スラム街をキャンバスに リオの芸術プロジェクト

http://www.cnn.co.jp/world/30000979.html

リオデジャネイロ(CNN) ブラジル最大の都市リオデジャネイロのスラム街が、色彩あふれる芸術のキャンバスになった。オランダから訪れた2人のアーティストによるプロジェクトで、貧しく暗かった街のイメージがすっかり塗り替えられている。

丘の斜面に重なり合うように建つ住居、その間を流れるどぶ。麻薬密売組織と警察との銃撃戦は日常茶飯事だ。サンタマルタは周囲から疎まれ、恐れられるばかりの貧困地区だった。

そんな街をキャンバスに変えたのは、オランダ人アーティストのドレ・ユアハーンさんとジェルン・コールハースさん。2人は2005年、ヒップホップのビデオ撮影のため、リオの貧困地区を初めて訪れた。

市内で最も危険なスラム街とされるビラクルセイロ地区に部屋を借り、地元の若者と交流するなかで、壁画プロジェクトを思い立ったという。「若者たちと一緒に生活の場を芸術的な場に変え、彼らにプライドを植え付けたかった」「彼らの手で描くことができるもの、外部の関心を引き付けられるものをと考えた」と、ユアハーンさんは振り返る。

最初に完成したのは、3棟の建物を覆う巨大な壁画。たこを揚げる少年を描いた。続いてセメントで固めた斜面一面に、川面を跳ねる魚の絵。住民らの力作に、地元メディアが注目し始めたラクルセイロの犯罪は減らなかったものの、密輸以外の「明るいイメージ」を打ち出すことに成功したと、ユアハーンさんは強調する。

2人が次に注目したのが、サンタマルタ地区だった。住民の反応には熱気がみられ、オランダ系の地元ペンキ会社が材料と訓練の提供を申し出てくれた。34棟の建物に色とりどりの模様が描かれ、中央広場は万華鏡のような姿に生まれ変わった。作業を終始手伝い、プロのペンキ職人という肩書きを手にした若者もいる。かつて麻薬の密売人だったという男性は、プロジェクトに参加して「人生の見通しが変わった。真っ当な仕事はいいものだと分かった」と話す。

資金がさらに集まれば、プロジェクトの範囲を拡大することも可能だという。住民自身の熱意が、やがて街全体を塗り替えるかもしれない。

たしかにきれいですね。住民たちの手でやるということが重要なんでしょうね。