1)政治的相互信頼の増進
 ▽両国首脳の定期相互訪問のメカニズムを構築。政府、議会、政党間の交流と戦略的対話のメカニズム、意思疎通を強化し、政策の透明性向上に努める。

 ▽安保分野でのハイレベル相互訪問を強化。

 (2)人的、文化的交流、友好感情の増進
 ▽メディア、友好都市、スポーツ、民間団体の間の多種多様な交流を実施。

 (3)互恵協力の強化
 ▽エネルギー、環境分野における協力を重点的に行っていく。

 ▽幅広い分野での互恵協力を進め、共通利益を拡大する。

 ▽日中ハイレベル経済対話を戦略的かつ実効的に活用していく。

 ▽共に努力して東シナ海を平和・協力・友好の海とする。

 (4)アジア太平洋地域への貢献
 ▽6カ国協議を共に推進。中国側は日朝が諸懸案を解決し国交正常化を実現することを歓迎、支持する。

 (5)グローバルな課題への貢献
 ▽気候変動枠組み条約の下で「共通だが差異のある責任」原則に基づき、13年以降の実効的な気候変動の国際枠組み構築に積極的に参加する。

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・両首脳、合意文書に署名 文書一覧
日中共同声明に署名 チベット問題に直接的言及なし 日中首脳会談
・両陛下、胡国家主席夫妻とご会見
・「チベットに自由を」胡主席来日で抗議集会

うーん分かったような分からないような…

領土問題の棚上げは日本は尖閣では否定してますけどね
尖閣棚上げ日中合意を否定=78年のトウ氏発言―政府

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101026-00000063-jij-pol
 政府は26日午前の閣議で、中国の最高実力者だったトウ小平氏が1978年10月に日本記者クラブで行った記者会見で、沖縄県尖閣諸島に関し「国交正常化の際、(日中)双方はこれに触れないと約束した」と述べたことについて、「約束は存在しない」と否定する答弁書を決定した。河井克行氏(自民)の質問主意書に答えた。

 また、答弁書は72年9月の日中首脳会談で、周恩来首相が田中角栄首相(いずれも当時)に「尖閣諸島問題については、今回は話したくない。石油が出るから問題になった。石油が出なければ、台湾も米国も問題にしない」と表明したことを改めて説明した。中国側が71年、にわかに領有権を主張し始めたのは、尖閣周辺で海底石油資源の存在が確認されたためだと暗に指摘したものだ。

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【特集】中国海軍〜その秘められた実力〜
【特集】尖閣諸島緊張の海
尖閣問題「燎原の火」を点けた「酒乱船長」の暴走
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〔写真特集〕眼下の尖閣〜緊迫の海自哨戒機〜

とにかく日本は尖閣棚上げ否定してますから、東シナ海も棚上げしたら「また弱腰…」となるんじゃないでしょうか。

というか日本もすでに始めそうだよ。今日の記事
排他的経済水域での資源探査、法規制検討 中国を牽制か

http://www.asahi.com/politics/update/1027/TKY201010260595.html
2010年10月27日4時1分
 日本近海の排他的経済水域EEZ)での外国の資源探査を規制する法規制を日本政府が検討していることが26日、明らかになった。東シナ海海洋資源開発を進める中国を牽制(けんせい)する狙いと見られる。

 複数の政府関係者によると、内閣官房の総合海洋政策本部(本部長・菅直人首相)は、EEZでの他国の探査について、海洋法条約に照らして何ができるか実務的な検討を積み重ねている。具体論について決定する段階ではなく、新法に向けた調整は始まっていないが、法的にどのように整理できるか議論を進めているという。

 日中が共同開発に向けて交渉準備を進めている東シナ海ガス田「白樺(しらかば)」(中国名・春暁)については、日本側がEEZの境界と主張する「日中中間線」をまたぐ海域で中国側が先行開発。2008年6月に日中両政府が日本法人の出資と出資比率に応じた利益分配に合意した。

 ただ、最近になって経済産業省などは白樺周辺で海面の変色などを確認し、中国が掘削を開始しているとの見方を強めている

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菅直人

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中国がいまさら折れても日本国内が治まらないんじゃないかなー。南シナ海はこれを悪い先例とすることになるんじゃないですかね。

