シベリア抑留で新たな銃殺判明 「対日戦勝」正当化進める露

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(写真:産経新聞

 ■実態隠し、対応なおざり

 【モスクワ=佐藤貴生】戦後最大の悲劇ともいわれるシベリアなどへの日本人抑留問題は、北方領土の不法占拠と同様、終戦直前に中立条約を破り対日参戦したスターリンソ連が引き起こした。人道に対する罪といっても過言ではない。にもかかわらず、後継国家ロシアは今年、日本が降伏文書に署名した9月2日を事実上の“対日戦勝記念日”に制定し、日本人抑留の実態などを覆い隠したまま、参戦を正当化する戦略を推し進めている

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 ロシアは1991年に締結の日ソ政府間協定を継承し、抑留中に死亡した日本人の名簿を段階的に日本側に提供してきた。昨年には、70万枚もの抑留者の経歴を記した「個人カード」の情報の引き渡しも始まった

 だが、戦後40年以上が経過した後の情報提供開始は、遅きに失したというほかない。宅地造成や墓地の移動、ロシア人との合葬などで遺骨の発見、特定は、ますます困難を極めている。

 さらに、ロシア側の不誠実な対応も目につく。91年の協定には、「日本人死亡者の埋葬地が適切な状態に保たれるよう努めること」と明記されている。だが、昨年ロシアの抑留者墓地を訪れた元抑留者は「墓の荒廃がひどい」と証言する。ロシア政府は抑留者墓地の整備費を、ほとんど予算に計上していないという。

 抑留者本人はもちろん、その子供の世代も高齢化が進み、一刻も早い実態解明が待たれている。チチハル(現中国黒竜江省)の特務機関長で、ソ連に抑留された田中義久さんの長女、内田和子さん(75)=名古屋在住=は「墓地はもちろん、どこに収容されていたかもいまだに分からない。ソ連は許せない」と話す。

 一方で、スターリンソ連が2万人以上のポーランド人を連行、銃殺した「カチンの森事件」(40年)では今年、歴史的な和解が実現した。ロシアとポーランドの首相が初めて現場で顔を合わせ、70周年の追悼式典に参加した。

 ポーランドは欧州屈指の対露批判派として知られ、ことあるごとにロシアの高圧的な対外政策を批判してきた。同事件をめぐる対露不信もその一因だ。

 領土問題が横たわる日露関係と同列には論じられない。が、真の相互信頼関係を築こうと考えるのなら、日本政府もポーランドのように「言うべきことは毅然(きぜん)と言い続ける姿勢」を堅持すべきだろう。

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正直ロシアのような国にどのように接するのが正しいのかいまいち分かりません。