スーダン南北緊張 係争地の中部油田地帯に政府軍進駐

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110522-00000528-san-int
産経新聞 5月22日(日)17時48分配信

 【カイロ=大内清】フランス通信(AFP)によると、スーダン北部の中央政府と、1月の住民投票で分離独立が決まった南部の双方が領有をめぐり争っている中部の油田地帯アビエに21日、政府軍の戦車部隊が進駐、町を制圧した。すぐに南北の全面衝突につながる可能性は低いとみられるものの、7月に予定される南部独立を前に緊張がいっそう高まるのは必至だ。

 20年以上に及ぶ内戦を終結に導いた2005年の包括和平合意を仲介した米国は同日、政府軍に対しアビエからの即時撤退を要求し、これが実現しなければ、「米国との関係正常化プロセスが後退することになる」との声明を出した。

 アビエでは1月以降、北部への残留を主張する遊牧部族と、南部自治政府スーダン人民解放軍(SPLA)などがしばしば衝突していた。21日には進駐してきた政府軍とSPLAの間で戦闘も発生、スーダン国営放送は「敵を南に追放した」と“勝利宣言”した。

 和平合意では、南部独立の住民投票と同時に、アビエの帰属先を決める住民投票も行うとされていたが、有権者の範囲などで南北双方の溝が埋まらず無期限延期されている。

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最終更新:5月22日(日)17時56分

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・ <スーダン>南北緊張、政府軍が係争地に進攻(毎日新聞) 22日(日)21時50分
・ 政府軍が主要な町支配下に=アビエイで戦闘の末―スーダン時事通信) 22日(日)12時9分

アメリカは口先介入ですね。

以前の記事では、こんなのがありました。
スーダン政府:「南部がアビエイ地区を併合するならば新国家を承認しない」(al-Hayat紙)

http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20110428_210900.html
2011年04月28日付 al-Hayat紙

スーダン政府、南部スーダンがアビエイ地区併合の場合は新国家を承認しないと警告
2011年04月28日『アル=ハヤート』

【南コルドファン:アン=ヌール・アフマド・アン=ヌール】

南北スーダン間で国境画定に対する意見の対立を激化させかねない情勢になっている。与党・国民会議党(NCP)は昨日[27日]、「今年7月9日に樹立宣言が行われる見通しの南部スーダン国家が、南北間で係争が起こっているアビエイ地区を併合した場合には同国家を承認しない」と発表した。

一方、スーダンのウマル・アル=バシール大統領は、サラーフ・アブドゥッラー・ゴッシュ国家安全保障担当大統領顧問を大統領側近である与党のナーフィウ・アリー・ナーフィウ副書記長との意見の相違を背景に更迭した。アビエイ地区を南部国家に帰属させることに対する北部の立場について、NCPのアビエイ地区責任者であるアッ=ディルディーリー・ムハンマド・アフマド氏はハルツームでAFP通信に、「南部スーダン憲法草案にアビエイ地区は南部国家の領土の一部であるとの規定を含むことは包括和平合意(CPA)違反であり、南部の自決権をめぐる住民投票の結果を越えた行為である。取り決めでは、南部スーダンとは[スーダンが独立した]1956年1月に画定された境界線以南の地域のことだと謳われている」と語った。さらにアフマド氏は、「NCPは南部併合の規定を受け入れることはなく、これらの違反を承認することもない。南部側があくまで憲法にこの規定を盛り込むならば、今年7月9日に樹立宣言が行われる見通しの南部スーダン国家の承認は見直されることになるだろう」と発言した。

南部自治政府のサルヴァ・キール・マヤルディ大統領が受理した南部スーダン憲法草案は第1章第2節で南部スーダン共和国およびその国境について規定しており、「南部スーダン共和国の国境は、1956年1月1日の境界線に基づくエクアトリア州、バフル・アル=ガザール州、上ナイル州の領土および領空と、ディンカ族ンゴック氏族の9首長国の領域を境界とするアビエイ地区である。同地区の帰属は1905年にバフル・アル=ガザール州からコルドファン州に改組され、2009年7月に発表された常設仲裁裁判所の判決でも確認されている」とある。南北スーダンは石油資源が豊富で両地域の境界線地帯にあるアビエイ地区をめぐって紛争を続けている。

これに関して、ウマル・アル=バシール大統領は昨日[27日]、アビエイ地区に隣接するムジャッラド市で大衆に向けて演説を行い、「再三再四繰り返すが、アビエイ地域は北部に帰属しており、これからもそうであり続ける」と述べた。

バシール大統領はスーダン人民解放運動(SPLM)に対し、「SPLMは戦争を望むのであれば、2度敗北することになるだろう」と警告し、南コルドファン州知事選挙に遅れが出ていることに対しては、「我々は彼らが望むのであれば、彼らと共に山に登り、激しい戦争を始ろう」と述べた。バシール大統領は、アビエイ地区をめぐって南部のディンカ族ンゴック氏族と紛争状態にあるミッセリア族の拠点であるムジャッラド市から演説を行った。大統領の訪問は、南コルドファン州知事選挙でSPLMのアブドゥルアズィーズ・アル=フルウ候補に対抗し、現職のアフマド・ハールーン知事の選挙活動に参加することが目的であった。知事選は同州の人口調査に関してNCPとSPLMとの間で意見の食い違いが生じたのが原因で昨年4月以来延期されている。

(後略)

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(翻訳者:桑原奈緒子)
(記事ID:22298)

この時点でアビエイの帰属をめぐって争っていたわけですが、包括和平合意(CPA)違反については前も調べましたがよく分からなかったんですよね。

アビエについてはこの記事など。
南部スーダン独立か 火種くすぶる住民投票 9日開始
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110105/p3