タリバンと対テロ戦と中東イスラム諸国。

タリバンを取り囲む状況が、変化するかどうか微妙なところに来ていると思います。

とりあえず、アフガニスタン、イラン、パキスタンそして米国の事を言っています。

これまでを振り返ると2008/10からですが、
アフガンはアフガン軍を増強して、タリバンとは交渉する方向のようですね。
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20081008/1223479464
ではタリバンには勝てないと英軍司令官が

我々の戦いは、アフガン軍が対応できるレベルまで(タリバン勢力を)弱めるのが目的

と言う話と、米国の

アフガニスタンに戦闘部隊を派遣していない北大西洋条約機構NATO)加盟国や日本に対し、米国がアフガン軍の増強目的に約170億ドル(約1兆7300億円)の拠出を求めていることが分かった。

という話を書きました。

また、この時はパキスタンについては複雑としか書きませんでしたが、アフガンは

■<アフガン政府>タリバンと和解交渉 ハリリ副大統領会見
(http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20081008/1223479464 からたどってください)

敵対する旧支配勢力タリバンの最高指導者オマル師に対し、アフガン政府が手紙などを通じた和解交渉を開始したと語った。オマル師側には武装解除や同国憲法を認めることなどを求めており

外国人武装勢力については「交渉しない」方針を示した。自国民のタリバンと、外国人主体のアルカイダを明確に分けて対応するもの

と言う事でした。

その後
<米中東軍新司令官>アフガン政府とタリバンの和解交渉支持+パキスタンまとめ
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20081011/1223745846
で、

米中東軍司令官に10月末に就任するペトレアス前イラク駐留米軍司令官は8日、ワシントン市内で講演し、アフガニスタン政府とイスラム原理主義勢力タリバンとの和解交渉について、「アフガン政府との和解を望む者たちがいるのであれば、交渉は前向きのステップとなるだろう」と述べ

との事でした。

パキスタンに関しては
アフガン、印大使館で自爆テロ。インド、パキスタンの動きは。
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080708/1215527375
等にリンクを張りましたが、

 パキスタンはインドの侵攻を防ぐため、後背地のアフガンに親パキスタン政権を作ることを戦略目標としてきた。このため01年の米同時多発テロまではタリバン政権を支援し、ISIはタリバン発足にも関与したとされている。

 一方のインドは、パキスタンを挟み撃ちにしておくため、タリバン政権と対立した軍閥集団「北部同盟」を支援。北部同盟が中心となったカルザイ政権を支援している。アフガン政府の今回のパキスタン非難には、こうした確執を踏まえ、パキスタン側に責任を押し付けようという思惑も透けて見える。

や、

もともとパキスタン軍統合情報部(ISI)はアフガンでの影響力を確保するため、自らタリバンを育ててきた。「下士官クラスにはタリバンを今も支持する勢力が存在している。

という文を紹介しました。

パキスタンにだけでなくアフガニスタンにもタリバン支持者がいて、政治登用も行われているという事を書いたエントリも紹介しました。

しかし、その後
アフガン大規模交戦 タリバン100人死亡
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20081015/1224080127
という事態が起こります。この文を読む限りNATOから仕掛けたとしか思えないと書きました。

その後取り上げませんでしたが、イランとタリバンで、
<イラン>タリバンと対話、失敗避けられぬ…外相が米欧警告
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081020-00000130-mai-int

 【テヘラン春日孝之】アフガニスタン情勢を巡り、イランのモッタキ外相は19日の記者会見で、米欧が治安改善に向け、旧支配勢力タリバンとの直接対話に前向きなことに対し「失敗は避けられない」と警告した。

 外相は「(へびの)一つの穴で二度(指を)かまれないよう気を付けるべきだ」とペルシャのことわざを引用。「アフガンでの外国部隊の戦略的失敗は世界中が知っている。新たな試みが失敗しないよう忠告する」と強調した。

 イランはタリバンと敵対し、98年には当時、政権の座にあったタリバンとの全面戦争の危機に直面した。01年の同時多発テロ後はタリバン政権打倒に向け、米英軍の軍事攻撃を支援し、カルザイ政権誕生に大きな役割を果たした。

 こうしたことから、米欧がタリバンに軟化し、穏健派であれタリバンが政権に参画するような事態になれば「安全保障上の脅威が復活する」と懸念しているのだ。

 米国は再三、アフガン情勢の悪化について「イランがタリバンに武器を支援しているからだ」と主張。イランは「イラクの治安問題と同様に、我々に責任を押しつけるものだ」と反発してきた経緯もあり、イランが「タリバンとの直接対話」に警告したのは米国の戦略転換への心情的な嫌悪感もありそうだ。

