魯迅が消える?! 中国の高校教科書 プライド傷つけると賛成論も 

http://sankei.jp.msn.com/world/china/101230/chn1012301728001-n1.htm


街の入り口では魯迅を描いた大きな壁が迎えてくれる=2007年04月、中国・浙江省

 【上海=河崎真澄】中国の高校生向け国語教科書から「阿Q正伝」や「薬」など魯迅(1881〜1936)の作品が続々と姿を消し、賛否両論がわき起こっている。中国教育省が管轄する人民教育出版社が2010年秋からの高校生向け新版で「阿Q正伝」などを初めてはずし、教科書に登場する魯迅の作品数を従来の7編から3編に急減させた。このため、地方当局系の出版社もあわてて魯迅作品カットに走っている。

 人民出版社では、魯迅作品を減らした理由として
(1)作品の内容と現代の時代背景の差が開いた
(2)中国語の用法が大きく変化した
(3)魯迅作品が扱う内容が深刻すぎる
−などを挙げた。地元紙は、「魯迅の文章は難しすぎる上、その言葉づかいは現代の中国人のプライドを傷つけている」と削除賛成派の声を紹介した。数編ずつ掲載されている小中学生向けも含め、今後さらに教科書から魯迅作品の登場機会が減る懸念がある。

 魯迅浙江省紹興の出身で、1904年に仙台医学専門学校(東北大医学部の前身)へ留学した。当時の日本での生活を通じ、中国人を救うためには医学ではなく、文学を通じた精神面の改造が必要と考えたと作品の中で記述している。

 その日暮らしで村人にバカにされながらも自尊心だけは強く、ケンカをふっかけては負け、逆に負けてやったのだと優越感に浸るうちに、1911年の辛亥革命の混乱の中で無実の罪で処刑される最下層の男を描いた「阿Q正伝」(21年発表)。当時の中国社会の病理をえぐり出した魯迅の代表作とされ、毛沢東もしばしば談話で取り上げたというが、広東省以外の教科書から姿を消しつつある

 一方、魯迅の出身地のネットサイト浙江在線は「魯迅による(中国の)国民性への批判を忘れて祖国の発展はない」と、削除反対の論評を掲げている。経済力をバックに国際的発言力を強める一方、内外からの批判を受け入れなくなった中国社会を問題視し、削除反対の立場を明確にした。

 教育関係者の中には「批判精神が旺盛な魯迅の作品が、若者による中国共産党一党支配体制への批判に飛び火することを懸念したのではないか」との見方も出ている。

 人民出版社の高校教科書に残されたのは、魯迅の少年時代や故郷の人々を描写した小説「祝福」など、批判精神より文学性の色濃い作品となっている。

そういうことするから、文学を通じた精神面の改造が必要とか言われるのではと思います。

追記:
そういえばこの中にも魯迅が出てきました。
ウソだらけの教科書、文学史上の名作や偉人のエピソードにねつ造が横行―中国http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20101223/p4