インド同時テロ犯人像は?

<インド同時テロ>犯人像、当局の発表謎多く
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081205-00000014-mai-int

 インド・ムンバイで起きた同時多発テロは、インド政府が「パキスタンの関与」を強く指摘し、両国間の緊張が高まっている。だが、インド側が「パキスタン中部出身」とした実行グループの唯一の生存者について、パキスタン側は「該当者はいない」とするなど事実関係には未解明の点が多い。なお残る事件の謎を追った。【ムンバイ(インド西部)矢野純一、バンコク栗田慎一】

 武装グループのうち現時点で生存が確認されているのは、駅を襲撃し拘束された若い男1人のみ。インド当局はこの男を、パキスタン中部パンジャブ州「ファリドコット」出身の21歳と特定。本人の供述から、イスラム過激派ラシュカレタイバのメンバーで、事件前にパキスタン国内の訓練施設で訓練を受けたなどとしている。

 これに対しパキスタンでは軍情報機関や警察、メディアがそれぞれ同州に三つあるファリドコット村で調査、取材したが、該当者は見つかっていない

 男は南部カラチの港から船でインド・グジャラート州に立ち寄り、漁船を強奪したと供述しているとされる。しかし、カラチで船に乗り込む不審者や、不明になっている船に関する情報もない

 テロ組織の訓練を受け死を覚悟して犯行に臨んだ男が、素性や犯行の詳細を簡単に供述するのかという、単純な疑問も残る

 インド治安当局は武装グループの人数を10人とし、オベロイ、トライデント両ホテルでは、立てこもった2人を射殺したとしている。だが、棟続きの両ホテルは客室数が計587室もあり、2人だけで占拠が可能か疑問視する見方がある。

 地元警察は毎日新聞に対し、襲撃の数日前、ホテルに不審な複数の男が宿泊したとの情報を明かした。男らは立てこもった武装グループと合流後、脱出した宿泊客に交じって逃走した可能性があるという。治安当局はこの情報について、一切コメントしていない

 また地元警察によると、身柄を拘束された男はインド国内の大学の学生証を持っていた。ボートで上陸した武装グループは「ムンバイの地元の言葉を話した」との証言もある。治安当局は「武装メンバー全員がパキスタン人」と強調するが、そう言い切るには依然、解明すべき謎は多い。

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テロ組織の訓練を受け死を覚悟して犯行に臨んだ男が、素性や犯行の詳細を簡単に供述するのかという、単純な疑問も確かにそうだと思います。もっと別の主張とかもしてるんじゃないかと思うんですけどね。

しかし、元CIA分析官や産経新聞パキスタンで決定なようで。
パキスタン系が実行犯 元CIA分析官 テロ傾向で警鐘
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081205-00000047-san-int

 【ワシントン=山本秀也オバマ次期米大統領の南アジア問題担当顧問を務めてきた中央情報局(CIA)元分析官、ブルース・リーデル・ブルッキングス研究所上級研究員は3日、インド・ムンバイの同時テロに関する分析として、世界各地のイスラム過激派に蜂起を呼びかける国際テロ組織アルカーイダが、今回の成果で「勝利への自信を深めた」との判断を示した。さらに、世界各地のテロ活動で、パキスタン系の組織や活動家が実行役を担う傾向が鮮明になったとして、警戒を呼びかけた。

 リーデル氏は、米国が旧ソ連アフガニスタン侵攻への抵抗活動をパキスタンを拠点として支援した経験を踏まえて、これまでもパキスタン情勢の流動化を強く警告してきた。パキスタン領内への越境攻撃もあり得るとしたオバマ氏の対テロ戦略は、同氏の提言だとされている

 同研究所での講演で、リーデル氏は、今回の同時テロが、
(1)米国を間接的な標的とした
(2)海から武装活動家を侵攻させた−など、テロの目的や戦術が「きわめて特異だ」と指摘。「9・11(2001年の米中枢同時テロ)以来、最大のテロとなった」と語った。

 テロの実行犯については、アルカーイダとの関係が指摘されるパキスタンイスラム過激派「ラシュカレトイバ」との見方を支持ロンドンでのテロなどにもパキスタン系移民が関与したことを挙げ、同国出身の活動家が旧宗主国である英国の旅券を取得すれば各国への移動が容易になるほか、国外での犯行後に複雑な部族社会を抱えるパキスタンに潜伏できる、などと指摘した。

 アルカーイダが世界各地でのテロ攻撃を呼びかける狙いとしては、直接的な被害のほか、対テロ戦争の戦費や警備費の負担を加えた「経済的ダメージ」で、米国や同盟勢力を疲弊させることを挙げた。

