「日本に核兵器使わない」=異例の具体的国名言及−中国高官

だいぶ古い記事なんですが、本を読んでいて思い出したので。

 【ジュネーブ時事】中国外務省の※(※=マダレに龍)森軍縮局長は19日、ジュネーブの国連欧州本部で「日本に対し核兵器は絶対に使わない」と述べた。中国は核兵器を先制使用しない政策を掲げているが、政府高官が具体的な国名に言及するのは異例。核兵器のない地域で「いかなる状況下でも中国は核兵器を使わない」と強調した。

 北朝鮮問題については「相互信頼の欠如が最大の課題」と指摘。対立激化が「危機をあおる悪循環をもたらす。関係国は膝を交え対話すべきだ」と訴えた。(2013/04/20-07:08)

まぁ中国はこう言わざる得ないでしょうね。日本としてはそういわれても信じていいものやらという感じがしますが。特にに『核兵器のない地域で』と言っていますが、今後非核三原則が見直されたりするとアメリカの核があるじゃねぇかと言われかねません。それに今は北朝鮮も核を撃ちかねない時代ですし。

読んでいた本は、

自滅するな日本 (田原総一朗責任編集)

自滅するな日本 (田原総一朗責任編集)

です。買ったのは古本屋ですが、野田政権時の本です。田原総一郎氏の、日本は核兵器を持つべきという意見にケビン・メア氏は反対していますp206〜。核より通常兵器で抑止力を持てと。“今”の日本に関しては僕もそう思います。

歴史上核保有国が核を持った理由で知っているのは、英仏の場合は、スエズ危機(第二次中東戦争)でエジプトのスエズ運河国有化を軍隊で止めようとした英仏イスラエルに対して、軍事力の使用に極端に慎重だったといわれる米アイゼンハワー大統領が、ソ連との対立を避けるためソ連と手を組み英仏イスラエルに即時全面撤退を通告し、ソ連が英仏に対してそうしなければ核を使うと匂わせたことです。

この事で英仏は同じ連合国の米国とはいえ、国益が常に一致するとは限らないと悟り自前で核兵器を持たなければいけないと考え核兵器保有にいたったと昔読みました(イスラエルの核保有に関してはそこには書いてありませんでした)。ヨーロッパで歴史的に敵国だった仏独は、独の分割によって初め仏が敵国と国境を接しなくてよくなったという状況の中で行われた事です。

また中国ですが、

(出版社がアレですがw)のp41または、pp79-80によると、中国はアメリカから何度か核恫喝を受けたそうです。

一回目は1950年10月に朝鮮戦争に参戦して、国連軍を北緯38度線まで押し戻したとき。二回目は1954年4月にインドシナ戦争で、支援したホーチミンの革命軍の攻撃によってフランスが、ディエンビエンフ−の戦闘で敗退したとき、三回目は1955年1月、台湾に面した大陳島を攻略したとき米国は空母を派遣し、あるいは「原爆を落とすぞ」と脅した。

こうして米国は 何回も「原爆を落とす」と脅して中国の軍事行動をけん制したのだ。そこで毛沢東は原爆と空母がなければ米国に対抗できないことを知った。p41

えーとでめんどくさいので手短に書くと、中国はソ連から核開発後の援助を受けられなかったので、軍隊の近代化を後回しにしました。しかし中国の奥地のほうで核開発すれば、ソ連アメリカも日中戦争や国民党の泥沼を思い出して手出しできません(衛星を使った長距離核ミサイル誘導もまだありませんでした)。また毛沢東の決断は数千万の餓死者をだす結果にもなりました。しかし中国は動じません。そういう中国だからできた事です。

以上英仏中の核開発ですが、日本が同じ事ができる状況にいるとは思えません。別に核兵器反対だから日本の核製造に反対するわけではなく、まぁ核恫喝を受けていなければ日本がNPTを脱退することも国際的な理解を得られるとは思えません。まぁ日本にはプルトニウム人工衛星を大気圏再突入させる技術はあるのだから、核兵器はすぐに作れるとメア氏も言っているので、ここは我慢という感じではないでしょうか。

中央アフリカ共和国の首都制圧したセレカって言っても日本語情報少ないんだよなー。

中央アフリカ、反政府勢力が首都制圧
AFP=時事 3月25日(月)7時46分配信


中央アフリカ共和国のDamar付近で道路をパトロールする反政府勢力の連合体セレカの兵士ら(2013年1月10日撮影)。

【AFP=時事】中央アフリカ共和国で24日、反政府武装勢力の連合体セレカ(Seleka)が首都バンギ(Bangui)を制圧した。フランソワ・ボジゼ(Francois Bozize)大統領は国外へ逃亡したと伝えられている。

昨年末には不安に駆られた市民が暴徒化

 セレカの司令官は「大統領府に入ったときボジゼ(大統領)はいなかった」とAFPに語った。大統領の姿は22日に南アフリカ訪問から帰国して以降、目撃されていない。

 信頼できる情報筋は「(大統領は)ヘリコプターで国を後にした」とAFPに語ったが、行き先は明かさなかった。中央アフリカと国境を接するコンゴ民主共和国(旧ザイール)およびコンゴ共和国の政府関係者はいずれもボジゼ大統領の自国への入国を否定している。もっとも、中央アフリカからは川を渡って容易にコンゴ民主共和国に入ることはできる。

 セレカは昨年12月に政府軍への攻撃を開始した。今年1月には政府と和平を結んだが、23日から首都へ進軍。装備と訓練が不十分な政府軍からほとんど抵抗を受けず、すぐに首都を制圧した。【翻訳編集】 AFPBB News

