シリアの正統な代表の決め方ってこれでいいの?

国民連合をシリアの正統な代表と認める組織や国が次々と出ています。

こんな感じで発足した組織です。

シリア反体制派が結集 統一組織「国民連合」発足で合意

 【ドーハ=村山祐介】シリアの反体制派有力組織、シリア国民評議会(SNC)や地域指導者、活動家などが11日、カタールの首都ドーハで開いていた会合で、反体制派を代表する新たな統一組織「シリア国民連合」の発足で合意した。複数の参加者が記者団に明らかにした。

 対外的な支援の受け皿になるとともに、将来的に「暫定政府」を設置する。傘下に軍事組織「自由シリア軍」を置き、文民統制を実現するとしている。アサド政権打倒に向けて反体制派が結集したことで、国際的な支援に弾みがつく可能性がある。

文民統制が出来なくなったら責任を取るのでしょうか。

おそらくその場にアラブ連盟GCCもいてそのまま承認したのでしょう。

アラブ連盟、シリア反体制派の統一組織を承認

2012.11.13 Tue posted at 16:55 JST

(CNN) シリアの反体制派が結成した統一組織「シリア国民連合」を、アラブ連盟が正式に承認した。12日付の国営カタール通信が伝えた。

同通信がハマド・カタール首相の話として伝えたところによると、構成国のうちアルジェリアイラクは、国民連合を承認する決議案の一部条項について採決を棄権した。

サウジアラビアなどペルシャ湾6カ国で構成する湾岸協力会議(GCC)も同日、シリアを代表する組織として国民連合を承認していた。GCCとアラブ連盟は立場が異なるとも報じられたがハマド首相はこれを強く否定。「アラブ連盟との違いは、アルジェリアイラクが全面的に支持しなかった点だけだ」と述べた。

シリア反体制派は11日、カタールの首都ドーハで会合を開き、国民連合の結成で合意。イスラムスンニ派の聖職者、モアズ・ハティブ師を議長に選出していた。同師は首都ダマスカスにあるモスクの元指導者だが、昨年3月以降、政権側に少なくとも3回拘束され、今年4月に釈放された後は国外へ出ていた。副議長には著名な反体制活動家で議員経験のあるリヤド・セイフ氏女性活動家のスヘイル・アタッシ氏が選ばれている。

しかし明らかにアラブ連盟GCCには違いがあります。

シリア国民連合は「正統な代表」…アラブ連盟

 【カイロ=貞広貴志】アラブ連盟は12日、カイロで外相会議を開き、11日に発足したシリアの新しい反体制派統一組織「シリア国民連合」を「正統な代表」として承認することを決めた。

 世界各国や国際組織にも同様の承認を呼びかけた。

 会議後に発表された声明は、国民連合を「シリア国民の意思の正統な代表のひとつで、アラブ連盟の主要な交渉相手」と位置づけた
。新体制をいち早く承認することで、アサド政権後の受け皿となる暫定政府づくりを促す一方、イラクレバノンなどアサド政権と一定の関係を保つ加盟国の意向も配慮し、「唯一の正統な代表」という表現を使い、事実上の政権承認に踏み込むのは見送った。

 これに先立ち、アラブ連盟加盟国のうち6か国で構成する湾岸協力会議(GCC)は、国民連合を「国民の正統な代表」と、より直接的な表現で承認する方針を決めており、アラブ諸国内に国民連合への対応で相違があることを浮き彫りにした。

他の組織や国というとEU、英仏が出ていますが、こんな感じです。

<シリア情勢>新組織「国民連合」 承認巡り各国に温度差

 【カイロ前田英司】シリア反体制派の新たな統一組織「シリア国民連合」のハティブ議長(52)は13日、毎日新聞の電話インタビューに応じ、シリア情勢の打開のため国民連合をアサド政権に代わる「シリア唯一の正統な代表」として承認するよう求めた。フランスが承認を決める一方、カイロ市内で開かれたアラブ連盟欧州連合(EU)の合同閣僚会合は承認を打ち出せず、国民連合の発足を歓迎するにとどまり、国際社会の反応は割れている。

