中国チベット自治区に2本目の鉄道 支配強化が狙いか

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(写真:産経新聞

 【北京=矢板明夫】中国の四川省成都チベット自治区の区都、ラサを結ぶ川蔵鉄道が9月末から着工される。3年前に開通した青蔵鉄道青海省−ラサ)に続くもの。2本目の鉄道建設について中国当局は、自治区の経済発展に寄与するためとしている。だが、中国からチベットへのモノと人の流入を促進し、経済面での不満解消につなげ、中国共産党の支配体制強化を図る狙いがある。鉄道が開通すれば、チベット人民解放軍の部隊を送り込む際の時間も大幅に短縮され、軍事的な意味も大きい。

  [フォト]開通当時の青蔵鉄道

 川蔵鉄道は全長約1630キロ。投資総額は約540億元(約7560億円)で、8年後の2017年に完成する予定だ。列車は時速200キロ以上で走行し、自動車では3日間以上かかる成都−ラサ間を約8時間で結ぶ

 遊牧民が住む高原地帯などを通る青蔵鉄道とは異なり、人口が密集する四川省とつなぐことで、上海、広東省周辺など中国南部との行き来は一気に便利になる。鉄道関係者は「チベットを人の体にたとえれば、青蔵鉄道が静脈で川蔵鉄道は動脈だ」としている。

 四川省チベットを結ぶ鉄道の建設案は、建国直後からもち上がった。しかし、ルートのほとんどが山岳、半永久凍土地帯のため、工事が難しく予算も高額で実現できず、中国鉄道省が「2011年に着工」との計画を発表したのは数年前のことだ。着工が当初の計画より2年前倒しされた背景には、昨年3月にチベット騒乱が起こり、独立・分離勢力の影響力が拡大したことがあるとみられる

 チベット仏教関係者の間には、鉄道が開通して漢族が大量に流入市場経済が発展すれば、むしろチベット文化が破壊されるとの懸念が高まり、民族対立が激化するとの見方もある。

 チベットの防衛は成都軍区が担当している。現在、成都からラサに兵士を陸路で搬送する際、青蔵鉄道ルートを使うと約45時間かかるという。川蔵鉄道が開通すれば、チベット自治区内の暴動などに対処する際には、中国軍の機動力が格段に向上する

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