 最近のタリバンは麻薬ビジネスで軍資金を得ているとされ、麻薬流出経路になっているイラン東部の国境地帯ではイラン治安部隊が麻薬マフィアとの「戦争」を続けている。

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確かに
2007/08にはアメリカは、
イランがタリバン支援 次期米統参議長、懸念を表明
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070801/1185966602
と言っていたんですけどね。イランの真意は図りかねますが、今後はタリバン関係でもウォッチしておいた方がいいのかもと。

ともかくアフガニスタンタリバンが交渉に入った事はサウジアラビアも認める事実のようです。
<サウジ外相>アフガンとタリバンの和解仲介を確認
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081022-00000115-mai-int

 【カイロ支局】サウジアラビアのサウド外相は21日、アフガニスタン政府とイスラム原理主義勢力タリバンの和解交渉を仲介していることを初めて公式に確認した。

 サウド外相は、サウジ訪問中のソラナ欧州連合(EU)共通外交・安全保障上級代表との共同記者会見で仲介の事実を確認。「カルザイ(アフガン)大統領の依頼を受けた」と説明した。さらに、暴力放棄の条件が満たされなければ仲介は難しくなると指摘した。

 サウジ紙によると、アフガン政府とタリバン側の関係者は9月末、サウジのイスラム教聖地メッカで3日間にわたり協議したという。

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米中東軍新司令官:アフガン政府とタリバンの和解交渉支持

で、パキスタンなのですが、その後に
武装勢力の死者1500人超=部族地域の対テロ戦−パキスタン
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20081025/1224959981
というエントリを書きました。単に自分でボディーカウント的なことをやるのはしんどいんで、あまり深く考えずに取り上げたのですが、

軍は武装勢力支配下にあった主要な複数の町を制圧、優勢に立っていると強調した。作戦はさらに数カ月続く見通し

と書かれていたのですが、その後、
パキスタン>軍が対テロ戦転換 イスラム武装勢力と対話へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081026-00000010-mai-int


パキスタンアフガニスタンの国境付近の地図

 【ニューデリー栗田慎一】パキスタン軍がアフガニスタン国境付近で続けているイスラム武装勢力掃討作戦について、同軍が武力による掃討から「対話による解決」に方針転換を図っていることがわかった。これを受けてパキスタン国会も22日、対テロ戦の見直しを政府に求める決議を全会一致で採択。アフガンでもカルザイ政権が武装勢力タリバンとの和解を模索するなかで、パキスタンが対話路線にかじを切れば、米国がこの地域で進める対テロ戦戦略は大きな転換を迫られることになる。

 関係者によると今月8日、掃討作戦を指揮する軍のパシャ中将が議会上下院に対し、極秘裏に国境地域の軍事情勢説明を開始。「武力だけでは永久に勝てない」として、武装組織との対話による政治的解決が必要との結論を伝えた。

 中将は、軍が武装勢力を封じ込めることができない理由について、地元住民が武装組織を支援しているためと指摘。3カ月前からの掃討作戦で300万人の避難民が出ている部族支配地域バジョール管区を例に、「政治的対話がもはや不可欠」と強調した。

 パキスタン国会は、軍や専門家の分析などを検討し、「アフガン政府が和解しているのに、わが国が戦闘に固執する必要はない」と結論。対テロ戦見直しを求める決議を採択した。

 パキスタンは経済状況が極度に悪化。債務不履行(デフォルト)に陥る可能性があるとして、国際通貨基金IMF)に緊急融資を求めている。経済悪化の背景には、国際的なエネルギーや食糧価格の急騰のほか、対テロ戦で国内の治安が悪化し、外国からの資金が流出していることがある。

 軍や議会の判断の背景には、経済危機打開には、治安を改善して外資流出を食い止める必要があるとの判断もあるとみられる。

 一方、米軍によるアフガン側からの越境攻撃は最近になって連日のように続き、地元住民が武装勢力支援に転じる原因になっていると指摘されている。パキスタン側は今後、治安改善を図るためにもさらに米国に、越境攻撃を止めるよう求めていくとみられる。

 地元メディアによると、パキスタン国内では対テロ戦見直しを支持する世論が圧倒的。選挙で選ばれたザルダリ人民党政権は、世論を無視できないとみられる。

 【ことば】パキスタンの対話路線

 ムシャラフ前政権は米国の圧力を受け02年から、アフガン国境沿いの部族支配地域で武装勢力掃討作戦を開始。今年3月発足し
たギラニ内閣は国内世論を受けて和平を試みたが、武装組織側が勢力を拡大。米国が掃討圧力を強め、政府は6月末に掃討作戦を再
開した。

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パキスタンと国会で出来る限り調べてみたのですが、
ミサイルで死者20人、米軍の越境攻撃か パキスタン
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081027-00000007-cnn-int

イスラマバード(CNN) パキスタン軍の情報筋によると、アフガニスタン国境に近い同国北西部の部族地域、南ワジリスタン地区の村で26日夜、ミサイル2発が建物に撃ち込まれ、20人の死者が出た。同情報筋は匿名を条件に、米軍の無人偵察機による攻撃との見方を示した