 国際社会がシリア反体制派への支援強化を探る中、反体制各派は11日、受け皿となる国民連合を発足させた。しかし、反体制派の結束の実態を見極める支援国側との温度差が生じている形だ。

 ハティブ議長は取材に対し「国際社会の政治的、経済的な支援が必要と強調。国民連合の一機関として近く「軍事評議会」を設置し、離反兵士団体「自由シリア軍」などシリア国内で政府軍と戦う反体制武装勢力を取りまとめると説明した。議長は「武装勢力の統制で混乱は解消される」と訴え、米欧などが警戒する反体制武装勢力の過激化や暴走の懸念を打ち消した

 ロイター通信などによると、オランド仏大統領は13日の記者会見で国民連合を「シリア唯一の正統な代表」に承認したと発表した。湾岸協力会議(GCC)に次ぐ承認で、欧州では初。大統領は国民連合が「アサド後」に向けた暫定政府を設置した段階で、反体制武装勢力への武器支援を検討するとも述べた。

 一方、アラブ連盟はシリアとつながりが深いレバノンイラクなどの支持を得られず国民連合を「唯一」の正統な代表と承認できなかった

 また、13日の合同閣僚会合に出席したヘイグ英外相は、国民連合に対し、シリア国内でさらなる支持獲得を求め、「それができれば(英国は)正統な代表として承認する」との見解を示した。

政治的、経済的な支援が必要との事ですが、軍事的支援はどうなんでしょうね。

イギリスの言っていることは間違っていないと思うのですが、英国はその後一週間でシリア国民連合を認めていますから、なにかのポーズだけの意味だったのかもしれません。

英国もシリア国民連合を承認、シリア各地では戦闘続く


シリアのMaarat al-Numanで政府軍の戦闘機を警戒して銃機関銃を構える反体制派の戦闘員(2012年11月17日撮影)。

【AFP=時事】英国は20日、シリア反体制派の統一組織「シリア国民連合(National Coalition of Forces of the Syrian Revolution)」を、シリア国民を代表する唯一の組織として承認した。

シリア軍の陣地を狙う反体制派の戦闘員ら

 ウィリアム・ヘイグ(William Hague)英外相は、シリア国民連合の指導者らとロンドン(London)で会談してシリア国民連合がシリア国内で支持されており、人権も尊重するとの確信を持ったことから承認を決めたと議会で発言した。

 ヘイグ外相は、英国に駐在する代表者を任命するようシリア国民連合に要請し、英国としてシリア国民連合への支援を拡大することも発表した。

 フランスは先週、西側主要国として初めてシリア国民連合を承認した。欧州連合EU)は19日、シリア国民連合を「シリア国民の希望の正当な代表と見なす」と発表した。

■シリア各地で戦闘続く

 シリア各地では戦闘が続いており、シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、トルコとの国境に近いシリア北部のラス・アルアイン(Ras al-Ain)では武装勢力クルド人民兵の武力衝突でこの24時間で29人が死亡したという。

 エジプト・カイロ(Cairo)を訪問している国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は20日、シリアでの戦闘は制御できない事態になりかねないと述べ、各国にシリア国内の人道支援と、シリアから逃れてきた人たちを保護している近隣諸国への支援を求めた。

 一方、シリアから逃れてきた12万人以上を受け入れているトルコのアフメト・ダウトオール(Ahmet Davutoglu)外相は、シリアとの国境沿いに地対空ミサイルパトリオット(Patriot)を配備するよう北大西洋条約機構NATO)に近く正式に要請すると述べた。トルコは数か月前から国境付近の防衛を強化していたが、10月にシリアからの砲弾で5人が死亡してからその動きを強めている。【翻訳編集】
AFPBB News