3/28の時点では日本語情報はほとんどないです(検索用インデックスは2,3日前のものです)。
アフリカ セレカをニュース系 サーチエンジン(News & blog search engine)で検索
2013年の始め両者は停戦合意していたそうですが、新たに戦闘が始まっていたとの事で反政府勢力のセレカは4分の3を勢力下においているそうです。
アフリカ|africa セレカ|selekaをニュース系 サーチエンジン(News & blog search engine)で検索
でも2012年12月が一番古い情報みたいですね。

あとでゆっくり調べてみようかと。

…って僕が調べなくても、英語でアフリカ情勢を追っている空野雑報さんがくわしかった。
中央アフリカ共和国事情:反乱勢力の支配領域拡大

イラク戦争開始から10年たって特集記事が多いですね。

5年の時はこんな記事がありました。<イラク開戦5年>最新ルポ 要塞化するバグダッド…敵意の海に孤立

で、10年後ですが、ルポっぽいのが多くてまとめるのは難しそうですが、まずは全体の俯瞰という事で。

イラク戦争から10年、民間人の犠牲11万6000人 米報告
イラクの首都バグダッドで14日に起きた連続爆弾攻撃で、旧米軍管轄区域グリーンゾーン近くの官庁ビルから上がる黒煙。少なくとも18人が死亡した(2013年3月14日撮影)。

【AFP=時事】2003年3月に開戦したイラク戦争では、2011年の米軍撤退までにイラク民間人11万6000人と多国籍軍兵士4800人が犠牲となったことが、15日発表された米大教授らの報告書で明らかになった。

イラクでシリア兵士襲撃され48人死亡内戦が隣国に飛び火

 また、イラク介入に伴う米国の財政負担は既に8100億ドル(約78兆円)に上っているが、最終的には3兆ドル(約288兆円)に達する見込みだという。

 報告書は、イラク開戦10周年を機に米タフツ大学(Tufts University)医学部のバリー・レビー(Barry Levy)教授とアルバート・アインシュタイン医科大学(Albert Einstein College of Medicine)のビクター・シデル(Victor Sidel)教授が、各専門誌で発表された研究結果や政府・国際機関の報告書、ニュース記事などからイラク戦争のコストや人的被害をまとめ、英医学専門誌ランセット(The Lancet)に発表したもの。

 それによると、2003年〜11年の8年間に死亡した非戦闘員のイラク人は、少なくとも11万6903人に上った。さらに、医療関連設備が破壊されたことで多くのイラク民間人がけがや病気を悪化させる結果となったほか、500万人が住む家を失ったという。

 米軍側の被害としては、3万1000人以上の米兵がイラクで負傷し、派兵された兵士のうちの相当数がPTSD心的外傷後ストレス障害)や外傷性脳損傷神経心理学的障害や社会生活への不適応といった問題に苦しんでいると指摘している。【翻訳編集】 AFPBB News

以前はこういう記事がありました。
死者22万人、支出186兆円に=アフガン・イラク戦争…米研究者グループ
テロなどはまだ収まっていないという事です。

イラク開戦10年:続くテロ、シーア派聖廟周辺いまも厳戒

毎日新聞 2013年03月20日 23時38分(最終更新 03月21日 00時16分)


イラクの首都バグダッド・カドミヤ地区のイスラムシーア派聖廟。19日の連続爆発事件の影響で、モスク前の人通りは普段のわずか「1、2割」(地元の人)だった=2013年3月19日、秋山信一撮影


カドミヤ地区

 【バグダッド小倉孝保、秋山信一】死傷者250人以上を出したバグダッドの多発爆弾テロ現場の一つカドミヤ地区を19日夜(日本時間20日未明)、訪れた。普段夜中まで参拝客で混雑するイスラムシーア派の聖廟(せいびょう)周辺は閑散としていた。イラク戦争開戦から20日で10年。市民は続くテロに怒りを強める。

 カドミヤ地区のシーア派聖廟近くには礼拝者用の大型駐車場が多いが、自動車爆弾を警戒し閉鎖。聖廟に向かう通りの入り口の検問所には過去の爆弾テロで犠牲になった兵士の遺影が掛かっている。

 聖廟への大通りに入っても人影はまばら。チャイ(紅茶)売りのムルタダさん(22)は「人通りは普段の1、2割。商売あがったりさ。何でこんなテロをやるのかさっぱりわからない」と嘆いた。

 カドミヤ地区にあるのはバグダッドで最も有名なシーア派聖廟で、フセイン政権崩壊(03年4月)後、イランからも巡礼に訪れる人が多い。聖廟前通りの両側には飲食店や土産物屋、ホテルが並ぶが、従業員は暇をもてあまし活気はない。

 聖廟の前にも大型検問所があり、携帯電話やカメラの持ち込みは禁止。チェックも厳重だ。治安責任者のウサム・ジェイサニさん(32)は、シーア派地区での連続テロについて、「イラクでは各宗派が長年一緒に暮らしてきた。テロは憎しみをあおりイラクを分裂させようとする過激派の仕業。許せない」と語気を強めた。

 イラクでは4月に地方議会選挙が予定されていたが、政府は19日、安全が確保できないとしてスンニ派が多い北西部2州で選挙を最大6カ月延期すると発表。シーア派閣僚の一部は治安政策に抗議して閣議をボイコットすることを決めた。

 20日、イラクでは特別な行事は行われなかった。市民にとりフセイン政権からの解放に当たる「4月9日」こそ祝うべき日との考えがあるためだ。警官のオマム・ムハンマドさん(33)は言う。「3月20日は侵略された日。記念にはならない」

日本でも運動をしている方がいるそうです。

「イラク市民 今も犠牲」 開戦10年、各地で集会


イラク市民 今も犠牲」 開戦10年、各地で集会

朝日新聞デジタル 3月20日(水)10時15分配信

イラク市民 今も犠牲」

19日夕に開かれた「イラク戦争の10年と日本」を問う集会で発言する志葉玲さん(右)。イラク人ジャーナリストやイラク戦争で息子を亡くした英国人の母らも参加した=東京・永田町、金子淳撮影

