ムバラク政権崩壊、改憲案の策定作業始まる 委員に同胞団メンバー

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110216-00000515-san-int
 【カイロ=大内清】ムバラク政権が崩壊したエジプトで改憲委員会のメンバーが15日、全権を掌握する軍最高評議会によって任命され、改憲案の策定作業が始まった同委員会は元判事のビシュリ委員長のほか、7人の法律家で構成。非合法のイスラム原理主義組織ムスリム同胞団メンバーも含まれており、同胞団を政治プロセスに取り込んでいく動きの一環ではないかと注目を集めている

 最高評議会が指示した改正対象は、大統領選の立候補資格や大統領の再選回数、非常事態令の解除に関する条項などで、改正は小幅なものにとどまるとみられる

 これらの条項は、ムバラク前大統領が辞任前日の10日にテレビ演説で改正を約束したのとほぼ同じで、憲法の全面的な改正を求める民主化勢力からは反発も予想される。委員会では今後10日以内に改正案をまとめるとしている。

 委員に選出された同胞団メンバーで元人民議会(下院に相当)議員のソブヒ・サーレフ弁護士はフランス通信(AFP)に対し、「すべての規制や障害の撤廃に向け見直しを行う」と話しており、今後、最高評議会の意向と齟齬(そご)が生ずる可能性もある

 一方、国営メディアによると、国内の銀行の業務停止は16、17日も継続され、再開されるのは早くてもイスラム圏で週明けの20日になる見通しとなった。従業員のストライキなどを回避するための措置とみられるが、これにより経済や市民生活がさらに混乱する懸念も強まっている。

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しかし人選の件ですでに問題があるようです。
エジプト改憲委員会の人選にコプトキリスト教徒から反対の声 (al-Quds al-Arabi紙)

http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20110216_110343.html

エジプト改憲委員会の人選にコプトキリスト教徒から反対の声
2011年02月15日付 al-Quds al-Arabi紙

コプト教徒の活動家たち、ムスリム同胞団を含んだ改憲委員会の人選に反対

2011年02月15日付『クドゥス・アラビー』

【カイロ】

 コプト教徒の活動家たちは火曜日、軍が任命を発表した改憲委員会にコプト教徒を代表する人物は入っていないのに、ムスリム同胞団の意見を代表するメンバーが含まれていることへの反対を表明した。

 エジプトのコプト教徒たちのNGO「人権のためのエジプト連合」のナギーブ・ギブラーイール代表は声明を出し、「軍最高評議会が任命した委員会の人選に数百万のコプト教徒が反対している」「コプト教徒は入っていないのにムスリム同胞団のメンバーが委員会に入っていることは、コプトムスリムの血が混じり合った1月25日革命の原則と矛盾する」と述べた。

 またギブラーイール代表はAFPに対し、「最高憲法裁判所の副長官の一人であるサーミー・ユースフ裁判官はコプト問題に何ら関わっていない人物であり、コプト教徒の代表とはみなされない」と明言した。そして、ユースフ裁判官が「ただの法律家に過ぎない一方で、明らかにムスリム同胞団を政治的に代表しているスブヒー・サーリフ(ムスリム同胞団系の元議員)が委員会に入っている上に、委員長のターリク・アル=ビシュリーはイスラーム主義的な姿勢で知られている」と語った。

 声明は「コプト教徒の活動家代表が水曜日に軍最高評議会のフセイン・タンターウィ議長に覚書を提出」し、コプト教徒を委員会に加えるよう要請すると書かれている。さらに声明は「軍最高評議会がこの国の憲法を制定あるいは改正・変更するために委員会を選任するにあたっては、国民とその革命の意向に沿った市民的国家を築こうという決意のもとに発表されるべきである」として、「(憲法改正にあたる)委員会はいかなる宗教的、党派的、政治的、宗派的方向性とも無縁な人々で構成される」よう、要求している。

軍最高評議会は火曜日、エジプト国家評議会の元議長ターリク・アル=ビシュリー氏を委員長とする8人の委員を公表した。ビシュリー氏は実直で清廉な人物として知られ、尊敬を得ている裁判官であるが、イスラーム主義的な思想傾向を持っている。また委員会にはムスリム同胞団系の元議員で弁護士のスブヒー・サーリフ氏も入っているが、そのほかの政治系統を代表する人物は1人も含まれていない

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(翻訳者:山本薫)
(記事ID:21514)

ただこれを読んでも一体どんな人を求めているのかよくわかりませんが。

あとある問題は、
<エジプト>軍最高評議会が若者連合と対話 要求対応に注目

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110216-00000070-mai-int
 【カイロ伊藤智永エジプトの軍最高評議会は16日、インターネットなどを通じて反政府デモを主導した若手活動家らによる新しい全国的組織「革命の若者連合」の代表らと2回目の対話を行った。若者連合側は、政治犯の釈放や非常事態令の解除、独立した政治結社の自由などを要求。軍側がどこまで応じるかが注目される

 1回目の対話は、ムバラク前大統領辞任2日後の13日に行われた。軍側はコメントしていないが、早い段階に軍側の呼びかけで始まったことや、軍側は初めから「10日で憲法改正草案をまとめる」といった重要な政治日程をいち早く明かし、若者らがネット上で追認していること、対話が継続していることなどから、軍側は若者代表との会合を民主化への不可避な手順として重視しているようだ。

 さらに軍側は、議会選前の非常事態令解除や、ムバラク体制末期の閣僚が残留している内閣の早期改造など、若者連合の要求の一部を先取りして実行する方針を内外にほのめかすなど、これまでのところ意外な柔軟姿勢を見せている。

 ただ、軍側が自らの役割を、次期大統領選出までの限定的な役割としているのに対し、若者連合側は、全政治犯の釈放や与党の排除、全面的な改憲など、より徹底した民主化措置に直ちに着手するよう求め、双方の思惑には落差がある

 軍と若者の交渉が、民主化への実効的な政治チャンネルに発展するのか、民主化の注目点になっている。

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のように軍とデモを主導した若者の間に落差があるようです。