<レバノン>閣僚一斉辞任 ヒズボラが再び火種に

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110113-00000122-mai-int
 【カイロ和田浩明】レバノンイスラムシーア派組織ヒズボラ系などの閣僚11人の一斉辞任により、スンニ派サード・ハリリ首相の連立内閣が崩壊した。スレイマン大統領は13日、残った閣僚に暫定的な職務継続を要請し、新たな「挙国一致内閣」の形成を呼びかけたが、新政権発足には長期間かかる見通しだ。宗派間対立の火種だったヒズボラが、またしても激震を招いた格好となった。

 辞任したのはヒズボラが主軸の反米・親シリア勢力の閣僚10人と大統領指名の閣僚1人。憲法規定で閣僚30人中3分の1以上が辞任すれば内閣総辞職と見なされる。

 辞任閣僚の一人、バシル・エネルギー水資源相は記者会見で「(ハリリ)内閣は機能不全で国民の重荷となった」と述べた。

 一斉辞任の理由は、ハリリ首相の父親、ラフィク・ハリリ元首相の暗殺事件(05年)を審理する国連のレバノン特別法廷に対する不満だ。ヒズボラは自派関係者の起訴を懸念し、同法廷への費用拠出停止やレバノン人判事の引き場げを要求したが、ハリリ首相は受け入れに抵抗してきた。

 この問題では、シリアとサウジアラビアが協調して調停。ハリリ首相が同法廷の起訴内容を支持しないことと引き換えに、国軍を超える武力を持つとされるヒズボラが事態を静観する案が協議されてきたとされる。だが、ヒズボラ系閣僚らは11日、「調停は不調に終わった」と宣言していた。

 内閣崩壊により、ハリリ首相の政治的影響力の大幅な低下は避けられない。また、イランの中東地域での勢力拡大をけん制するためハリリ支援を続けてきた米国にも、大きな痛手となった。

 今後の焦点は新内閣の組閣。スレイマン大統領が改めて国民議会(国会)議員と面会し首班候補を指名する。単独で過半数を保持する会派がないため連立が必要だが、政治力を誇示したヒズボラ陣営は、特別法廷問題などでの要求を強めそうだ。ヒズボラを支援するイランやシリア、ハリリ首相を支えるサウジや米国なども影響力行使を図るとみられる。

 地元政治専門家のイブラヒム・ビラム氏は「ヒズボラ側は政局を混乱させ、親米勢力への国民の支持切り崩しを狙っている」と見る。ヒズボラ系の閣僚は「事態の悪化は望まない。憲法を守る」と発言しているが、レバノンは08年5月にもヒズボラ側と親米・反シリア勢力の衝突で混乱するなど、国内対立の激化を懸念する声は根強い。

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http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20101121/p5
ではかなり詳しく証拠が集められているような記事がありました。