 【宮崎園子、仲村和代】イラク戦争が始まって20日で10年。米軍完全撤退から1年以上経ったが、本当に戦争は終わったのか。あの戦争がもたらしたものは何だったのか。今も問いかけ続ける人たちがいる。

 外国資本の石油採掘現場で劣悪な労働条件で働かされ、抗議の声を上げる労働者。テロ対策で造られたコンクリートブロックに囲まれ、周辺地区と遮断されて自由を束縛された市民。

 「イラク平和テレビ局in Japan」(事務局・大阪市)は毎週1本、イラクの人々が直面する現実を映し出す記録映像をネット(http://peacetv.jp)で配信している。

朝日新聞社

和解の動きもあるという事ですが、随分時間がたっているのにまだまだだなという感じです。

<イラク戦争10年>宗派対立、和解の動き

毎日新聞 3月18日(月)2時31分配信


集会で宗派対立の解消を訴えるシーア派指導者のアハマド・クバンチ師。立ち見が出るほど盛況だった=2013年3月15日、秋山信一撮影

 イラクへの米軍侵攻から10年を経て暴力の影は一時期より薄まったが、多数派のシーア、少数派スンニの両派は衝突を続ける。その裏に政治的動機や周辺諸国の思惑があると市民は感じている。対立に人々が疲れを感じる中、和解を訴える宗教指導者も少なくない。【バグダッド小倉孝保、秋山信一】

バグダッドの日常】イラク戦争10年:戻り始めた日常

 争いより尊厳と自由が大事

 首都から米兵の姿は消え、我が物顔で走り回った米軍車両もない。中心部で15日、開かれた金曜青空書籍市。本を求める人で大混雑だ。04年ごろから続発した対米爆弾テロで一時は人が消えたが、96年から店を開くモハマド・ダハシュさん(47)は「治安改善で人出はフセイン政権時代(79〜03年)に戻った」と喜ぶ。

 政権崩壊後の騒乱は当初、反米武装攻撃が主だった。06年2月に中部サマラでイスラムシーア派聖廟(せいびょう)が爆破され宗派対立が激化。09年以降も毎年、5000人前後の民間人が犠牲になっている。

 スンニ派住民の多いバグダッド西部ヤムルーク地区。16日昼、市民約20人がスンニ派イスラム指導者、メヘディ・スマイダエ師を囲んでいた。生活の不安や政府への要望を訴えている。スマイダエ師は強硬反米イスラム指導者だった。テロを指示したとして04年に逮捕され5年間拘束。釈放後シリアに逃れ、11年の米軍撤退後に戻った。

 今は、シーア派との和解を主張する。シーア派聖職者と協力しテロ容疑で逮捕された市民の釈放も求める。「転向」でスンニ過激派から狙われたこともある。それでも、「長年、私たちは共に暮らしてきた。和解は実現できる」と前向きだ。

 スマイダエ師は宗派対立を「米軍が残した混乱」と見る。スンニ派と敵対し、シーア派政治家を重用したためだという。さらに、「イランやトルコが、自国の利益を拡大するためイラクの宗派対立を利用している」と指摘する。

 一方、イスラム社会がより寛容になることで宗派の溝が埋まると訴えているのが、シーア派聖職者のアハマド・クバンチ師だ。バグダッドの文化センターで15日開かれた講演には、共産党支持者やキリスト教徒など、イスラム宗派対立に疲れた市民が詰めかけた。

 「女性がヘジャブ(頭髪を隠すスカーフ)をしないのも自由、酒場を開くのも自由。イスラムが関与すべきではない」と語ると聴衆から拍手が起こった。

 長女と講演を聴きに来た40代の銀行員、レイラ・ムフムードさんは「宗派より、人間の尊厳や自由が大事なはず」と語る。エンジニアだった父親はフセイン政権時代に連行され、理由も明らかにされずに処刑された。旧政権崩壊で「自由になれる」と期待したが、今は「宗教を言い訳にした対立が、市民の自由や尊厳を踏みにじっている」。匿名を条件に取材に応じた大学教授の男性(44)は「市民は過激な宗教思想に嫌気が差している」と話す。男性は「イラクが立ち直るには宗派対立を克服し、国民国家として団結しなければ」と語気を強めた。

 16日、バグダッドのフィルドス広場を歩いた。米軍がフセイン大統領像を引き倒し、政権崩壊を印象付けた場所だ。旧政権崩壊直後、若者たちが建てた自由を象徴する像も政府が撤去し、石の台座が寂しく残る。荒れた広場は、この国が直面する再建の困難さを象徴するかのようだった。

あとは攻撃側の米国すら国民の意見は分かれているようですね。

イラク戦争10年、国民の評価今もなお二分米世論調査

AFP=時事 3月19日(火)16時22分配信

【AFP=時事】米国が主導したイラク戦争から10年が過ぎた今もなお、米国民は戦争の評価をめぐって二分されている。米世論調査会社
ギャラップ(Gallup)が18日、発表した。

米兵の自殺、イラク戦争後に80%増加

 2011年12月に米軍がイラクから撤退して以降初めてとなるギャラップによる調査で、米国人の53%がイラク戦争は間違っていたと回
答し、42%は間違いではなかったと回答した。

 2009年に実施された世論調査とほぼ変わらない結果で、共和党あるいはイラク戦争を始めたジョージ・W・ブッシュGeorge W. Bush
)前米大統領の支持者の間では、イラク戦争に対する支持が強かった。

 共和党を支持する、または、どちらかといえば支持すると返答した人のうち66%は、戦争を間違いではなかったと回答。一方、民主
党支持者では、73%が間違いだったと回答した。