しかし今のシリアの状況で人権を尊重するのは並大抵のことではないと思うのですが、大丈夫なんでしょうか。

しかしアメリカの声は聞こえませんね。もとはと言えばアメリカのこの一言から始まったと思うのですが。

シリア国民評議会は「明らかなリーダーではない」 米国務長官

2012.11.01 Thu posted at 14:48 JST

(CNN) クリントン国務長官は31日、訪問先のクロアチアの首都ザグレブで記者会見し、シリアの反体制派の中核組織とされてきた「シリア国民評議会(SNC)」について、もはや反体制派の「明らかなリーダー」とは言えないと述べた。

クリントン長官はSNCのメンバーの多くが海外居住者であることを挙げ、「求められているのは今現在、(シリア国内の)前線で戦い、死に瀕している人々の代表だ」と述べた。

長官のこの発言は、来週カタールの首都ドーハで開かれるシリア問題を話し合う会合の準備の中で出た。来週の会合では、アサド大統領退陣後のシリアの政治指導部の構成について話し合われる。

クリントン長官は、「米政府は、新しい指導体制に入るべき人や組織を推挙した。我々はSNCを反体制派の明白なリーダーだと見なすことはできない」との考えを示した。

長官はSNCについて、「反体制派の一部にはなり得るが、反体制派にはシリア国内にいる人や、耳を傾けるべき正当な意見を持つ人々も含まれるべきだ」として、今後のシリアの舵取りにSNC以外の組織も参加すべきだとの考えを示した。

SNCは昨年、発足したが、シリア国内の反政府勢力からはほとんど信頼を得られていない。停戦に向けて米国を始めとする各国政府と交渉を行う立場と見なされた時期もあったが、オバマ米政権はSNCの内紛などで足並みがそろわない点に不満を抱いていた。

またクリントン長官は、内戦に便乗してシリア国内で勢力を拡大しようとしているイスラム系過激派について、反体制派の対応が不十分だとの懸念を繰り返した。

「私たちが必要としているのは、シリア革命を乗っ取ろうとする過激派に強硬に抵抗した経歴を持つ反体制派だ」と長官は述べた。

と、よく読んでみるとアメリカが推挙した人間や組織を、他の組織や国が承認するかしないかの話し合いだったみたいですね。

他にシリアの正統な代表を決める方法があるとすれば選挙くらいかと思うのですが、まぁ自分はあの選挙には否定的な見方だったのですが、だからと言ってこれで正統と言っていいのでしょうか。

選挙の3か月前にまずバアス党一党独裁の根拠になっていた憲法が改正されました。

新憲法問う国民投票=アサド大統領、延命狙う―事態収拾は困難・シリア

時事通信 2月26日(日)18時50分配信

 【カイロ時事】反体制デモ弾圧で揺れるシリアで26日、支配政党バース党の事実上の一党独裁の根拠となってきた条項を削除した新憲法案の是非を問い、国民投票が行われた。ただ、25日も弾圧で約100人が死亡。26日も攻撃は続き、民主化へ歩み寄る姿勢を示して権力の座を維持しようとするアサド大統領の試みが事態沈静化につながる可能性は低い。

 憲法案はバース党を「国家を指導する政党」と規定した8条を修正し、「国家の政治システムは政治的多様性の原則に基づく」と規定する。さらに大統領任期を2期14年までに制限した。

 ただ、これにより2014年に任期が切れるアサド大統領は28年までは権力を維持できる。さらに、大統領には組閣権や法案拒否権もある野党勢力は「うわべだけの改革だ」と批判している。

 投票は1万4000カ所以上の投票所で実施され、26日夜(日本時間27日未明)に締め切られる。だが、中西部ホムスでは26日も政府軍の攻撃が続いている。北東部デリゾールや中部ハマ、北西部イドリブなどでも爆発があったと伝えられた。

