中国…チベット族の脱出阻止 ヒマラヤ越え激減

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080801-00000100-san-int

 【ロンドン=木村正人】自由を求め中国チベット自治区を脱出し、ヒマラヤ山脈を越えてインドなどへ向かうチベット族の数が今年に入って激減している。国連難民高等弁務官事務所UNHCR、本部ジュネーブ)が産経新聞の取材に明らかにした。北京五輪の開幕に備え、3月のチベット騒乱の前から中国当局が情報の遮断を図るため、国境警備を強化していたことが浮き彫りになった。

 ヒマラヤ越えの脱出は1959年のチベット動乱でインドに逃れたダライ・ラマの跡を追うように始まった。中国当局の弾圧に耐えかね、女性や子供、赤ん坊を含め、チベット族が亡命政府のあるインド北部のダラムサラを目指して7000〜8000メートル級の山脈を越えてくる。90年代前半には年5000人に達し、脱出者はこれまでに計13万人にのぼるとみられる。

 ネパールのUNHCR施設にたどり着く前に発見されたチベット族はその場で射殺されたり、中国に強制送還されたりしてきた。UNHCRによると、昨年の難民認定数は2400〜2500人。月平均で約200人。しかし、今年に入って中国やネパール当局による警備が強化されて国境越えが難しくなり、2月の認定数は64人、3月は62人にとどまった

 95年にドキュメンタリー映画チベットからの脱出』を制作した英国人監督ニック・グレイ氏によると、脱出ルートはインド、ネパール、ブータンの国境を越える数コースがある。チベットの人々は地図も持たず、特別な装備も身につけず徹夜で歩き続ける。雪を食べ、火をおこしお茶を作って飲む。行程約2600キロ。早ければ2週間。1カ月かかることもある。

 「警備が手薄になる冬に脱出を図るケースが多く、登山家によりヒマラヤで行き倒れた大量の死体が目撃されている」とグレイ氏。

 2006年には、世界最高峰チョモランマ(英語名エベレスト)に近い氷河でチベット族の尼僧ら約30人に中国の国境警備隊が発砲する様子をルーマニアの登山家が撮影した。映像が大手動画投稿サイトに流れ、世界中を驚かせた。

 1歳のときに母親に背負われてヒマラヤを越えた、チベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世欧州代表部(ロンドン)のセリング・タシ氏(45)は「極限の困難にかかわらず脱出者が後を絶たないのは中国が激しい弾圧を加えている証拠だ。しかし、その道も閉ざされつつある」と話した

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何とかなればいいんですが。どうにもなんないっすね。