 米国人のイラク戦争反対が最も高まったのは2008年4月で、イラク戦争が間違いだったと回答した人は63%に上っていた。

 ギャラップの調査は7〜10日に1022人を対象に電話で行われた。誤差の範囲はプラスマイナス4%。【翻訳編集】 AFPBB News

で、日本には検証しようにも、当時は情報すらなかったと。

イラク戦争10年 福田元首相「我々に情報はなかった」

朝日新聞デジタル 3月20日(水)5時0分配信

イラク戦争10年 

イラク開戦当時の日米外交について話す福田康夫・元首相=河合博司撮影

 イラク戦争開戦当時、官房長官だった福田康夫元首相が朝日新聞のインタビューに応じ、小泉純一郎首相の開戦支持表明の直前、英
国からブレア首相の議会演説に先駆けて支持を打ち出してほしいと打診されていたことを明らかにした。「イラク大量破壊兵器(W
MD)がある前提」で支持した日本だが、判断材料を得ようにも「手も足もないという感じがした」と日本独自の情報入手ができなか
ったと率直に認めた。

【写真】イラク戦争と検証の動き

 2003年3月20日の米英軍の先制攻撃を前に、当時のブッシュ米大統領が18日(日本時間)にイラクへの最後通告演説をした
。福田氏によると、その頃に英国外交筋が福田氏に「ブレア首相がこの問題で議会演説をする。日本がその前に英米への支持を表明し
てほしい」と要請してきた。

 福田氏は「小泉首相はもうじき(記者団に)ぶら下がりをする。それを見て判断を」と返答したが、「開戦の判断で英国も(世論の
反発で)相当困っていた」との印象を受けたという。結局、小泉氏は直後に「米英が武力行使に踏み切った場合、支持する」とイラク
攻撃支持を打ち出した。

朝日新聞社

まぁやはりまとまりませんでしたが、こんなところで。

日本の国益とPKOは無関係ではないそうだ。

ちょっと古いのですが、PKOでアジア中東部長(今問題のシリアを含む)を務める中満泉さんから産経新聞にメールが来たそうです。見出しや最後の結論はどうかと思うのですが、現場からの切実な訴えです。

「普通の国」だったら邦人殺害も… 先読みして先取りする能力を

 「先が見えないまま、激変しつつある国際社会とグローバル化に対し、日本社会は対応不能になっていませんか」。国連平和維持活動(PKO)局でアジア中東部長を務める中満泉(なかみつ・いずみ)さん(49)から寄せられたメールには、こんな根源的な疑問が提起されていた。

 西サハラから東側のPKOを実質的に統括する彼女にとって、日本の現状は歯がゆいとしか言いようがないものだ。例えば、緊迫化を強めるシリア情勢に関し、各国は連日、中満さんに面会を求めてくる。

 アサド政権の崩壊を視野に、PKOがいつ、いかなる形で派遣されるのかを知るためである。その情報を踏まえながら、自国が国際社会でいかなる役割を果たすべきなのか、果たせるのかを決めていく

 パワーバランスが崩れ、新たな秩序が構築される中、自国の国益をいかに確保するかで、しのぎを削るのが国際政治の現実である。

 ところが日本の姿はほとんど見えない。日本の生命線であるシーレーン海上交通路)が世界秩序の変動に直接影響を受けることが示すように、最も影響を被る国だというのに、秩序作りに関与しようとはしない。それどころか、1月には安全を確保できないとの理由でイスラエルとシリア国境のゴラン高原に派遣していた自衛隊を撤収させた。

 「わたしの国旗と国連旗がともに揚がる風景ほどうれしいものはない」。自らのブログに昨夏、南スーダン自衛隊宿営地訪問の印象をこう記した中満さんは、「日本は世界の中での立ち位置を真剣に考えるべきです」と訴える。日本が他の国々を巻き込み、支援を取り付けて国際社会でプレゼンスをみせて、初めて国益は確保できるという。

 そのためにも「グローバルなレベルで十二分に活動できる人材」を育て、「状況を先読みし、先取りできる能力がある国」になるべきだと語る。アルジェリアの邦人殺害も「普通の国」として国際の平和と安定に参画していたら、どうだったか。 (論説委員長 中静敬一郎)

シリアPKOの流れとしてはまだ何も決まっていないでしょうが、2012/10からもう話が出てます。

新PKOの派遣計画策定=シリア内戦で国連
 【ニューヨーク時事】国連のラズース平和維持活動(PKO)局長(事務次長)は22日、国連本部で記者会見し、シリア内戦で停戦が実現した場合に備え、新たなPKO部隊の派遣計画を策定中であることを明らかにした。

 局長は、予想される停戦状況などに応じて複数の案を準備していると説明。規模については「状況や任務によって異なる」として言及を避けた。3000人規模とする一部報道に関しては「完全に理論上の数字だ」と述べるにとどめた。

 国連は戦闘停止を目指し、4月以降、最大時300人の停戦監視団を展開したが、情勢の悪化を受けて8月に撤収に追い込まれた。

 内戦の調停に当たる国連とアラブ連盟共同のブラヒミ特別代表は26日から3日間のイスラム教大祭「イードアルアドハー」(犠牲祭)中の停戦を紛争当事者に呼び掛けたが、停戦実現は困難視されている。

2012/11 そして日本にPKO関連で注文も出てました。

医療班や警官の派遣を=日本、一層のPKO貢献可能―国連次長
時事通信 11月4日(日)19時14分配信

 国連平和維持活動(PKO)担当のラズース国連事務次長は4日、都内で時事通信のインタビューに応じ、「施設部隊員や医療班、警官とりわけ女性警官など、高い技能を有する人材を特に必要としている」と述べ、日本政府に対しPKOへの積極的な派遣を求めた。

