パキスタン記者がスワトで殺される

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090219-00000582-san-int

 パキスタンの北西辺境州にあるスワト地区で18日、地元テレビ記者の遺体が見つかった。記者はイスラム過激派指導者が主催した平和行進の取材後、何者かに殺害されたとみられる。このイスラム過激派は、裁判制度にイスラム法を復活させることなどで地元州政府と合意している。ロイター通信によると、スワト地区のイスラム原理主義勢力タリバンのスポークスマンは「和平努力を妨害しようとする勢力の犯行だ」として、関与を否定した。(ニューデリー 田北真樹子)

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スワトというと
パキスタン 武装勢力と和平協定 イスラム法導入容認
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090217/1234872012
で、和平を結んで平和になったのかと思いましたが、

パキスタン州政府、武装勢力と合意 アフガン国境 イスラム法復活容認
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090217-00000105-san-int


(写真:産経新聞

 【ニューデリー=田北真樹子】アフガニスタンとの国境に近いパキスタンの北西辺境州は16日、同州内のマラカンド地域で裁判制度にイスラム法シャリーア)を復活させることなどで、イスラム原理主義勢力タリバンに近い地元イスラム武装勢力と合意した。武装勢力に譲歩する一方、武力の放棄を求め治安回復につなげることを狙ったものだ。だが、武装勢力の言い分をのむことは、この地域の“明け渡し”にも近く、テロリストの温床である北西辺境州の新たな動きに、テロ掃討を強化する方針のオバマ米政権が反発するのは必至だ。

 ・写真:武装勢力に爆破された学校の敷地内に立つ地元住民

 ■地域“明け渡し”

 地元からの報道によると、同州のホチ首相は同日の記者会見で「(合意は)圧力によるものではない」として、武装勢力に屈したものとの見方を否定した。

 国の法律に代わりイスラム法が適用されるのは、タリバンが8割以上を掌握したとされるスワト地区を含むマラカンド地域。同地域は1969年にパキスタンに併合されるまで、イスラム法下にあり、従来、イスラム法の復活を求める住民も少なくないという。適用されるイスラム法の詳細は不明だが、州政府のフサイン情報相は同日、「司法における反イスラム的な法律は取り消しになるか、無効と見なされることになる」と語った。

 合意に先立つ15日、タリバンはこの地域での10日間の停戦を発表し、別の武装勢力も拘束していた中国人技師を解放した。

 ■大統領が容認か

 今回の合意について、パキスタン紙「ドーン」(電子版)は16日、ザルダリ大統領が、州政府による武装勢力側の要求受け入れを容認していたと伝えた。州政府側もこれを認めた。ザルダリ氏は軍事力だけで治安の悪化を食い止めることはできないと判断し、合意を後押ししたとみられる。ただ、武装勢力との合意はこれまでもあったが、いずれもほごにされてきた。米国は、武装勢力に強化・再編の猶予を与えるだけだと再三警告し、取引には応じないようにクギを刺してきた。

 パキスタンは先週、現地を訪問したオバマ政権のホルブルック特別代表(アフガニスタンパキスタン担当)と、対テロ戦略の見直し作業を共同で行うことで合意した。今回の合意と今後の対テロ戦略との整合性などについて、米国に問われることになりそうだ。

                   ◇

 ■すでに80%支配 住民50万人が脱出

 北西辺境州は中央政府の力が及ばない無法地帯といわれる。特にスワト地区周辺は、2007年後半からタリバンが勢力範囲を拡大し、女学生への教育を禁止し、武装勢力に反発する住民を裁判にかけ処刑するなど、実際にはすでにイスラム法を“執行”している。

 スワト地区は南北200キロ、東西75キロの緑豊かな渓谷だ。パキスタン有数の観光地だったが、現在では戦闘激化により、観光客はほとんどいない。また、タリバンイスラム法にのっとった自前の裁判制度を導入し、「恐怖政治」による支配を強めている。

 スワト地区ではほぼ毎朝、死体が見つかるという。死体には武装勢力に対する謀反への警告文が添えてある。住民への見せしめだ。

 地元筋によると、武装勢力はスワト地区を複数の区に割り、各区に司令官を置き担当させている。各区には複数の裁判所が設けられており、住民が抱える問題や武装勢力への不満分子に関する案件が処理されているという。判決は死刑、むち打ち、罰金などで、処刑は屋外で住民に公開して行われる武装勢力は毎朝流しているラジオのFM放送で、判決内容を公表することもあるという。

 タリバンは、女子の教育を認めない。このため今年1月15日から女子生徒の通学を禁止した。地元の教育関係者によると、タリバンは昨年1年間だけで130以上の教育機関を爆破するなどした。そのうちの6割が女子生徒が通う学校だったという。

 タリバンによる“圧政”によって、すでに50万人以上の住民が逃げ出したといわれる。今後、ますます強まるタリバンの存在感に、地元の住民や政府、そして中央政府も、なすすべがないのが現状のようだ。(田北真樹子)

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結構道は険しそうですね。