中国外務次官、「ミサイル後」の対北制裁に慎重姿勢

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090323-00000580-san-int

 【北京=矢板明夫】北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議で日本の首席代表を務める斎木昭隆外務省アジア大洋州局長は23日、訪問先の北京で中国首席代表の武大偉外務次官と会談し、北朝鮮のミサイル発射問題などについて意見交換した。

 斎木局長が会談後、記者団に明らかにしたところによると、北朝鮮が各国の自制呼びかけを無視してミサイルを発射した場合について、斎木局長は「国連安保理に提起し、国際社会として適切な対応を取るように求める」と日本政府の方針を中国側に説明した

 これに対し、武次官は「どのような状況になるのか、様子を見たうえで判断したい」と対北制裁に慎重な姿勢を崩さなかった

 また、武次官は6カ国協議の早期再開に意欲を示したが、斎木局長は「ミサイル問題を切り離して扱うのは難しい」との見解を表明したうえで、「(ミサイル発射後に)何事もなかったかのように、協議を再開するわけにはいかない」と述べた。武次官も同じ認識を示したという。

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産経新聞の見出しをみると日中間の意見の相違が目立ちますが、最後の同じ認識を見出しに持ってきたのが朝日新聞で、
ミサイル発射なら6者協議の再開困難 日中代表が一致
http://www.asahi.com/politics/update/0323/TKY200903230301.html

2009年3月23日19時10分

 北朝鮮の核問題に関する6者協議で日本首席代表を務める斎木昭隆・外務省アジア大洋州局長は23日、北京で6者協議議長の武大偉・中国外務次官と会談した。両者は、北朝鮮が予告通り「人工衛星」の名目でミサイルを発射した場合、協議再開が当面難しくなるとの見方で一致した。

 斎木氏が会談後、記者団に説明した。斎木氏はこの中で、北朝鮮によるミサイル発射が「北東アジアの平和と安全を脅かす非常に挑発的な行為だ」と指摘。「6者協議の前進に、明らかにマイナスの要因となることは各国の頭の中にある」とも述べた。

 6者協議は昨年12月の首席代表会合で、北朝鮮の核計画の検証方法について物別れに終わり、その後は再開のめどが立たなくなっている。

 日本側は当初、オバマ米政権が対北朝鮮政策を練り直す間に、日米、日米韓で6者協議の進め方を調整し、できるだけ早く再開させる構想を描いていた。検証の問題は避けられないにしても、協議を動かすために、これまでとは異なる策も検討していた。だがこの日の日中会談では、こうした思惑が困難だということが浮き彫りになった。

 斎木氏は武氏に、ミサイルが発射された場合、国連安全保障理事会で議論するという日本政府の立場についても説明した。武氏は「ミサイルの発射をめぐってどのような状況になるのかについて、よく様子を見たうえで判断しないといけない」と述べるにとどめたという。

産経新聞は他にも米韓露の見方を伝えています。
【環球異見】北ミサイル発射通告http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090323-00000081-san-int

 北朝鮮が、4月4〜8日の間に「人工衛星」の打ち上げを実施すると国際機関に通告し、日本や韓国、米国など北のミサイル発射に神経をとがらせている関係各国の間に波紋が広がっている。だが、ミサイルの飛行ルートにあたる日本の懸念とは裏腹に、韓国はこれを契機に日本の軍事大国化が進むと危ぶんだり、北との友好と地域の安定を重視するロシアが静観を決め込んだりと、関係各国の思惑にかなりの温度差が浮かび上がっている。

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 ▼ロサンゼルス・タイムズ(米国)

 ■甘い姿勢の米外交に警鐘

 北朝鮮が「人工衛星」と主張して長距離弾道ミサイルの発射準備を進めていることについて、14日付米紙ロサンゼルス・タイムズは「北朝鮮の近隣諸国は、打ち上げ予告に怒りをみせている」と、日本や韓国の反応を詳しく伝えた。

 日本については、ミサイルが日本に向けて発射された場合、ミサイル防衛(MD)による初の迎撃を行う構えをみせた河村建夫官房長官の談話を引用し、「日本は憤慨している」と指摘。さらに、「北朝鮮が衛星だと主張しても、国連安保理決議違反ははっきりしている」と麻生太郎首相のコメントも紹介した。

 「偵察衛星北朝鮮でのロケット発射の動きを察知してから数カ月にわたって、日韓両国は、この秘密国家が4000マイル(約6500キロ)もの射程を持つ長距離ミサイル・テポドン2号の発射実験をするのではないかと予測していた」。同紙は、東アジアを揺り動かす今回の事態の背景をこう説明する。

 記事はそれ以上の分析には踏み込まずに終わっているが、2月18日付の同紙では、米保守派の論客の一人であるジョン・ボルトン国連大使が、ヒラリー・クリントン国務長官訪韓にあわせ、北朝鮮情勢に言及している。ボルトン氏は、クリントン外交が、北への甘い姿勢に終始するのではないかとの危惧(きぐ)をあらわにする。

 「不運なことに、北朝鮮に対するクリントン長官の姿勢は、きわめて前政権と似ている」

 急激な妥協に走った後期ブッシュ政権への批判をも込めながら、ボルトン氏は「米外交の“純情さ”は驚くほどだ」と、したたかな相手に有効な手を打てないでいる対北朝鮮外交の現状に警鐘を鳴らしている。(ロサンゼルス 松尾理也)

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 ▼中央日報(韓国)