 ラズース事務次長は「日本は(PKOで)重要な役割を果たしてきた」と評価した。一方で、計10万人規模のPKO要員のうち、日本からは527人の派遣にとどまっていると述べ、「多いとは決して言えない」と指摘。「(日本の法的な)制約の中でももっと貢献できるはずだ」と期待を表明した。

<PKO>日本は人的協力少ない…国連ラドゥス局長


PKOのエルベ・ラドゥス局長=2012年11月4日、西川恵撮影

 来日中の国連平和維持活動(PKO)のエルベ・ラドゥス局長は4日、本紙と会見し、日本が関わるPKOについて「質的に高い貢献をしてもらっているが、人数ではまだ少ない。憲法問題があるのは理解しているが、PKOへの協力は日本にとっても利益となるはずだ」と述べた。

 現在、日本はゴラン高原、ハイチ、南スーダンのPKOに自衛隊を派遣。ハイチは来月から撤収する。同局長は「3・11(東日本大震災)があっても自衛隊はハイチにとどまり、素晴らしい貢献をしてくれた」と評価。その上で、日本は財政面で約12.5%を分担しているのに、派遣人数がPKO全体の5%(約5000人)にとどまっていることなどをあげ、さらなる協力を求めた。

 新たなPKO派遣先候補として、同局長はソマリア、マリ、シリアの三つを挙げた。シリアについては「いろいろなシナリオを想定し準備を進めている。しかし少なくとも完全な停戦が実現する必要がある」と述べた。またシリアとイスラエルが対峙(たいじ)するゴラン高原で、PKOが監視する非武装地帯にシリア政府軍が装甲車を進入させるなどの動きが続いていることについて「イスラエルへの挑発になる。新たな戦線を開かないでほしい」と述べ、シリア政府に再三、注意を喚起していることを明らかにした。

 南スーダンについては「スーダン南スーダン両政府で合意が成立して落ち着いた。後は合意を実施に移すことだ」と指摘した。【西川恵・外信部専門編集委員

まぁこの国連の訴えを無視して12月から撤収したわけですね。そのゴラン高原PKO撤収ですが、日本の新聞を見ていても誰が決定したのかを知ろうとしても、主語がなかったり「政府」となっていたり分からなかったのですが、イランラジオが多少書いていました。

日本の自衛隊第2陣がシリア高原から帰国
PKO国連平和維持活動に参加してきた日本の自衛隊第2陣が、シリアのゴラン高原から帰国しました。

共同通信によりますと、12名からなるこの第2陣は、17日木曜、成田国際空港に到着しました。

この帰国は、先月の、シリアの治安悪化を理由にした森本防衛大臣の警告を受けて行われたものです。

これ以前にも、昨年12月末に、第1陣の33名が、ゴラン高原から撤収しています。

萱沼隊長は、第2陣がゴラン高原から帰国したことを認め、「自衛隊は1996年から PKOに参加してきたが、これは日本にとって大きな名誉だ」と語りました。

シリアでは、2011年3月以来、サウジアラビアカタール、トルコ、アメリカ、フランスの支援を受けたテログループが、一部の都市に情勢不安を引き起こしてきました。

テロリストは、シリアのアサド民主政権を交代させようとしています。

しかしなぜイランラジオ…
追記:
これ書いたとき酔ってたんで、書こうと思ったことを書かないまま〆てしまいました(今も飲んでますけど)。

まず僕はこのゴラン高原からのPKO撤退の意図が見えず不思議に思っています。安倍首相は自衛隊を使える軍隊にしようと思っていると見えるのですが、それにはまず国連の元に動いているPKOから始めるのが反対も少ない気がします。実際にPKO協力法案などを出しているわけですが、法案が通ってからまたシリアにPKO派遣というと、ゴラン高原にいつづける事よりハードルが高い気がします。

まぁ情報が少ないのでなんともいえないのですが、自衛隊そのものが攻撃目標になっており、とても危険な状況だったとか、そういう事情があるのでしょうか。

また日本のPKOの人数が少ないというPKO担当のラズース国連事務次長の話ですがこれには疑問を感じます。国連平和維持活動への派遣人数(国別実績)を見ると、米国より多いじゃないかと思ってしまうのですが。米軍は150万人、自衛隊25万人と米国と比べるのは無理がありますが、英国軍18万で、PKO人数はほぼ同じなので敵国がある国としては順当ではないかと思うのです。

チベット人焼身自殺、09年以降100人超えました。

誰かが数えなければ無駄になってしまうと思っていましたが、数えてくださっている方がいたようです。

中国支配に抗議のチベット人焼身自殺、09年以降100人に


AFP=時事 2月13日(水)20時7分配信
ネパール・カトマンズにある同国最大の仏塔ボダナートの周辺で、焼身自殺を図るチベット僧(2013年2月13日撮影)。

【AFP=時事】ネパールの首都カトマンズ(Kathmandu)のレストランで13日、20代前半とみられるチベット僧がガソリンをかぶって体に火を付け、自殺を図った。2009年以降、中国のチベット支配に抗議して焼身自殺を図った人は、これで100人目となる。

その他の写真

 カトマンズの警察がAFPに語ったところによると、このレストランがあるのはネパール最大の仏塔ボダナート(Boudhanath Stupa)の近く。店内のトイレで体に火を放ち、外に飛び出してボダナートの入口に向かった僧侶を警官が発見し、火を消したという。その後、病院に搬送されたものの、やけどがひどく、重体となっている。

 インド北部のダラムサラ(Dharamshala)にあるチベット亡命政府はこれまでに、2009年以降に焼身自殺を図ったチベット人は99人、うち死亡した人は83人と発表している。チベットの人々の多くは中国の支配下での宗教的抑圧に不満を持っており、自己犠牲によって抗議を示す人が後を絶たない。【翻訳編集】 AFPBB News