ホワイトハウスのジョンドロー国家安全保障会議NSC)報道官と米中央情報局(CIA)の報道官はいずれも、この報道には「ノーコメント」としている。

パキスタン北西部は国際テロ組織アルカイダ系の武装勢力や、イスラム強硬派勢力タリバーンの残党の活動拠点になっているとされ、米軍はアフガン側からの越境攻撃を強化してきた。ただ、米当局はそれぞれの作戦についてコメントしない方針を貫いている。一方、パキスタン側は米軍の越境攻撃に強い不快感を示しており、国会では先週、外国軍による「主権侵害」を非難する決議が採択されたばかり

パキスタン軍情報筋は、26日の攻撃による死者に親タリバーンのハジ・オマル司令官が含まれていたとの見方を示している。一方、武装勢力の動向を追跡しているイスラマバードシンクタンクパキスタン平和研究所はこの人物について、「南ワジリスタンの武装勢力を率いるメフスード司令官の下で、タリバーン側の報道担当者などを務めていたにすぎない」と述べている。

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しか出てきませんでした。これ大事な事じゃないの??どんな決議が採択されたのか知りたいところです。
ともかくCNNの記事の26日夜の件は毎日新聞も取り上げていて本当にあったようです。
パキスタン>米無人機?攻撃 住民ら9人死亡
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081027-00000122-mai-int

 【ニューデリー栗田慎一】パキスタン部族支配地域の南ワジリスタン管区で26日夜、米軍の無人機によるとみられるミサイル攻撃があり、現地筋によると、武装勢力メンバーや住民ら9人の死亡が確認された。AFP通信は、アフガニスタン武装勢力タリバンの司令官ら少なくとも15人が死亡したと報じた

 ミサイルが着弾したのは、パキスタン部族地域の武装勢力を束ねるベイトラ・メスード最高司令官の実弟(32)の葬儀会場。現地筋は「司令官は生きている」としている。実弟はビジネスマンで、自宅のある北西辺境州バヌーで何者かに拉致され、26日夕に射殺体で見つかった。

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しかし、この報道の順番はどうなんでしょう。パキスタンの国会の決議をリアルタイムで報道して、このアメリカの攻撃は非難すべきだと思いますが。アメリカお構いなしですね。

ただ、上の方でも書きましたが、アフガンは

外国人武装勢力については「交渉しない」方針を示した。自国民のタリバンと、外国人主体のアルカイダを明確に分けて対応するもの

とありました。アルカイダに関してですが、パキスタンは、AFP通信によると

パキスタンでミサイル攻撃、21人が死亡 米軍の無人航空機か
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2515049/3307228
* 2008年09月09日 03:15 発信地:ミランシャー/パキスタン

【9月9日 AFP】(一部更新)アフガニスタンとの国境に近いパキスタン・北ワジリスタン(North Waziristan)で8日、米軍のものとみられる複数の無人航空機がミサイル攻撃を行い、女性や子どもを含む少なくとも21人が死亡した。地元当局者がAFPに明らかにした。

 無人航空機から発射された数発のミサイルは、同地のマドラサイスラム神学校)近くの住宅に命中したという。同地でのこうしたミサイル攻撃は、この1週間で4度目となる。

 当局者らによると、死者は21人で、うち7人が民間人、14人が戦闘員だという。現在、ほかにも被害者がいないか捜索が行われている。また、別の当局者はAFPに対し、死者には女性3人、子ども2人、男性2人が含まれており、そのほか25人以上が負傷したと語った。

 死亡した戦闘員のうち、9人がアラブ系の「外国人」だったという。パキスタン当局が「外国人」という場合は、国際テロ組織アルカイダ(Al Qaeda)の戦闘員を指す

 攻撃は、住宅およびイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)の最高指導者、ムハマド・オマル(Mohammad Omar)師の側近と言われるJalaluddin Haqqani元司令官が創設したとされる現場近くのマドラサを狙ったものとみられる。(c)AFP

という事です。これ読んだときはこういう決めつけってどうなのと思いましたけど、アフガンでもパキスタンでも、アルカイダは外国人勢力として敵視されているようですね。

また米国はシリアへの越境攻撃を
10/26、に行ったと言われて攻撃を否定していましたが、今日になって、
米軍、アルカイダ活動家殺害=シリア越境攻撃−CNN
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20081028/1225198554
とCNNの米軍関係者からの情報を元に報じられてますね。

タリバンアルカイダは混ざってネオ・タリバンとか、言われていましたが↓
苦境のムシャラフ大統領 パキスタン
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070405/1175777192
明確に分けて、タリバンには飴(といっても鞭もあるようですが)、アルカイダには本当に鞭で、行くんでしょうか。とりあえずここまででうp