 ■日本に軍事大国化の口実与える 

 韓国紙「中央日報」(14日付)は、北朝鮮がミサイルの発射を国際機関に通告したことを受け、1面のほか、特集ページに関連記事を掲載するなど、かなりの紙面を割いて報じた。

 1面では「打ち上げ実験が秒読みに入り、これを阻止しようとする韓国、米国、日本などの関係国が北朝鮮に対して外交的な圧力をかけ、緊迫した情勢となっている」とし、日米韓がちらつかせている国連安全保障理事会の制裁カードが北に対して通用するのか否かを分析している。

 特集ページでは、ミサイルが発射される方向や、発射への各国の反応などを予想。1998年に北が発射した「テポドン1号」と同様、今回もミサイルが日本上空を飛び越えると推測されることから、テポドン1号に沸き立った日本が、今度も強く反発する可能性が高い」とみる。

 また、「北のミサイルは日本に軍事大国化の口実を与える」と題した社説も掲載。テポドン1号発射後、「日本の右派勢力が、これを口実に軍事力強化の必要性を主張し、実際に軍事費増強作業が進められた」として、「今回も同じことが起こるだろう」と警戒心をあらわにしている。

 さらに、「日本の極右が北のミサイル試験発射をむしろ歓迎するという話もあり得なくもない」とし、日本が主張している「普通国家論」には、「攻撃能力を備えた軍事強国になりたいという本音が込められている」と断定した。

 その上で、「北朝鮮のミサイル打ち上げは、日本の右派の“軍事大国化”の主張を後押しするだろう。日本の軍事大国化は不可避であり、それは中国とロシアを刺激する」と指摘。「これら強大国(日中露)の軍備競争は、韓国や北朝鮮には災いである」として、北朝鮮に自制を求めた。(ソウル 水沼啓子

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 ▼ブレーミャ・ノボスチェイ(ロシア)

 ■露政権反映 米朝ゲーム静観

 北朝鮮の「人工衛星」発射準備について、ほとんどのロシアのメディアは、静観を決め込む露政権の姿勢を反映して、こぢんまりと報じている。

 北朝鮮が「人工衛星」の発射を国際機関に通告したことを受けた13日付ブレーミャ・ノボスチェイ紙も、記事の焦点は楊潔●(よう・けつち)・中国外相の訪米に当て、「米国の警告に中国とロシアは同調しそうにない」などと指摘。「関係国はこの地域の安全と安定を損ないうる行動を控え、冷静であるべきだ」とするロシアの見解を改めて伝えた

 同紙がこれに先だって掲載した露科学アカデミー極東研究所の北朝鮮専門家、アスモロフ氏の論文「ミサイルのゲーム」は、こうしたロシアの立場を解説している。

 同氏は北朝鮮保有する核弾頭は1発しかない」とした上で、米韓両国との軍事バランスからみて「唯一の核弾頭によって朝鮮半島で紛争があった場合の帰結が変わることはない」と断定。ミサイル発射の狙いについては「1998年の発射後に米朝接触がめざましく活発化した」ことを引き合いに、北朝鮮は国内問題に多忙な米新政権の関心を引きたいのだ」と北の思惑を代弁する。

 この論文によれば、北朝鮮のミサイルの脅威は「極端に低く」、ミサイル発射はあくまでも米国との2国間問題であり、「ロシアが米国や韓国の憤慨した声明に同調する必要はまったくない」というわけだ。

 ソ連崩壊後、ロシアと北朝鮮の関係は疎遠になったものの、2000年のプーチン前政権発足後は北朝鮮とロシアの鉄道連結計画が始動するなど経済面の関係が深まりつつある。自国にミサイルが向かってこない限り、ロシアがこの問題に真剣になることはなさそうだ。(モスクワ 遠藤良介)

●=簾の广を厂に、兼を虎に

アメリカも
北のミサイル、アラスカ全域が射程…米韓当局分析
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090314/1237034569
と、自国の問題として認識していると思っていました。今青森にイージス艦ステザムが入港してるようですし。
イージス艦、青森入港 北朝鮮ミサイル発射警戒か
http://www.asahi.com/politics/update/0323/TKY200903230062.html

しかしロシアの北朝鮮に核弾頭は一発しかないというのも、本当か?という気がします。
2008/12の記事
北朝鮮、核弾頭20個以上保有か…韓国・国防委員長
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081216-00000066-yom-int

 【ソウル=浅野好春】韓国国会国防委員会の金鶴松(キムハクソン)委員長は16日、ソウル市内で開かれた国防研究院主催の討論会で、北朝鮮保有する核爆弾(弾頭)の数について、20個以上に上る可能性があるとの見方を示した。

 聯合ニュースによると、金委員長は北朝鮮の核爆弾保有数について、米政府が7〜8個、韓国政府は6〜8個または5〜7個とみているが、これは原料のプルトニウムの抽出量を42キロ・グラムと推定し、1個当たり6〜7キロ・グラムを使うと仮定したものだ」と指摘。その上で、北朝鮮が1個につき2〜3キロ・グラムのプルトニウムが必要な小型核(弾頭)を開発していたら、20個以上を製造した可能性がある」と述べた。

とずいぶん開きがあります。プルトニウムが必要な小型核(弾頭)を開発しているかどうかですが、以前のエントリ
北朝鮮>核計画申告2施設除外 92年以前の活動隠す
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20081007/1223393083
では、プルトニウムを抽出していることまでは間違いないという感じでした。プルトニウム型は確かに開発は大変で完成させられてない可能性は高いと思いますが。