F35暗礁 調達価格2倍…米、導入を2年延期 空自、中国にらみ気をもむ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100321-00000040-san-int

 【ワシントン=佐々木類】米国が、英国など8カ国と共同開発を進めてきた次世代戦闘機F35ライトニングIIの配備計画が暗礁に乗り上げている。調達価格が当初予想の1機約5千万ドル(約45億円)の倍近くに達し、導入時期も2年ほど遅れるとの予測が示されたためだ。F35は、中国との制空権争いを想定する航空自衛隊が次期主力戦闘機(FX)の最有力候補としているだけに、日本政府の選定作業への影響は不可避だ。

 ■怒る議会

 「国防総省のお粗末な調達計画やコスト感覚の欠如で費用が増大したことに目をつぶってまで、議会が今後もF35の開発計画を後押しすると思うべきではない」

 上院軍事委員会のレビン委員長(民主党)は今月11日の公聴会で、F35の調達価格が1機当たり約8千万ドルから9500万ドルになるとの見通しを示した国防総省のフォックス部長(価格評価担当)を厳しく叱責(しっせき)した。

 国防権限法に基づく規定では、開発中の兵器の価格が見積もりより15%以上高くなった場合、国防総省は議会へ通告しなければならない。また、25%以上高くなった場合、議会は国防総省に計画中止を求めることができる

 同じ公聴会に出席した国防総省のカーター次官(調達担当)は、価格が跳ね上がった理由について「海兵隊用の垂直離着陸型が過重となり、これを改良する必要があった」と語る。

 F35は17日、メリーランド州の海軍基地で初めて上空で約1分30秒間停止することに成功。18日には上空で停止した状態からの着陸実験を成功させたというが、ロシアは今年1月、第5世代戦闘機のスホイT50の初飛行を成功させており、こうした動きも米側の焦りにつながっている。

 ■出遅れる日本

 国防総省は昨年、1機当たり約1億4千万ドルという高額の最新鋭戦闘機F22Aラプターの生産中止を決め、FX候補として第5世代のステルス戦闘機F22の獲得を目指してきた日本側を落胆させた

 F35の共同開発でも日本は武器輸出三原則の縛りで参加できず、日本の安全保障は米国など開発・輸出国の都合に左右されてきたのが実態だ。

 ユーロファイター(英独ほか)など、F35と違って日本がライセンス生産できる戦闘機もあるが、いずれもステルス性のない第4世代で中国空軍が配備を急ぐJ10、SU27と戦闘能力は互角程度とされる。また、「空自戦闘機は従来、米国仕様で、単に価格と性能だけで欧州の機体を導入するには違和感がある」防衛省関係者)という。

 米軍の武器開発に詳しい米シンクタンクヘリテージ財団のイーグレン研究員は「F22の開発をやめた今、頼みの綱はF35しかない。第5世代戦闘機の開発には長期間かかるため、F35の開発を中止したら米国の安全が著しく脅かされる」と指摘。「日本が共同開発に参加できれば価格低下にもつながるし何よりも日本の安保上、大きな利点がある」としている

【用語解説】F35ライトニングII

 レーダーに捕捉されにくい第5世代のステルス性を備え、米国防総省は米軍に2443機、イタリア、オランダなどの開発参加国に730機を調達する。超音速巡航能力に加え、海軍用に主翼を折りたたむ改良を施し空母艦載が可能だ。垂直離着陸が可能な海兵隊用のF35は2012年、空軍用は予定より3年遅い2016年、海軍は2年遅い16年の配備予定

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産経新聞からですが、日本の安全保障には武器輸出三原則が邪魔だというわけですね。確かに中国より1世代先の戦闘機をもてればいろいろな問題が解決するのかもしれません。でもきっと非対称戦の方法を考えられて、

「非対称戦」露に学ぶ中国…強大米軍への対抗戦略
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070516/1179332207

確実に有利という状況は得られないんでしょうね。