ちょっと疲れてきたのでアップ。あとで見直すかも。

IMFについてちょっと書きました。
IMF改革 中国、3位の出資国に 新興国6%以上引き上げ
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20101027/p6
3位の出資国という事は3位の発言権があるということですよね。中国にとっては喜ばしいでしょう。
追記:
別の記事にですがairさんからもらったコメントの記事こっちに内容が合ってるんじゃないかと思ってこちらで取り上げます。
【TPP参加】事務レベル会議に中国参加 米の狙いは「包囲網」

http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/101027/fnc1010271843020-n1.htm
 政府が参加を検討し、米国などが交渉している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が11月に開く事務レベル会議に、中国が参加することが27日、わかった。外務省によると、中国がTPP参加に興味を示したことはこれまでになく、まったく想定外の動き。背景には、TTPの枠組み作りで音頭を取る米国が中国に参加を強く働きかけた事情があるとみられる。中国の参加が浮上したことで、農業への影響懸念から参加の足並みがそろわない日本も、早期の決断を迫られている。

 「中国はこれまでTPPについて言及したことはなかった」。外務官僚は中国の会合参加を驚いた口調で話す。外務省がTPP交渉参加国から情報収集したところ、APEC首脳・閣僚会議の直前の来月9日に開かれるTPPの意見交換会に、参加に関心を示してきた日本、カナダ、フィリピンに加えて中国の名前があった

 中国は国内事情を優先させるあまり、国際ルールを逸脱した対応が取ることが多く、中国とかかわる各国が一様に頭を抱えている。交渉筋で交わされるTPPの“またの名”が「Nマイナス1」であることも、中国にわずらわされずに取引を進めたい各国の思惑がにじむ。Nは集合体、1は中国だ。

 一方で、国内事情に制限が加わる可能性の高いTPPへの参加を、中国が自主的に申し出るとは考えにくい。このため、中国が参加に名を連ねたのは、米国の強い働きかけがあったためとみられる。経産省幹部も「中国に国際ルールへの参加を促すことが(TPPを主導する)米国の狙い」と言い切る

 米国の狙いは、事実上の「中国包囲網」をつくることにあるとみられる。21世紀の自由貿易ルールづくりのテーブルに、中国が着かざるを得ない環境をつくり、人民元の柔軟化やレアアースの禁輸問題など国際ルールから離れた独自の動きを封じるシナリオだ。

 流れはできつつある。現在9カ国が交渉に参加するTPPは、米国と自由貿易協定(FTA)の署名を済ませた韓国の参加も時間の問題とされる。関心を示すカナダやメキシコ、タイに日本まで加わりAPECの主要国のほとんどが含まれることになれば、中国の孤立化が浮き彫りになる。

 ただ、TPPは100%の関税撤廃を原則とする自由度の高い多国間のFTA(自由貿易協定)。TPP交渉参加国に比べて倍以上の高関税をかけ、しかもIT製品の調達で外国企業を差別的に扱う中国の参加を疑問視する声も多い

 日本貿易振興機構の担当者は「中国の関税率は乗用車で25%などと特定品目で突出しており、国内企業の保護を考えれば相当ハードルは高い」と懐疑的だ。外務省や経産省は中国の意向の確認を急いでいる

 「米国が(自由貿易交渉で)ここまで乗り気になったのはガットのウルグアイ・ラウンド以来だ」。交渉筋はそう明かす。米国がアジア地域でFTAを発効しているのはシンガポールだけ米国が中国を含むTPPを推進するのは、世界経済をリードするアジア市場を取り込みたいというお家事情もある。

 こうしたお国事情にまつわる各国の思惑が交錯する中、日本でもTPPの参加検討方針で政府・与党内で亀裂が広がり、もたつき感は否めない。貿易自由化のルールづくりに参加できなければ米国の狙う中国包囲網の外堀に亀裂が入るだけでなく、日本自身が「小国として埋没しかねない」(交渉筋)。日本は、中国の参加が浮上したことで、さらに厳しい局面を迎えたことになる。

これは中国が国際協調に動き始めて、国際ルールに従えという方法で米国が中国を押さえたいという希望の現われではないでしょうか。