中国:「ウイグル人も弾圧」 亡命組織、拷問を批判+産経にも記事あったので。
http://mainichi.jp/select/world/news/20080502ddm007030115000c.html
亡命ウイグル人で組織する「世界ウイグル会議」(本部・独ミュンヘン)のドルクン・エイサ事務局長(40)が1日、東京都内で毎日新聞と会見した。
チベット暴動後、世界的にチベット族への注目が集まる中、「中国当局がウイグル人への弾圧も強化している実態を知ってほしい。イスラム教徒のウイグル人には『テロリスト』のレッテルを張りやすく、弾圧の口実にしている」と訴えた。
弾圧の例として拷問の日常化を挙げ、「つめをはがされたウイグル人が(亡命先の)ドイツに何人もいる。一日中顔に光を当て、睡眠を取らせず自白させる手口も横行している」と話した。
今後、チベットの団体とも連携し、欧米などでデモを続けるという。
一方で、北京五輪の各国の聖火リレーに中国の旗を振って参加する若者について「本音では彼らも民主化を望んでいる。だが家族を本国に残しており、何らかの圧力で仕方なくデモに動員させられるケースが多い」と一定の理解を示した。【篠田航一】
毎日新聞 2008年5月2日 東京朝刊
産経新聞の方が、もっと詳しい気がします。
■世界ウイグル会議事務局長に聞く 人権の改善、日中議題に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080502-00000056-san-int
中国でのチベット騒乱が注目を集める中、亡命ウイグル人らの国際組織、世界ウイグル会議の事務局長、ドルクン・エイサ氏(40)が来日を機に産経新聞のインタビューに応じ、中国当局によるウイグル人弾圧の実態を詳細に語り、「北京で五輪を開催させるべきではない」と訴えた。
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私の故郷は新疆ウイグル自治区と呼ばれていますが、私たちは「東トルキスタン」と呼びます。中国は建国後60年間にわたり、この土地を侵略し、略奪の限りを尽くしてきたことをぜひ理解してほしい。裕福な人は「反革命分子」として土地を奪われ、中国に反発する人は「分裂独立主義者」として投獄され、虐殺されてきたのです。
私は88年、学生運動を指導して大学を除籍され、北京に移り住んだが、ウイグルの公安当局の手が伸び、94年にトルコに逃れました。以来一度も故郷の土は踏んでいません。
私たちウイグル人へのレッテルは時代によって変遷しています。2001年9月11日の米中枢同時テロ後、中国当局は私たちがイスラム教徒であることを理由に「テロリスト」のレッテルを張って迫害するようになりました。
でも考えてください。無防備な姿でデモをする人々と、武器を持って弾圧する人のどちらがテロリストなのか。ウイグル人はチベット人と同様に中国の国家的テロに遭っているのです。
これまで中国当局による迫害を受け、処刑されたウイグル人はわれわれが得た情報では60万人に上ります。最近でもっとも凄惨(せいさん)な事件は97年2月のグルジャ市の大虐殺でしょう。ラマダン(断食月)前夜祭で知人宅に集まり、食事していた女性10数人を公安当局は「不穏な集会」として連行しました。市民が彼女らの解放を求めると当局は約300人を射殺したのです。今年の追悼集会でも18人が殺されました。90年4月には西部のカシュガル市近くの村で宗教弾圧への抵抗組織の存在を知った当局が子供を含む8000人を殺害したといわれています。
弾圧や虐殺だけではありません。中国は64年から96年まで46回も自治区内で核実験を行い、多くの人々が死亡し、放射能の影響は現在でも残っています。
一方、中国政府は移民政策を進め、49年ごろ人口の2%だった漢民族は現在5割を超えました。「一人っ子政策」によりウイグル人は初産から5年たてば2人目を産むことが認められていますが、もし5年以内に妊娠すれば妊娠9カ月であっても堕胎させられます。それが原因で母子が死亡した例も少なくありません。
文化的迫害もひどい。03年から大学でのウイグル語による授業を禁じ、05年からは幼稚園や小中学校でも禁じられた。ウイグル独特の建造物は壊され、中国的な毒々しい建築物が次々に建てられています。中国はウイグル人を根絶やしにしようとしているのです。
このような国で五輪を開催してはなりません。五輪開催決定後、中国は明らかに迫害を強めました。このままではウイグル人は絶滅し、シルクロード文化は博物館でしか知ることができなくなるでしょう。
福田康夫首相にはぜひウイグルの現状を知ってもらい、胡錦濤国家主席に人権状況の改善を求めてもらいたい。世界で最も自由と民主主義が発達した日本は、それにふさわしいメッセージを出す必要があります。
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【用語解説】新疆ウイグル自治区
中国北西部に位置し、面積約166万平方キロメートルと中国全土の約6分の1を占める中国最大の自治区。最大の都市はウルムチ。ウイグル族など40以上の民族、約1900万人が暮らす。
1944年に東トルキスタン共和国の建国が図られたが、49年に中国に統合され、55年に自治区となった。ウイグル族などからは分離・独立を求める声が根強く、北京五輪を前にデモも発生。中国による人権弾圧が問題視されている。
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【プロフィル】ドルクン・エイサ
1967年生まれ。新疆ウイグル自治区西部のアクス市出身。ウルムチ大(現新疆大)在学中に学生運動を始め、北京外語学院在学中に中国当局に追われ、96年にドイツに亡命、同年に「世界ウイグル青年会議」を設立した。04年から「世界ウイグル会議」の事務局長。ドイツ在住。
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まぁ何回か書いてますが、東トルキスタンイスラム運動 (ETIM)がアメリカからもテロ認定受けてる事で、弾圧しやすいんでしょうね。
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追記:
上の本のp153-
東トルキスタン情報センターのアブドゥジェリリ・カラカシ代表は2002年12月以下の事例を列挙して「本当のテロリストは誰か」と弾劾した。
(1)カザフにあるウイグルスタン解放組織の創始者が1998年秋、自宅で襲われ翌年春に死亡した。
(2)情報センターの中央アジア地区代表が99年5月、キルギスのマフィアに拉致され行方不明となった。
(3)カザフのアルマイトで2001年5月、ウイグル人基金会の代表が、自宅で惨殺された。
(4)キルギス・ビシケクのウイグル文化協会首席が2002年4月、暴漢に殺害された。ウイグル独立派もこうした情報発信に努めているものの、中国当局の圧倒的な宣伝戦には太刀打ちできていない。2002年夏、キルギス政府から「今年5月にETIMメンバー2人を中国に送還したが、彼らはビシケクで米大使館などの攻撃を計画していた」との通報が米当局に入った。この情報が、米政府によるETIMのテロ組織認定を最終的に決定づけたといわれる。その後中国、アメリカ、キルギス、アフガニスタンの4カ国共同提案を受け国連もETIMを「テロ組織」と認めた。国際社会から「アルカイダ一派」の烙印を押されてしまったのである。