【ムンバイ同時テロ】アルカーイダ系過激派3人拘束 人質救出作戦続く
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20081129/1227922922
というのもありましたが、簡単に結びつけちゃっていいのかなという気がします。

CNNは、
パキスタン軍情報機関の関与の証拠握ると、ムンバイ同時テロ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081205-00000013-cnn-int

(CNN) インド西部ムンバイで11月26日起きた同時多発テロで、ヒンドゥスタン・タイムズ(電子版)など地元紙は5日、事件にパキスタンの軍情報機関、統合情報局(ISI)が加担した証拠をインド当局が握っていると報じた。消息筋の情報を引用している。

テロ実行犯10人を訓練したISI工作員の名前を把握していると共に、パキスタンに拠点があるイスラム過激派「ラシュカレトイバ」が使用しているインターネットのアドレスの詳細も入手しているという。訓練場所も突き止めたとしている。

ISIは以前、インドをかく乱するためラシュカレトイバを使用したとの指摘もある。ムンバイで2006年7月に起きた列車爆破テロは、ラシュカレトイバが首謀したとインド側は主張している。

今回のテロでインド政府はパキスタンの勢力が事件に関与していると主張、パキスタン政府は否定的な姿勢を示している。

ヒンドゥスタン・タイムズによると、米軍制服組トップのマレン統合参謀本部議長パキスタンで3日、同国首脳と会談した際、ラシュカレトイバの指導者を逮捕し、組織の活動を終わらせる必要性を指摘した。今回のテロについて消息筋は、米国はインドより詳細な情報を握っているとも述べたとしている。

また、ムンバイのテロは、パキスタン軍部による同国文民政府への「独立宣言」にも等しいともしている。

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以前
タリバンと対テロ戦と中東イスラム諸国。
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20081028/1225198821
とか書きましたが、
■<パキスタン>軍が対テロ戦転換 イスラム武装勢力と対話へ
という記事がありました。なぜ対話へ行こうとしたとたんこの事件という気がします。
<インド同時テロ>印パ間緊張激化狙う? 政治的思惑も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081206-00000077-mai-int

 インド西部ムンバイで起きた同時多発テロ事件は6日で発生から10日が過ぎた。事件の事実関係の解明よりも先に、インド、パキスタン両国の非難合戦がエスカレートし、04年からの両国間の和平対話は崩壊寸前だ。事件とその後の展開からは、外国人を巻き込んで世界に衝撃を与えると同時に、印パ対話を停滞させ両国間の緊張を激化させる、犯行グループの背後にある政治的な思惑が垣間見える。【バンコク栗田慎一】

 事件後、インドのメディアは政府や情報機関関係者の発言を引用し、「背後にパキスタンがいる」(英字紙ヒンドゥー)と報じ続ける。犯行グループはパキスタンカシミールイスラム過激派組織「ラシュカレ・タイバ」メンバーとし、5日には各紙が一斉に「パキスタン軍情報機関(ISI)が同組織を動かした」と踏み込んだ。

 これに対し、パキスタン各紙はこぞって反論。パキスタンへの非難は、インド情報機関(RAW)が事件を防げなかった無能力ぶりを隠ぺいするため」(英字紙ドーン)などと応酬する。民間テレビ「ジオ」は、ISI元長官の「アフガンの対テロ戦にインド軍を参加させるため、米国が事件を起こした」とする謀略説まで放送した。

 ラシュカレ・タイバは90年代、ISIの後押しで設立され、インド側カシミールでテロを行ってきた。だが01年の米国同時多発テロ事件や、同年12月のインド国会襲撃事件後、当時のムシャラフ大統領は「テロリストに領土を使用させない」と約束。ISIもラシュカレなど過激派への組織的な支援は打ち切った

 ISI内部にはいまもタリバンなどイスラム原理主義組織に近い人物が残るとみられ、個人的に事件に関与した可能性は完全には否定できない。だが、インドが「ISIの関与」を指摘した過去のテロ事件でも、その組織的関与が完全に立証されたことはなく、今回もISIが組織として事件を起こしたとは考えにくいのが現実だ。

 インド国内では事件の衝撃から、ISI元長官が指摘した通り、イスラム武装組織を掃討する米国主導の対テロ戦に参加すべきだとの声が出始めている。だが、パキスタンは対印戦略上、アフガンを自国の「後背地」と位置付ける。そのアフガンでの対テロ戦にインドが関与を強めれば、パキスタンは猛反発し、印パ対話とともに米国の対テロ戦の枠組み自体が崩壊する。

 同時テロを計画、実行した組織は、事件後のインド国内の反応を予想したはずだ。印パ両国は、テロ組織の思惑に乗らないためにも、相手国への非難よりもまず、事実関係を完全に解明する冷静な対応が求められる。

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まぁ今のところ、はっきりとした事は分からないようですね。