チベット 焼身をニュース系 サーチエンジン(News & blog search engine)で検索

韓国国防部は今回の核実験の威力を6〜7キロトン以上と推定。

ついにやってくれましたね。速報的に書きます。

北朝鮮 3回目の核実験強行か=豊渓里で人工地震(聯合ニュース)
北朝鮮 3回目の核実験強行か=豊渓里で人工地震

聯合ニュース 2月12日(火)14時25分配信

 【ソウル聯合ニュース北朝鮮が国際社会の反対にもかかわらず、3回目の核実験を強行したようだ。

 韓国気象庁は12日午前11時57分50秒、北朝鮮咸鏡北道吉州郡でマグニチュード(M)4.9の人工地震が感知されたと明らかにした。同所は北朝鮮の核実験場がある豊渓里付近

 韓国政府は北朝鮮が3回目の核実験を強行した可能性が高いとみて、詳しい状況を把握している。政府当局者は「この時期に人工地震が感知されたことは核実験しか考えられない。北朝鮮が3回目の核実験を行った可能性が高い」と明らかにした。

 これを受け、李明博(イ・ミョンバク)大統領はこの日午後1時、青瓦台(大統領府)で国家安全保障会議NSC)を緊急招集した。 韓米連合軍司令部は対北朝鮮情報監視態勢「ウォッチコン(ウォッチ・コンディション)」を1段階引き上げた。引き上げにより、北朝鮮の情報監視態勢が普段の2〜3倍に強化される。

 また、韓国軍当局も北朝鮮が核実験を行った可能性が高いと判断し、軍事対応態勢を1段階引き上げた。在韓米軍と緊密に協力して対北朝鮮の監視態勢を強化するとともに、さらなる挑発に備えているという。

 今回探知された地震規模は1、2回目の核実験より大きい。韓国国防部は今回の核実験の威力を6〜7キロトン以上と推定した。同部の金ミンソク報道官は非常に破壊力があるものと評価した。

 2006年の核実験ではM3.9、2009年の核実験ではM4.4の地震が探知された。ただ、マグニチュードの規模だけで、威力の比較はできないという。

 一方、北朝鮮が核実験を行ったことが公式に確認される場合、国際社会は北朝鮮に対する制裁協議を本格化するとみられる。

ちなみに核実験一回目と二回目のキロトンは

北朝鮮「高レベル核実験」 広島原爆級か(朝鮮日報)
 北朝鮮は2006年と2009年に核実験を実施した。回を追うごとに爆発規模が高まっているため、3回目の核実験の規模はこれまでを上回るとの観測が出ている。1回目の核実験の爆発規模は1キロトンで、2回目は2〜6キロトンと推計されている。

で、韓国国防部の推定どおりなら、事前の予想通りキロトンは増えているという事ですね。

で、核実験かどうか、ウランかプルトニウムかのような事には実験所の近くでキセノン、クリプトンなどを収集しなければいけませんが、米国ののWC135偵察機に頼らざる得ないようです。

核問題:実験日はいつ? 手掛かりは「計測機器の寿命」

記事入力 : 2013/02/06 10:01

核問題:実験日はいつ? 手掛かりは「計測機器の寿命」

「湿気に弱い計測装置は坑道内に長く置けない…実験するなら設置から2週間以内」
16日の故・金総書記の誕生日前後が「デッドライン」

 韓米両国は当初、今月4日に北朝鮮が核実験を行う可能性があるとみて注目していた。米国最大のスポーツイベントの一つ「スーパーボウル」(アメリカン・フットボールのプロリーグ「NFL」の優勝決定戦)の開催日に合わせて、北朝鮮が核実験を行う可能性があるとみていたわけだ。だがこの予想は外れた。韓米は「北朝鮮は3回目の核実験の準備を終えており、間もなく実施に踏み切るだろう」との立場だ。専門家らは、計測機器の稼働寿命などを考慮すると、核実験のデッドラインは今月中旬になる可能性が高い、と語っている。

■計測機器は坑道内で長持ちせず

 韓国政府は、もし北朝鮮が核実験を米国向けのメッセージにするなら、オバマ大統領の一般教書演説が予定されている今月12日や、米国の「大統領の日」に当たる18日などに実施する可能性があるとみている。北朝鮮内部に向けたものなら、10日の核兵器保有宣言8周年記念日、あるいは16日の故・金正日キム・ジョンイル)総書記の誕生日などが候補に挙げられる。また韓国向けなら、新政権が発足する25日前後になるとの見方も出ている。

 問題は、核実験の計測装置の寿命だ。核実験時に核兵器の爆発プロセス、爆発力、成功したかどうかなどを判断するため、坑道内部の核兵器近くや坑道外部に、それぞれ計測装置を設置する。こうした機器類には、超高速カメラ、熱映像カメラ、温度計、気圧計などが含まれている。これらの装置はデリケートで湿気に弱い。国策研究機関のある専門家は「一般的には、計測装置を坑道内部に設置したら2週間以内に核実験を実施すべきだろう」と語った。

 これまでの情報通り、北朝鮮が先月末から今月初めまでの間に計測装置を咸鏡北道吉州郡豊渓里の坑道内に設置したとすれば、今月中旬までには核実験を実施しなければならないというわけだ。しかし北朝鮮は、核実験時期をめぐる周囲の予想をかく乱するために計測装置を配置する小さな坑道を別に掘っていて、まだ計測機器を設置していない可能性があるとの指摘もある。