まぁ反政府側はボイコットで、選挙結果を受け入れるとも言ってないので、仕方ないでしょう。

シリア、新憲法の国民投票 反対派拒絶、砲撃やまず
 【カイロ=大内清】バッシャール・アサド政権と反体制派の戦闘が続くシリアで26日、複数政党制などに道を開く新憲法制定の是非を問う国民投票が行われた。政権側には、国民に向けて改革前進をアピールする狙いがある。これに対し、反体制派代表組織「シリア国民評議会」などは「茶番劇だ」として投票ボイコットを呼びかけたほか、投票当日も砲撃などで多数の犠牲者が出ており、事態収拾の見通しは立っていない。

 政権側が3週間以上にわたり包囲している西部ホムスや北部イドリブなどではこの日も、反体制派の拠点地区を狙った砲撃が続いた。24日の有志国による「シリアの友人」会合が攻撃の即時停止を要求したのを無視している格好で、ロイター通信によると、人権団体は26日、ホムスなど各地で住民ら計31人が死亡したことを明らかにした。

 一方、反体制派によると、首都ダマスカスでは同日、厳重な警備態勢が敷かれ、住民が当局者から投票を強制されているという。

 新憲法草案では、支配政党バース党を「国家を指導する政党」としてきた従来の規定が撤廃され、形式上は他の政党と同列に位置づけられることになる。政権側は、新憲法制定が承認されれば、3カ月以内に、複数政党制のもとで議会選を実施するとしている。

 ただ、草案では、大統領はこれまで通り、非常事態法を発令することなどが可能で、大統領に権限が集中する従来の統治構造に大きな変化はないとみられる。

 また、新憲法では大統領の任期は2期14年に制限するとしているものの、同規定は過去にさかのぼっては適用されず、現在2期目で2014年に任期が切れるアサド大統領は、最長で2028年まで大統領にとどまることが可能になる。

 アサド政権は昨年4月、反政府デモの高まりを受け、治安機関による令状なしの逮捕や拷問を可能にしてきた非常事態法を約48年ぶりに撤廃、今年1月には、デモ参加者の罪を問わないとする「恩赦令」を発表したが、その間もデモ弾圧を継続している。

で、3か月後に選挙が行われたわけですが、批判されています。

シリア議会選は正当性欠く…国連総長が批判
 【ニューヨーク=柳沢亨之】国連の潘基文(パンギムン)事務総長は7日、シリアで同日行われた議会選について、「包括的な政治対話こそが真の民主主義をもたらす。今回の選挙はそのような枠組みで行われていない」などと批判する声明を発表した。

 同国のアサド政権が反体制派の弾圧を続ける中で行った選挙には正当性が欠けているとの見方を示し、軍事攻撃の全面停止を改めて呼びかけたものだ。

反体制派はボイコットですね。

シリアで複数政党制の議会選、反体制派はボイコット


5月7日、政府軍と反体制派の衝突が続くシリアで、複数政党制による議会選挙が実施された。写真は首都ダマスカスの投票所で撮影(2012年 ロイター/Khaled al- Hariri)

[ダマスカス 7日 ロイター] 政府軍と反体制派の衝突が続くシリアで7日、複数政党制による議会選挙が実施された。今回の選挙はアサド大統領が改革の中心と位置付けており、政権側は投票率は高い水準だとしているが、反体制派はボイコットを表明している。

選挙管理委員会は、投票がシリア全土で「正常かつ平穏に」行われていると発表。また、国営通信SANAは、投票率は高いと伝えているが、外国人記者らの情報によると、首都ダマスカスの投票所は人がまばらだという。

一方、英国に拠点を置くシリア人権監視団によると、7日も北部ハマや首都周辺で反体制派と政府軍が激しい衝突を繰り返した。また、東部では同派計6人が殺害されたという。

また、国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は米ワシントンで、衝突がなお続いている状況について「完全に受け入れられず、容認できない」と非難した。

まぁこの選挙も選挙しましたというポーズのためか、争いを止めようとするためのものかといえば前者とは思うんですけどね。

ただ、平和的解決はあり得ないという事でしょうがないのでしょうね。ブラヒミ氏の停戦が崩壊した時点でしょうがないのでしょうか。