<イラク>駐留米軍が治安権限移譲を延期 自爆テロ影響

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080628-00000110-mai-int

 【カイロ高橋宗男】イラク駐留米軍は28日、西部アンバル県で予定していたイラク当局への治安権限移譲を延期した。地元のイスラムスンニ派部族で構成し、治安回復の柱となっている「覚せい評議会」に対する自爆テロが26日に同県で発生した影響とみられる。過激なスンニ派武装組織はイラク各地で同評議会を標的に攻撃を強化するなど、スンニ派地域での治安回復に暗い影を落としている。

 アンバル県は、米軍が治安回復の「成功例」と自負する地域だ。かつて米国に敵対した地元部族がアルカイダとの対決姿勢に転じ、米軍やイラク治安部隊に対する攻撃が減少。米軍の治安権限移譲先としては国内18県中10県目で、スンニ派が多数を占める県では初の移譲となるはずだった。

 ところが、バグダッド西方約50キロの同県カルマで26日、「覚せい評議会」の会議中、警官の制服を着た男が自爆し、地元部族長や米海兵隊員ら20人以上が死亡、予定を狂わせた。

 米軍は週明けにも改めて治安権限を移譲する予定だ。だが、アラブ首長国連邦の民間シンクタンク、湾岸研究所のアーニ・テロ問題担当部長は「イラク当局にも、覚せい評議会にも、まだ治安維持能力は備わっていない」と指摘、「双方の対立が将来の不安定を招く恐れがある」と警鐘を鳴らす。

 覚せい評議会はスンニ派地域の多くで治安維持を実質的に担っている。にもかかわらず、シーア派中心の政府は評議会を自警団扱いし、公式な組織と認めていない。評議会側は正規の治安部隊への編入を求めているが、政府は「過去に犯罪行為に加担していないこと」を条件に挙げ、了承しない。評議会メンバーの大半が過去に反米闘争にかかわり、条件に抵触するからだ。

 イラク各地で組織されている覚せい評議会には8万人以上が参加しているとされ、米国の資金支援により、1人当たり300〜500ドルの月給が支給されている。

 ▽覚せい評議会 国際テロ組織アルカイダと関係する過激なスンニ派武装組織に対抗するため、米軍が地元スンニ派部族に資金支援し設立。07年春以降、アンバル県内で一定の成果を出し始め、その後、バグダッドやディヤラ県など各地に広がった。武装組織は「米国の占領に加担している」として、評議会への攻撃を強化している。

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ついこの間まで、イラクのモースルはアル・カーイダ支配下にあった
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080619/1213892937
では

アルカイダ拠点として全国最大かつ最後のモスル一帯

とありましたが、問題はアルカイダだけじゃないと言う事ですね。

イラク・アンバル州の治安情勢は依然不透明、雇用問題がカギに
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080327/1206624777
では、

かつて反政府勢力を組織して米軍・イラク政府軍と対決したスンニ派部族長の支持者の多くは現在、イラク軍や警察部隊といった「条件の良い」職を求めている。

という事でしたが、条件の良い職は「過去に犯罪行為に加担していないこと」を理由に得られないと言う事なんですね。