米国のWC135偵察機が唯一の希望」

 一部では、北朝鮮が今回、原子爆弾の数十から数百倍の威力を持つ水素爆弾の実験を行う可能性にも言及している。韓国国防部(省に相当)は「北朝鮮は、2010年に『核融合に成功した』と主張したことがあるため、あらゆる可能性に注目している」として、水爆実験の可能性も排除していない。しかし韓国軍消息筋は、水爆実験の可能性は現在のところ低い、と語った。韓国国防研究院のハム・ヒョンピル博士は「水爆の開発に欠かせない三重水素トリチウム)を北朝鮮が入手したという事実が確認されたことはなく、可能性は低い」と語った。一方、聯合ニュースの報道によると、2010年に寧辺の核施設を訪問した核物理学者、ジークフリート・ヘッカー博士は「(北朝鮮が)プルトニウムや高濃縮ウランと共に、これを基盤として水素爆弾核融合)の実験を実施する可能性もある」と語ったという。

 北朝鮮が水爆実験を行った場合、威力は100キロトン(1キロトンはTNT爆薬1000トンに相当)以上になるとみられる。最初の核実験(2006年10月)の威力は0.8キロトン、2回目の核実験(09年5月)の威力は2-6キロトンだった。

 北朝鮮が行う3回目の核実験の性格を、韓国がいかに即座に把握できるかにも注目が集まる。地震波ではウラン爆弾かプルトニウム爆弾か判別できないため、核実験後に発生するキセノン・クリプトンなどの放射性物質を24時間以内に確保しなければならない。一日でも遅れたら、放射性物質の構成比が変わってしまうからだ。韓国にも放射性物質の収集装置はあるが、放射性物質の到達が数日後になるため、有用な情報を得るのは難しい。韓米は、沖縄の嘉手納基地から豊渓里に近い東海(日本海)上空に出動する米軍のWC135偵察機を用いて、核実験の情報を収集する予定だ。

ユ・ヨンウォン記者

朝鮮日報朝鮮日報日本語版

ソースは韓国ばかりですが、日本はというと、

北核実験に伴う地震の可能性…官房長官
読売新聞 2月12日(火)12時57分配信


北朝鮮による核実験について記者会見する菅官房長官(12日午後0時39分、首相官邸で)=吉岡毅撮影

 菅官房長官は12日昼の記者会見で、地震は12日午前11時57分に観測され、震源は北緯41・2度、東経129・3度付近、マグニチュードは5・2で震源の深さは0キロであることを明らかにした。

 菅氏は「本件地震は過去の事例を踏まえると、北朝鮮による核実験実施に伴い発生した可能性があると考えている」と述べた。

 政府は午後0時48分、関係閣僚が出席して首相官邸安全保障会議を開いた。首相はこの中で、
〈1〉北朝鮮に関する情報収集・分析の徹底
〈2〉核実験に伴う放射性物質を観測するモニタリング体制の強化
〈3〉北朝鮮に対する日本独自の制裁を含めあらゆる手段を用いて対応すること
〈4〉不測の事態に備え、国民の安全に万全を期すこと
――を指示した。

 これに先立ち、政府は関係省庁幹部を首相官邸に緊急参集させ、官邸対策室を設置した。

 環境省によると、12日午後1時現在、日本海側の離島など全国10か所で行っている放射線量の観測で、放射線量の上昇などの変化は確認されていない。
最終更新:2月12日(火)13時48分

〈2〉ですが、韓国にも放射性物質の収集装置はあるが、放射性物質の到達が数日後になるため、有用な情報を得るのは難しいとあるのに日本で何をやるのかなという疑問はあります。

まぁ今のところこれくらいしかわからないようです。

国庫残高1万9700円、ジンバブエ財務相が公表

アラブの春以降わからない事が多すぎて追いきれず、詳しいことはわからないのですが。

国庫残高1万9700円、ジンバブエ財務相が公表(AFP=時事)


ジンバブエ・マビュクで、停電が続く中ろうそくの明かりで紙幣を数える売店の主人(2010年10月6日撮影)。

【AFP=時事】ジンバブエ国庫金の残高は、現在たった217ドル(約1万9700円)――。ジンバブエのテンダイ・ビティ(Tendai Biti)財務相が29日、首都ハラレ(Harare)で記者団に国家の苦しい台所事情を明らかにした。前週、公務員給与を支払ったところ、国庫には217ドルしか残らなかったという。

牛乳500mlが600億ドル、ハイパーインフレに見舞われた国ジンバブエ

「国家財政は目下まひ状態だ。目標は達成できていない」と説明したビティ財務相は、集まった記者たちに向かい、みなさんの中には政府より銀行の口座残高が多い人もいるだろうなどとコメントした。

 鉱山資源の豊かなジンバブエだが、国家経済はロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領が少数派の白人所有の大農場を接収し黒人農民に分配する土地改革を本格導入したことで、2000年を境に大きく混乱し始めた。投資家の信頼を失ったことで国内の生産活動はまひ。国際社会から経済制裁を受け、海外からの旅行者も激減した。

 その後の10年間で、ジンバブエは2億3100万%という世界最悪のハイパーインフレを経験。急激な物価上昇に伴い、インフラも崩壊した。米ドルと南アフリカ・ランドを併用する現在はかつてより安定した状態を取り戻したが、国家財政は依然として混乱しており、経済活動は不安定な電力供給、流動性不足、高い労働コストに阻まれ厳しい状況が続いている。

 ジンバブエ政府はかねてから、今年実施を予定している新憲法をめぐる国民投票や総選挙の資金が不足していると訴えていた。ビティ財務相によれば、「もはや各国政府に資金援助を要請するほかない」という。【翻訳編集】 AFPBB News

赤字の米ドルと南アフリカ・ランドを併用する現在はかつてより安定した状態を取り戻したの部分実はまったく知りませんでした。調べてみると以下の報道がありました。

2009/10
<ジンバブエ>物価高と外貨不足で生活厳しく(毎日新聞)


アフリカ南部のジンバブエ

 【ハラレ高尾具成】昨年3月の大統領選を巡る政治混乱を経て、今年2月に旧与党「ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線」率いるムガベ大統領と旧最大野党「民主変革運動」(MDC)党首のツァンギライ新首相とで連立政権を発足させたアフリカ南部ジンバブエ。新体制ができ8カ月たった首都ハラレでは、かつての緊張状態は薄れ、市民に安堵(あんど)感が広がっていたものの、物価高や外貨不足により、市民生活は依然厳しい状況が続いていた。

 現地語で「眠らぬ街」を意味するハラレ。24時間スーパーが開店するなど、街に活気は戻り、夜の酒場で楽しむ市民も増えた。ムガベ大統領が批判するオバマ米大統領をプリントしたTシャツ姿の若者も見られたが政治問題を語ろうとする者は少ない。

 果物や野菜を販売するイエゼオさん(28)は「安心して商売をできるのがうれしい。でも、売り上げは今ひとつ」と笑顔を見せた。月末の給与支払時期は、客も増えるという。

 インフレーションが拡大しデノミネーション(通貨呼称単位の切り下げ)を繰り返した後の今年1月末、政府は商取引の外貨使用を全面的に解禁。現在、街中でジンバブエ・ドル札は乗り合いバスに使用されるのみで、50米セントが3兆ジンバブエ・ドルで換算されている。米ドル札のほか南アフリカ・ランド、ボツワナ・プラなどが使用されている。

 だが、多くの商店は古い紙幣を受け取らず、コインは不足し、釣り銭の代用にガムやアメなどのお菓子、クーポン券などが配られている。

 一方、穀物類などは流通されるようになり、「連立政権発足後は隣国などから商品が入り、状況は改善している」(スーパー店員の40代女性)と言う。しかし、砂糖2キロが2米ドル、パン1斤が1米ドルと、市民の経済状況に照らせば厳しい現状だ。

 地方公務員のファビアンさん(37)の月給は基本給の約160米ドルのみ。妻と子ども2人と親族の5人での生活は困難を極める。「家賃が400米ドルでパンク状態だ。仕入れた家畜を売りさばくこともある。海外に住む親族からの送金をあてにしてきたが世界的な金融危機以降、回数が減りつつある」と話す。

 ムガベ大統領は今月6日、欧米諸国と協力関係を築く準備があると発言。先月は7年ぶりに欧州連合(EU)代表団と会談し制裁解除を訴えた。欧米は02年以降、ムガベ氏の強権政治を受け経済制裁を発動させ、経済状況悪化にもつながっている。

2012年にはこんな記事がありました。余計海外からの締め付け強くなるような。

2012/07
「1年以内に株式の過半数を黒人に譲渡せよ」、ジンバブエ政府が外資系企業に通告(AFP)


超インフレ下のジンバブエの首都ハラレで、銀行前に並ぶ長蛇の列(2007年12月31日撮影、資料写真)。

【AFP=時事】アフリカ南部ジンバブエの政府は、外資系の銀行や企業に対し、1年以内に株式の過半数ジンバブエの黒人に譲渡するよう通告した。3日の官報に6月29日付で掲載された。

ジンバブエムガベ大統領

 ジンバブエは2007年、黒人の権利拡大法のひとつとして、全ての外資系企業に株式の51%をジンバブエの黒人に譲渡することを義務付ける法律を制定している。この法律の下でジンバブエ政府は、国内で事業を継続するには1年以内に「最低限の現地化と黒人の権利拡大策のための割り当て」を満たすよう通告した。

 今回の通告は銀行、ホテル、教育機関、通信、鉱業も対象にしており、これらの業種の外資系企業は株式譲渡計画を提出しなければならない。

 旧宗主国である英国のスタンダードチャータード銀行Standard Chartered Bank)、バークレイズ(Barclays)などの大手金融機関や、南アフリカの鉱山大手インパラ・プラチナム(Impala Platinum)のジンバブエ現地法人で、同国最大のプラチナ鉱山を操業するジンプラッツ(Zimplats)も対象になる。【翻訳編集】 AFPBB News

青字ジンバブエ政府はかねてから、今年実施を予定している新憲法をめぐる国民投票や総選挙の資金が不足していると訴えていた。に関しては、依然こんな記事がありました。

2012/07
<ジンバブエ首相>大統領選に向け、準備は順調

インタビューで質問に答えるジンバブエモーガン・ツァンギライ首相=東京都千代田区内のホテルで2012年7月20日、矢頭智剛撮影

 日本との関係強化を目的に来日中のアフリカ南部ジンバブエモーガン・ツァンギライ首相(60)は20日、東京都内のホテルで毎日新聞と会見し、年度内の実施が予想される次期大統領選挙について、「準備は順調に進んでおり、新憲法施行後に適切に行われる」との見通しを示した。

 08年の大統領選後の混乱を受け、09年に発足した旧与野党の連立政権に関し、「(当初、合意された)2年を経て延長されているが、経済の安定化や政治改革に必要だ」と維持したい意向を示した。政権内には、ムガベ大統領ら植民地支配からの独立世代に加え、独立時に幼かった世代がいるとも指摘。「今は、多様な世代が恩恵を共有できる国づくりに向けた挑戦の時でもある」と述べた。

 一方、外資系企業に対し1年以内に株式の51%以上を国内の黒人に譲渡するよう求める措置が発表されたことに関しては「既存企業に適用される方向だが、新たな投資は対象外だ」と説明。経済環境の安定を滞らせるものではないと述べた。

 来年6月に横浜で開催される「アフリカ開発会議」(TICAD5)については「アフリカは教育や公衆衛生などを優先的に発展させる必要がある。日本が支援できる分野は多い」と期待を示した。【高尾具成、金子淳】

なかなか大変そうですね。